81 / 161
オマケは御使い様になりました
【御使い様の情緒事情】
しおりを挟む
「ふーちゃん、デート楽しかった?」
「デート?」
「フィルド様とデートして来たんでしょ?」
「男同士でもデートと言うのか普通?」
「もう、ふ―ちゃんは女の子でしょう!」
「!?」
深海の目が大きく見開かれた。
鳩が豆鉄砲を食ったよう、と言うのはこういう時に使う言葉だろう。
本気で自分が女である事を忘れていたらしい。
今日はスカートも履いたのに…。
胸に強力な武器を膨らませているのに……。
「フィルド様カワウソ……」
「いや、フィルド様はカワウソと言うより大型犬だぞ?」
「うん、そう返ってくると思ってた。ではやり直して、フィルド様可哀想………」
「何でフィルド様が可哀想なんだよ?」
「デートを認識して貰えてないなんて男としては屈辱だよ?」
「あれ、デートなのか……?」
目を瞑り、顎に手を当て深海は考え始めた。
帝国で串焼きを食べたり。
横抱きで抱えられフライトを楽しんだり。
竜車に乗って刺激を味わったり。
ケモ耳に興奮したり。
頬が落ちそうな程美味しいイチゴに喜んだり。
男女でやるなら、確かにデートと言えるかもしれない……。
「でも俺とフィルド様だぞ?あんないい男の大人のフィルド様が俺みたいなガキ相手にする訳がないだろ?」
「ふーちゃん!恋に年齢は関係ないよ!それにふ―ちゃんはちゃんと可愛い女の子だから自覚して!!」
「可愛いのはお前だろナル?」
「うん、私も凄く可愛いけどね、ふ―ちゃんだって可愛い女の子なの!寧ろふーちゃんは美人さんて言った方が正確かも知れないの!それくらい魅力あるんだよ!!」
鳴海が熱弁する。
自分の性別すら忘れている妹に、ちゃんと自分は女の子なのだと自覚して欲しいのだ。
だって余りにも勿体ない。
深海は磨けば光る原石なのだから。
そしてフィルドはソレを分かった上で、深海に接しているように鳴海には見える。
だがやはりシックリこないのか、深海は首を捻っている。
「じゃぁフィルド様が恋愛感情抱いていないとしても、ふ―ちゃんはフィルド様をどう思っているの?」
「うーん、手のかかる大きな子供で魔術で何でも解決してくれる便利な人で一緒に居て楽しい人だな」
「つまり好き?」
「うん、好きだぞ」
ライクかラブかは置いておいて、フィルドに好意があるのに間違いはないらしい。
情緒が育ったらラブの方に転ぶ可能性も十分にある。
(う~ん、どうしよ?私の言葉次第ではふーちゃん十分にフィルド様の事好きになりそうなんだよね。今のライクの感情をラブの方に導いちゃって良いのかな?フィルド様が悪い物件て事は無いんだけど、ううん寧ろ優良物件なんだうよね。でも他にもイイ男の人いるから今すぐ決めなくても、て思うんだけど……)
瞼を閉じて顎に手を当てて鳴海は考え出した。
仕草が深海にそっくりだ。
さすがは双子である。
(う~ん、俺、フィルド様の事好きなのかな?恋愛の意味合いで?一緒に居て確かに楽しいけど、ドキドキとかキュンだとか胸が高鳴るみたいな現象が無いんだよなぁ…好きなのは好きなんだけど、これ友情じゃないか?)
その夜、深海と鳴海は恋愛について考えすぎてよく寝れなかった。
眼の下のクマが酷いのをルナト―に治して貰いに行って、寝不足の原因を聞かれて、藪を突いて蛇を出す事になるのだった。
「デート?」
「フィルド様とデートして来たんでしょ?」
「男同士でもデートと言うのか普通?」
「もう、ふ―ちゃんは女の子でしょう!」
「!?」
深海の目が大きく見開かれた。
鳩が豆鉄砲を食ったよう、と言うのはこういう時に使う言葉だろう。
本気で自分が女である事を忘れていたらしい。
今日はスカートも履いたのに…。
胸に強力な武器を膨らませているのに……。
「フィルド様カワウソ……」
「いや、フィルド様はカワウソと言うより大型犬だぞ?」
「うん、そう返ってくると思ってた。ではやり直して、フィルド様可哀想………」
「何でフィルド様が可哀想なんだよ?」
「デートを認識して貰えてないなんて男としては屈辱だよ?」
「あれ、デートなのか……?」
目を瞑り、顎に手を当て深海は考え始めた。
帝国で串焼きを食べたり。
横抱きで抱えられフライトを楽しんだり。
竜車に乗って刺激を味わったり。
ケモ耳に興奮したり。
頬が落ちそうな程美味しいイチゴに喜んだり。
男女でやるなら、確かにデートと言えるかもしれない……。
「でも俺とフィルド様だぞ?あんないい男の大人のフィルド様が俺みたいなガキ相手にする訳がないだろ?」
「ふーちゃん!恋に年齢は関係ないよ!それにふ―ちゃんはちゃんと可愛い女の子だから自覚して!!」
「可愛いのはお前だろナル?」
「うん、私も凄く可愛いけどね、ふ―ちゃんだって可愛い女の子なの!寧ろふーちゃんは美人さんて言った方が正確かも知れないの!それくらい魅力あるんだよ!!」
鳴海が熱弁する。
自分の性別すら忘れている妹に、ちゃんと自分は女の子なのだと自覚して欲しいのだ。
だって余りにも勿体ない。
深海は磨けば光る原石なのだから。
そしてフィルドはソレを分かった上で、深海に接しているように鳴海には見える。
だがやはりシックリこないのか、深海は首を捻っている。
「じゃぁフィルド様が恋愛感情抱いていないとしても、ふ―ちゃんはフィルド様をどう思っているの?」
「うーん、手のかかる大きな子供で魔術で何でも解決してくれる便利な人で一緒に居て楽しい人だな」
「つまり好き?」
「うん、好きだぞ」
ライクかラブかは置いておいて、フィルドに好意があるのに間違いはないらしい。
情緒が育ったらラブの方に転ぶ可能性も十分にある。
(う~ん、どうしよ?私の言葉次第ではふーちゃん十分にフィルド様の事好きになりそうなんだよね。今のライクの感情をラブの方に導いちゃって良いのかな?フィルド様が悪い物件て事は無いんだけど、ううん寧ろ優良物件なんだうよね。でも他にもイイ男の人いるから今すぐ決めなくても、て思うんだけど……)
瞼を閉じて顎に手を当てて鳴海は考え出した。
仕草が深海にそっくりだ。
さすがは双子である。
(う~ん、俺、フィルド様の事好きなのかな?恋愛の意味合いで?一緒に居て確かに楽しいけど、ドキドキとかキュンだとか胸が高鳴るみたいな現象が無いんだよなぁ…好きなのは好きなんだけど、これ友情じゃないか?)
その夜、深海と鳴海は恋愛について考えすぎてよく寝れなかった。
眼の下のクマが酷いのをルナト―に治して貰いに行って、寝不足の原因を聞かれて、藪を突いて蛇を出す事になるのだった。
1
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる