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御使い様が誑しに進化しました
【御使い様は学びたい21】
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ガフティラベル帝国には上下水道が通っている。
だがカカンに比べると清潔意識が低い。
いや、ここ1年でカカンの清潔意識が高くなり過ぎたのだ。
カカンの国民は温泉国スティルグマにも負けないほどの綺麗好きとなった。
お陰で病気をするものもぐん、と減った。
病気をしなかれば元気に働ける。
働けば賃金が手に入る。
賃金が手に入れば栄養のある物を食べれる。
栄養がある物を食べれば体が丈夫になる。
まさに正のスパイラル。
昔の負のスパイラルとは正反対だ。
そして深海とフィルドは毎日お風呂に入る入浴大好き組。
ルナトーもカカンに清潔意識が高まっていないころから毎日、巫女用の禊部屋で身体を清めていた。
クロナ大好きライブアは、垢を落とすなんてとんでもない!と拒否していたが。
つまりルナトーも綺麗好きである。
だがガフティラベル帝国の入浴事情は風呂場で桶に湯を張って、下着のまま下半身を浸し布で身体を拭うと言うもの。
全身湯に浸かるのが好きな3人にとってはかなり辛かったりする。
旅するにあたって何日も風呂に入れないのは想定内。
防臭防汚の魔石は身に着けている。
だが風呂と言うのはそう言う問題では無いのだ。
温かい湯に全身を浸した時の身体の芯まで染みわたる温かさ。
濡れた体を石鹸で洗い垢を落として肌がすべすべになる気持ち良さ。
湯上りの冷たい飲み物を飲んだ時の、火照った身体が腹から冷やされる心地良さ。
そして肌のケアをした後のモチモチになったお肌の気分の良さ。
1度味わったら癖になる。
無くてはならない生活習慣と化しているのだカカンの国民は。
「フカーミちゃん♪いーとこ連れてってあげるよー♬」
ニコニコ笑顔でフィルドが朝食の席で深海に言った。
「ついにフィルド様も覚悟を決めたんですね♡私は草葉の陰からこっそり覗かせてくれたら結構ですよ♡薄い本が厚くなりますね♡」
「いや、如何わしい所に連れて行こうなんてしてないんだからね!」
「その割に顔が真っ赤ですよフィルド様、何か想像しました~?」
「してません!」
「何か楽しそうですね2人とも」
ニッコリ深海が笑って言った。
その笑顔に、フィルドもルナトーも少し残念な気持ちが沸き上がる。
嫉妬の1つでもしてくれた方が嬉しいのに、なんて。
恋愛感情が無いのが分かり切ってしまうその反応はフィルドを寂しくさせる。
そしてルナトーは次回の新刊は切ない話しにしよう思った。
腐女子自嘲しろ。
「で、何処に連れて行ってくれるんですかフィルド様?」
コテリ、と深海が小首を傾げる。
((か、かっわ!!))
深海の釣り気味の大きな目はネコ科の動物を思わせる。
そして猫科が首を傾げるのだ。
可愛いにも程がある。
最近深海は誑しになっていたが、そう言えば昔の深海はこう言う可愛らしい所があったと思い出す。
まだまだ子猫ちゃんだ。
爪と牙は大型の獣並みの攻撃力だが。
ラキザの訓練により深海はカカンでもかなりの上位者の実力の持ち主である。
それに胡坐をかく事無く、朝は肉体を鍛え、昼は王都で仕事を、又はラボで研究し、夜は勉強をしている。
この決して大きく無い体で良くぞこれ程働くものだ。
ひとえにこれから骨を埋める国を豊かにしたい。
その想いから来ている。
ゆえにカグウから長期間の旅のお許しが出たのである。
「んふふ~行ってからのお楽しみ♬」
「では楽しみにしていますねフィルド様」
目を細めてうっとりと微笑みフィルドの頬を掌で撫でる。
「急に誑しに戻らないでぇ!子ネコちゃんカムバーック!!」
頬を撫でられ、耳たぶを弄られ、フィルドが全身を真っ赤にさせる。
「今、目は潤んで綺麗に揺れているんですか?ふふ、見たいけど見せたくないから今は我慢しますね」
「近い近い近いフカミちゃん距離が近いぃぃぃぃっ!」
ふぅ、と耳に息をかけられ、唇が頬を掠るほど近づけられフィルドはパニックだ。
「子ネコちゃんも良いけどやっぱりフカミ君には誑しが似合うわ♡美味しい朝食の後にこんな美味しいデザートまで、本当にご馳走様フカミ君」
「いえいえ、ルナトーさん。食器の片付け頼んで良いですか?」
「良いわよ~楽しんでいてね~♡」
唯一の味方(なのか?)が去って行って、フィルドは孤立無援となった。
周囲の客が何やら熱い視線を向けてきているのは極力無視しようとしたが、そんな事を気にする余裕もないほど甘い声と首筋まで伸びて来た手での愛撫でフィルドはふにゃふにゃにされてしまうのであった。
だがカカンに比べると清潔意識が低い。
いや、ここ1年でカカンの清潔意識が高くなり過ぎたのだ。
カカンの国民は温泉国スティルグマにも負けないほどの綺麗好きとなった。
お陰で病気をするものもぐん、と減った。
病気をしなかれば元気に働ける。
働けば賃金が手に入る。
賃金が手に入れば栄養のある物を食べれる。
栄養がある物を食べれば体が丈夫になる。
まさに正のスパイラル。
昔の負のスパイラルとは正反対だ。
そして深海とフィルドは毎日お風呂に入る入浴大好き組。
ルナトーもカカンに清潔意識が高まっていないころから毎日、巫女用の禊部屋で身体を清めていた。
クロナ大好きライブアは、垢を落とすなんてとんでもない!と拒否していたが。
つまりルナトーも綺麗好きである。
だがガフティラベル帝国の入浴事情は風呂場で桶に湯を張って、下着のまま下半身を浸し布で身体を拭うと言うもの。
全身湯に浸かるのが好きな3人にとってはかなり辛かったりする。
旅するにあたって何日も風呂に入れないのは想定内。
防臭防汚の魔石は身に着けている。
だが風呂と言うのはそう言う問題では無いのだ。
温かい湯に全身を浸した時の身体の芯まで染みわたる温かさ。
濡れた体を石鹸で洗い垢を落として肌がすべすべになる気持ち良さ。
湯上りの冷たい飲み物を飲んだ時の、火照った身体が腹から冷やされる心地良さ。
そして肌のケアをした後のモチモチになったお肌の気分の良さ。
1度味わったら癖になる。
無くてはならない生活習慣と化しているのだカカンの国民は。
「フカーミちゃん♪いーとこ連れてってあげるよー♬」
ニコニコ笑顔でフィルドが朝食の席で深海に言った。
「ついにフィルド様も覚悟を決めたんですね♡私は草葉の陰からこっそり覗かせてくれたら結構ですよ♡薄い本が厚くなりますね♡」
「いや、如何わしい所に連れて行こうなんてしてないんだからね!」
「その割に顔が真っ赤ですよフィルド様、何か想像しました~?」
「してません!」
「何か楽しそうですね2人とも」
ニッコリ深海が笑って言った。
その笑顔に、フィルドもルナトーも少し残念な気持ちが沸き上がる。
嫉妬の1つでもしてくれた方が嬉しいのに、なんて。
恋愛感情が無いのが分かり切ってしまうその反応はフィルドを寂しくさせる。
そしてルナトーは次回の新刊は切ない話しにしよう思った。
腐女子自嘲しろ。
「で、何処に連れて行ってくれるんですかフィルド様?」
コテリ、と深海が小首を傾げる。
((か、かっわ!!))
深海の釣り気味の大きな目はネコ科の動物を思わせる。
そして猫科が首を傾げるのだ。
可愛いにも程がある。
最近深海は誑しになっていたが、そう言えば昔の深海はこう言う可愛らしい所があったと思い出す。
まだまだ子猫ちゃんだ。
爪と牙は大型の獣並みの攻撃力だが。
ラキザの訓練により深海はカカンでもかなりの上位者の実力の持ち主である。
それに胡坐をかく事無く、朝は肉体を鍛え、昼は王都で仕事を、又はラボで研究し、夜は勉強をしている。
この決して大きく無い体で良くぞこれ程働くものだ。
ひとえにこれから骨を埋める国を豊かにしたい。
その想いから来ている。
ゆえにカグウから長期間の旅のお許しが出たのである。
「んふふ~行ってからのお楽しみ♬」
「では楽しみにしていますねフィルド様」
目を細めてうっとりと微笑みフィルドの頬を掌で撫でる。
「急に誑しに戻らないでぇ!子ネコちゃんカムバーック!!」
頬を撫でられ、耳たぶを弄られ、フィルドが全身を真っ赤にさせる。
「今、目は潤んで綺麗に揺れているんですか?ふふ、見たいけど見せたくないから今は我慢しますね」
「近い近い近いフカミちゃん距離が近いぃぃぃぃっ!」
ふぅ、と耳に息をかけられ、唇が頬を掠るほど近づけられフィルドはパニックだ。
「子ネコちゃんも良いけどやっぱりフカミ君には誑しが似合うわ♡美味しい朝食の後にこんな美味しいデザートまで、本当にご馳走様フカミ君」
「いえいえ、ルナトーさん。食器の片付け頼んで良いですか?」
「良いわよ~楽しんでいてね~♡」
唯一の味方(なのか?)が去って行って、フィルドは孤立無援となった。
周囲の客が何やら熱い視線を向けてきているのは極力無視しようとしたが、そんな事を気にする余裕もないほど甘い声と首筋まで伸びて来た手での愛撫でフィルドはふにゃふにゃにされてしまうのであった。
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