上 下
108 / 161
御使い様が誑しに進化しました

【御使い様は学びたい12】

しおりを挟む
 ガフティラベル帝国に来て2日目。
 朝ごはんをすまして、3人は王都の見学に出た。

「やっぱり上下水道が機能してると綺麗ですね。まぁトイレットペーパーはカカンの方が品質が良いですが」

「フカミちゃん拘ってたもんねトイレットペーパー」

「確かにカカンの紙の方が柔らかいものね。うん、カカンも負けてないじゃない♬」

「ですがおそらくクロイツはそれ以上の機能のトイレを出してくるでしょう」

「え、水で流れるだけじゃなくて?」

「どう凄いのフカミ君?」

「温水洗浄便座があると思います」

「「温水洗浄便座?」」

「温水洗浄便座はノズルから噴出する温水によって肛門を洗浄するという基本的なものからビデ機能によって女性の局部を洗浄する、脱臭、乾燥、暖房便座の機能、室内暖房、さらには便器の自動洗浄や音楽再生まで様々な機能が盛り込まれているトイレです」

「トイレから水が出るの!?」

「水と言うかお湯ですね。それ以外に便器が冷たくならないよう温めておく暖房便座機能・オゾン、酸素による脱臭が一般的で脱臭カートリッジに臭気を吸収する脱臭除菌機能・洗浄機能使用後に乾燥させることが可能な乾燥機能・便蓋や便座を人感センサーで自動開閉する機能。便座の前に立つと自動的に蓋が開き、立ち去ると自動的に閉まる便蓋便座開閉機能などがあります」

「ぶ、文明の発達したトイレって凄いのね……」

「使い出すとなくてはならないモノになりますよ」

「「何それ怖い」」

「まぁそれはクロイツに着いてからの楽しみにしておきましょう。それより今日は帝国産のハーブやスパイスや調味料が見たいですね。まずは食です食!」

「フカミ君て色気より食い気ね♡」

「そりゃ睡眠欲、食欲、性欲は人間の3代欲望ですから。まぁ俺の場合あまり性欲は無いですけど」

((あんだけ人を誑かせておいて性欲ないとか…自覚無いのって怖い………))

 実際には性欲が無いと深海が思い込んでいるだけである。
 生理前にはしっかり発情期が来るし、フィルドに対する独占欲の中には少しばかりの性欲も混じっている。
 出なければキスなどするはずがない。
 深海はフィルドには他人との間にある境界線が曖昧な人物だからキス位普通にするでしょ、などと思っているのだ。
 境界線が曖昧なあたりで既に好意はMAXなのだが。
 まったくもって鈍感なものである。

「スパイスが良い感じにそろえられたらフィルド様にカレー作ってあげますね、美味しいですよ」

「ふわぁ、あ、ありがとぉ………」

 ニコリと笑顔で微笑まれてフィルドが頬を上気させる。
 既に新しい食べ物を作る=フィルドにまずは食べさせてあげるの図式になっている時点で友情を飛び越えているのだが、深海は気付かない。

(これで性欲が無いて言うんだからフカミ君てば本気で鈍いのね、それはそれで美味しいけど♡)

「さ、行きましょう」

 スパイス屋が目についた。
 深海はフィルドの手を取って引っ張っていく。

「わ、わ、待ってフカミちゃん」

 ルナトーの手ではなくフィルドと手を繋ぐ当たり、本能が出ている。
 ルナトーは、深海が早く自分の気持ちに気付いたら良いな(フィルドが不憫すぎるので)と思うし、鈍感な深海にフィルドが振り回されて無自覚イチャイチャするのを見るのも美味しいと思う。

「取り合えず旅の間は無自覚イチャイチャかな?振り回されてるフィルド様、マジ理想の受けだし♡」

 長くなりそうなこの旅を、1番楽しんでいるのはルナトーかもしれない。
しおりを挟む
感想 209

あなたにおすすめの小説

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

処理中です...