聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

文字の大きさ
上 下
87 / 161
オマケは御使い様になりました

【ラッキースケベは呪いですか?3】

しおりを挟む
「無理だわ~もう無理だわ~…」

 珍しくフィルドが頭を抱えていた。
 本当に珍しい光景である。
 さすがにラキザも心配になって何時もより少しばかり優しい声で尋ねる。

「何が無理なんだ?」

「フカミちゃんがエロ可愛くてそろそろ理性の限界です…」

 ゴッ!

「痛い!何すんだよー!!」

「この色ボケ魔術師が!俺の目の黒いうちはフカミにそういう事は許さないと言っただろう!」

「でもこの【ダークネス】本当にすごい呪いなんだよ…」

「具体的にどんな呪いなんだ?」

 ちゃんと聞いてあげるラキザは結局フィルドに甘い。
 さすがに親衛隊のオカンと呼ばれるだけある。

「フカミちゃんにチューして貰ったり下着姿見たり胸触っちゃったり…本当に理性が限っ界!!」

「ちょっと待て!前半2つはともかく胸の下りは聞いてないぞ!?」

「だって今初めていったもん」

「もん、じゃねー!!」

 ラキザの大声がフィルドの鼓膜を襲った。

「も少し静かに慣れな訳ラキザ?」

「可愛い娘が禄でもない男にセクハラされてんのに平常でいられるか!」

「ついに娘認定しちゃったのね……」

「で、何でそうなった?」

「召喚の術試してたら何故かフカミちゃんが召喚されて、男装する前だったフカミちゃんが俺の上に落ちてきて、その時に服の上からとは言え、おっぱい揉んでしましました…凄く大きくて柔らかかったです………あ、思い出したら息子が反応しそう」

「男向けの貞操帯は何処で手に入るんだったけな?」

「俺の息子監禁しないで!!」

「繋がれてない獣と娘を同じ場所に置いておけるか!」

「獣って酷い!フィルドちゃん可愛いので有名よ!?」

「本当に可愛いやつは自分では言わん!」

「ラキザ酷い!泣いちゃうよ!?」

「いくらでも泣け!そしてお前はしばらくフカミに近づくな!」

「………俺もこれ以上持ちそうにないし、寂しけど頑張る」

「お、おう………」

 もっと駄々をこねると思ったのだろう。
 フィルドの素直な返答にラキザは思わず言葉に詰まる。
 こんなフィルドは見たことがない。
 初めて本気で人を好きになるとこんなにも変わるものなのか、とラキザは感心した。

 だが古代の呪い【ダークネス】はフィルドの気持ちと裏腹に、距離を取ることも許されない協力な呪いだったのだ。
 まだまだフィルドのラッキースケベは続く。
 果たして呪いが解けるまでフィルドの理性は持つだろうか?
 それは今は誰にも分らない案件であった。
しおりを挟む
感想 209

あなたにおすすめの小説

【完結】どうやら魔森に捨てられていた忌子は聖女だったようです

山葵
ファンタジー
昔、双子は不吉と言われ後に産まれた者は捨てられたり、殺されたり、こっそりと里子に出されていた。 今は、その考えも消えつつある。 けれど貴族の中には昔の迷信に捕らわれ、未だに双子は家系を滅ぼす忌子と信じる者もいる。 今年、ダーウィン侯爵家に双子が産まれた。 ダーウィン侯爵家は迷信を信じ、後から産まれたばかりの子を馭者に指示し魔森へと捨てた。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女 100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女 しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

処理中です...