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御使い様が誑しに進化しました
【御使い様餌付け禁止事案】
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「良い匂いがする」
メイドの1人とすれ違った時、深海はぽつりと呟いた。
その言葉にメイドが歩みを止める。
「どうかなされましたか御使い様?」
「貴女からとてもイイ匂いがする。甘い、美味しそうな匂いだ」
深海がメイドの目を覗き込む。
そこに微かに熱が宿っている。
まるで瞳の奥から心の中まで覗かれそうな視線だ。
メイドは胸を高鳴らせた。
「え、と…厨房でお菓子を作っておりました。その香りでは………?」
メイドは顔を赤くして答える。
仕方ない。
深海は距離を詰め、メイドの近距離で匂いを嗅いでいた。
お菓子の匂いしかしていないとは思うが、自分の匂いも嗅がれそうで恥ずかしい。
まだピュアなメイドは体を硬直させた。
「お菓子?…きっと美味しいのだろうな、とても良い匂いだ」
フワリ、と深海が笑みを浮かべる。
普段は気の強そうに見える深海の双眸が優しく細められ、メイドの心拍数はかつてない以上に上がった。
周りで見ている使用人たちも顔を赤くしている。
最近の深海はやたらと色っぽいのだ。
主に女性をときめかす色気だ。
乙男もときめいている。
何ならノーマルなはずの男すらその色香にくらりと来る。
”もう好きにしてください!つーか抱いてください!”
そう言いたくなる怪しげな色香だ。
メイドもその色香にもうくらくらしてきている。
「俺も頂きたかったな、お菓子……」
「ちゅ、厨房に作り置きしています!良かったら食べて下さい!!」
「良いのか?」
「何なら御使い様のために食べたいだけお菓子作らせて貰います!」
「それは、楽しみだな」
うっとりとした表情で深海は笑みを濃くした。
発情期(1部しか知らない)時の深海の色香は質が悪い。
こうして大勢のメイドが菓子を作りに厨房に押し寄せたのだと言う。
:::
「ふーちゃん、甘いもの食べすぎだよ?ご飯食べないと!」
「今は食事よりも甘いものが食べたい」
両手いっぱいに菓子を入れた包みを抱きかかえて、深海は鳴海に返事した。
「ん~そう言う時期だってわかっているけど…やっぱりご飯しっかり食べないと貧血で倒れちゃうよ?」
「甘味しか今は受け付けない」
鳴海とて分かっている。
深海はホルモンバランスが悪いのか、月の物の前には発情期に入るし、来たら来たで甘未しか摂取しなくなる。
それ自体はずっと変わっていない。
変わっていないのだが…今の深海は悪質なのだ。
少し前まで深海に色気など無かった。
それがフィルドとお泊りデートに行ってから、深海はすっかり色気を纏うようになってしまった。
男としての色気だが……。
一回フィルドに本当に何も無かったのか問い詰めなくてはいけない。
鳴海は心の中で誓った。
もし内緒で一線を越えていたら地面とお友達になって貰おう。
そう思うくらいに深海は変わってしまった。
そして1日中、食べきれないほどの甘味を腹に摂取するのである。
厨房の定員割れと、風紀事情。
食材を使いつくされんとする危機的厨房。
特に水飴の減りが速い。
砂糖は高価なのでそう簡単に使えないからだ。
だが深海があまり砂糖を使わなくても、水飴で代用して菓子をいくつか作っていたのだ、そのレシピを参考にメイドたちが甘味を作りまくっている。
そして甘味を渡したメイドたちは深海の嬉しそうな笑顔と、お礼を継げるため握られた手の感触に味を占めて再び甘味を作るのだ。
ちょっとした問題になりつつある。
水飴は確かに量はあるが、ソレにしたってここ数日の無くなりが酷い。
そして料理長はラキザに泣きついた。
ラキザはある意味厨房の主であるので仕方ない。
こうして問題に頭を痛めたラキザは、深海に甘味を渡すのを禁止する命を下した。
勿論カグウの許可は取ってある。
「……最近菓子が貰えなくなった」
「だからって水飴をダイレクトに舐めだすとは思わなかったよふーちゃん…my水飴まで作成して………」
無ければ自分で作ればよい。
もともと深海が残したレシピなのだ。
だが気怠いこの時期に料理をする気にはなれなかったのだろう、深海は今ダイレクトに水飴を匙で掬って舐めている。
「水飴以外も食べたい……」
「じゃぁフィルドちゃんが美味しい甘いものを食べに連れて行ってあげよーか?」
「イチゴと練乳!!」
「んじゃジャクタル王国だね~♪」
目を輝かせた深海にフィルドの胸が高鳴る。
(フカミちゃんが可愛い!!)
「フィルド様、まだ情緒が安定していないふーちゃんを通れ出す気ですか?」
鳴海の笑顔が怖い。
一泊したことをまだ鳴海は許していない。
「鳴海ちゃん、無言の圧が怖い…じゃぁせめて王都のカフェに連れて行くのは?」
「誰かほかの方も連れて行くのなら許可出します」
「鳴海ちゃんが冷たい」
「えぇ、わたしシスコンですから。フィルド様もご存じですよね?」
「鳴海ちゃんが牽制かけてくる…情緒安定してないフカミちゃんに変な事しないよ俺?」
「ふーちゃん、ラキザ様とフィルド様とお外でデザート食べてきて良いよ。絶対ラキザ様も一緒して貰うんだよ?」
「ん~何か知らないが了解した」
こうして深海が落ち着くまで城の外で甘味巡りをする許可が出た。
もともと人気のあった親衛隊のラキザとフィルド、そして今やファンクラブもある(7割が女である)深海がカフェ巡りをするため、一目姿を拝見しようと甘味屋が以上に繁盛するようになったと言う。
メイドの1人とすれ違った時、深海はぽつりと呟いた。
その言葉にメイドが歩みを止める。
「どうかなされましたか御使い様?」
「貴女からとてもイイ匂いがする。甘い、美味しそうな匂いだ」
深海がメイドの目を覗き込む。
そこに微かに熱が宿っている。
まるで瞳の奥から心の中まで覗かれそうな視線だ。
メイドは胸を高鳴らせた。
「え、と…厨房でお菓子を作っておりました。その香りでは………?」
メイドは顔を赤くして答える。
仕方ない。
深海は距離を詰め、メイドの近距離で匂いを嗅いでいた。
お菓子の匂いしかしていないとは思うが、自分の匂いも嗅がれそうで恥ずかしい。
まだピュアなメイドは体を硬直させた。
「お菓子?…きっと美味しいのだろうな、とても良い匂いだ」
フワリ、と深海が笑みを浮かべる。
普段は気の強そうに見える深海の双眸が優しく細められ、メイドの心拍数はかつてない以上に上がった。
周りで見ている使用人たちも顔を赤くしている。
最近の深海はやたらと色っぽいのだ。
主に女性をときめかす色気だ。
乙男もときめいている。
何ならノーマルなはずの男すらその色香にくらりと来る。
”もう好きにしてください!つーか抱いてください!”
そう言いたくなる怪しげな色香だ。
メイドもその色香にもうくらくらしてきている。
「俺も頂きたかったな、お菓子……」
「ちゅ、厨房に作り置きしています!良かったら食べて下さい!!」
「良いのか?」
「何なら御使い様のために食べたいだけお菓子作らせて貰います!」
「それは、楽しみだな」
うっとりとした表情で深海は笑みを濃くした。
発情期(1部しか知らない)時の深海の色香は質が悪い。
こうして大勢のメイドが菓子を作りに厨房に押し寄せたのだと言う。
:::
「ふーちゃん、甘いもの食べすぎだよ?ご飯食べないと!」
「今は食事よりも甘いものが食べたい」
両手いっぱいに菓子を入れた包みを抱きかかえて、深海は鳴海に返事した。
「ん~そう言う時期だってわかっているけど…やっぱりご飯しっかり食べないと貧血で倒れちゃうよ?」
「甘味しか今は受け付けない」
鳴海とて分かっている。
深海はホルモンバランスが悪いのか、月の物の前には発情期に入るし、来たら来たで甘未しか摂取しなくなる。
それ自体はずっと変わっていない。
変わっていないのだが…今の深海は悪質なのだ。
少し前まで深海に色気など無かった。
それがフィルドとお泊りデートに行ってから、深海はすっかり色気を纏うようになってしまった。
男としての色気だが……。
一回フィルドに本当に何も無かったのか問い詰めなくてはいけない。
鳴海は心の中で誓った。
もし内緒で一線を越えていたら地面とお友達になって貰おう。
そう思うくらいに深海は変わってしまった。
そして1日中、食べきれないほどの甘味を腹に摂取するのである。
厨房の定員割れと、風紀事情。
食材を使いつくされんとする危機的厨房。
特に水飴の減りが速い。
砂糖は高価なのでそう簡単に使えないからだ。
だが深海があまり砂糖を使わなくても、水飴で代用して菓子をいくつか作っていたのだ、そのレシピを参考にメイドたちが甘味を作りまくっている。
そして甘味を渡したメイドたちは深海の嬉しそうな笑顔と、お礼を継げるため握られた手の感触に味を占めて再び甘味を作るのだ。
ちょっとした問題になりつつある。
水飴は確かに量はあるが、ソレにしたってここ数日の無くなりが酷い。
そして料理長はラキザに泣きついた。
ラキザはある意味厨房の主であるので仕方ない。
こうして問題に頭を痛めたラキザは、深海に甘味を渡すのを禁止する命を下した。
勿論カグウの許可は取ってある。
「……最近菓子が貰えなくなった」
「だからって水飴をダイレクトに舐めだすとは思わなかったよふーちゃん…my水飴まで作成して………」
無ければ自分で作ればよい。
もともと深海が残したレシピなのだ。
だが気怠いこの時期に料理をする気にはなれなかったのだろう、深海は今ダイレクトに水飴を匙で掬って舐めている。
「水飴以外も食べたい……」
「じゃぁフィルドちゃんが美味しい甘いものを食べに連れて行ってあげよーか?」
「イチゴと練乳!!」
「んじゃジャクタル王国だね~♪」
目を輝かせた深海にフィルドの胸が高鳴る。
(フカミちゃんが可愛い!!)
「フィルド様、まだ情緒が安定していないふーちゃんを通れ出す気ですか?」
鳴海の笑顔が怖い。
一泊したことをまだ鳴海は許していない。
「鳴海ちゃん、無言の圧が怖い…じゃぁせめて王都のカフェに連れて行くのは?」
「誰かほかの方も連れて行くのなら許可出します」
「鳴海ちゃんが冷たい」
「えぇ、わたしシスコンですから。フィルド様もご存じですよね?」
「鳴海ちゃんが牽制かけてくる…情緒安定してないフカミちゃんに変な事しないよ俺?」
「ふーちゃん、ラキザ様とフィルド様とお外でデザート食べてきて良いよ。絶対ラキザ様も一緒して貰うんだよ?」
「ん~何か知らないが了解した」
こうして深海が落ち着くまで城の外で甘味巡りをする許可が出た。
もともと人気のあった親衛隊のラキザとフィルド、そして今やファンクラブもある(7割が女である)深海がカフェ巡りをするため、一目姿を拝見しようと甘味屋が以上に繁盛するようになったと言う。
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