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オマケは御使い様になりました

【ラッキースケベは呪いですか?6】

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「フィルド様すみません…王宮に付き直帰出来なくなって………」

「ううん、良いよ~。食べ過ぎて空の旅は無理そうだもんね。まさかイチゴだけで夕食食べれなくなるくらい食べるとは思わなかったよ、プククク」

「笑わないで下さいよぉ…う~お腹いっぱい過ぎて苦しいぃ………」

「ふふふ、フロントで胃薬でも貰ってくるよ」

「ありがとう、ござい、ま、す………」

 フィルドは口元が笑みの形になりそうなのを必死に堪えた。
 気を抜いたらにやけてしまう。
 まさか日帰り旅行が1泊2日旅行になろうとは。
 カグウには念話で事情を話しているので大丈夫だ。
 それより鳴海とラキザが怖い。
 あの2人は深海に過保護なのだ。

「フカミちゃんの時代では15歳は子供らしいけど、今の時代じゃ15歳で子持ちなんてのも珍しくないんだから。大人の女性として扱って何が悪いんだよねぇ。
まぁ据え膳だけど今のところ食べちゃうつもりはないし?
つーか食べたくても最後の一線超える勇気が俺にないんだよね~。う~ん本命って大変だなぁ。夜のお店のお姉さんに緊張した事なんてないんだけど、初恋って怖いわぁ」

 フロントで胃薬を買って、深海の待つ部屋へと足を向ける。
 ちょうど宿屋が空いている時期で良かった。
 ちゃんとツインの部屋が取れた。
 フィルド的にはダブルで良かったのだが。

「ま、寝顔拝めるだけでも十分だよね~♪たっだいま~フカミちゃん♬」

 バン、と扉を開けて。
 次の瞬間扉を閉じた。

「え、え、幻覚?」

 再び扉を開ける。
 シングルサイズのベッドが2つ。
 壁側がフィルドで窓側が深海のベッドになるはずだった。
 だが何故か深海が壁側のベッドに鎮座している。
 何故か半裸で鎮座している。
 幻覚と思えるほど美味しい据え膳である。

「え、と…何でフカミちゃんが俺のベッドに?」

「すみません、自分のベッドに水差しのお水を零してしまいまして…同衾でも良いですか?」

「え~と、服は?」

「水で濡れました……」

「で、下着姿?」

「お見苦しくて申し訳ないです」

(いや、滅茶苦茶ラッキーなんだけど…まだあと一歩を踏み出すつもりもないし…とんでもない据え膳だなぁ………これも【ダークネス】の呪いの効果?
凄いイイ思いしてるけどそれ以上に自家発電で右腕だけ筋肉付きそうなんだけど………)

「あ、やっぱり俺床で寝ましょう――」

「いやいやいや!一緒に寝よう!健全的な意味で一緒に寝よう!年頃の男女が1つのベッドで健全に寝るのは逆に不健全な気がするけど一緒に寝よう!!!」

「あ、ありがとうございます」

 フィルドの興奮に多少驚きながらも、深海は正座し三つ指を付き「不束者ですがお世話になります」と頭を下げるのだぅた。
 フィルドが意味を知らなくて良かったであろう。
 それは初夜の挨拶にもなる。
 深海は深い意味なく言ったのだが、受け取り手の解釈次第では美味しく頂かれるところであった。

 こうしてフィルドは眠れぬ一夜を過ごすことになる。

(フカミちゃん…お願いだから寝ぼけて抱き着かないでぇぇぇ、俺ナルミちゃんじゃないからぁーーーーっ!!)

 背中に感じる二つの膨らみは非常に柔らかかったそうだ。
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