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オマケは御使い様になりました

【魔術師長様の恋煩い事情5】

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 竜車に乗ってやって来たのは大森林の中にある国だった。
 
「凄い…ケモ耳だ………」

 思わず深海は手をワキワキとさせる。
 変態臭い事この上ない。
 仕方がない。
 深海は生まれついてのケモナーだ。
 特に猫が良い。
 あの神様が作り出した芸術品。
 可愛さが止まらない。

 ハァハァと荒い息の深海に、流石のフィルドが少し引いて…いなかった。

(フカミちゃん獣人好きなんだ~今度何かの耳と尻尾生やそうかな~♬)

 流石は宮廷魔術師長だ。
 若干の性癖の歪みは受け入れる気満々だ。
 寧ろもっと来いとばかりの様子である。

「この国はジャクタル王国。見ての通り亜人が多い国ね。主に獣人とエルフ、ドワーフなんかが暮らしているよ♪」

「エルフ!やっぱり美形なんですか!?」

「ん~美形多いけど、カグウには負けるんじゃない?」

 それは相手が悪過ぎる。
 そう思った深海は悪くない。

「じゃ、フィルドさんとどっちが美形です?」

「当然俺ヨ♩」

「なら前髪上げて下さい。素顔を見ないと判定できませんから」

「それただ単にフカミちゃんが俺の素顔みたいだけじゃないの?」

「まぁそう言う言い方もありますね」

「前に言ったじゃん。俺の素顔はベッドの中でしか見せないよ、て♬」

「何人ぐらい素顔見てるんですか?」

「え、0人だけど?」

「え、フィルド様って童t……」

「違います~俺が1番経験豊富です~!本命以外に見せないと決めてるの!」

「大人の汚い側面を見た…」

「いやん、フカミちゃん軽蔑した眼止めて。俺傷ついちゃう!」

 ガバリ、とフィルドが深海に抱き着く。
 大きな体で深海を包み込んで首筋にスリスリと頭を擦り付ける。

「んぁっ、擽ったいですよ、フィルド、様」

「泣かせるフカミちゃんが悪いんです~」

(うわ~今の声エロかった!ちょっと下半身に来た!もっと聞きたい!!それに良い匂いする~♡)

「も~また甘えたですかフィルド様?」

「俺寂しがりだから人肌定期的に引っ付かないと駄目な体質なの」

「それでセフレが大勢いる、と」

「今は居ないから!本命一筋な男だから!」

「え、と言う事はフィルド様今本命居るんですか?俺に構ってる場合じゃないんじゃ?」

「ちゃんと考えて行動してるから大丈夫!今はフカミちゃんと居るのがベストなの!」

「まぁそう言う事でしたら無理に帰ろうとは言いませんが」

「ここまで来て帰らす気だったの!?」

「フィルド様って滅多に人に惚れないですよね?じゃぁこのチャンスを逃したら駄目ですよ!」

「うん、だから今はフカミちゃんと居させてね」

「何でそうなるのか分かりませんが…まぁ折角来ましたし、ケモ耳、堪能しましょうか?」

「獣人堪能する気満々ねフカミちゃん。俺のこともちゃんと構ってよね~」

「はいはい、イイ子イイ子」

 ぽふぽふ、と深海がフィルドのタンポポのような髪を撫でる。
 今なら前髪上げれるんだよな、なんて思っても深海はその誘惑に負けない。
 人間だれしも知られたくない物があるものだ。
 ノリでやってはいけない事もある。
 深海はそう言うところはしっかりしているのだ。

(う~ん子ども扱い抜けないなぁ…まぁ役得だけど)

 フィルドの言動と態度に、深海はフィルドの事を子ども扱いしがちだ。
 お陰で気付かないうちにパーソナルスペースを0まで詰められているのに警戒心がない。
 こんなにチョロくて良いのかとフィルドは思うが、まぁ自分が睨みを利かせていたら対抗馬と大穴が生まれる事は無いだろう。

「で、この国にはケモ耳を堪能しに来たのですか?俺は幸せ満点ですけど」

「あ~それは思わぬ副産物。本命は別にあるよ~♬」

「期待しちゃいますよ?」

「多分期待に応えれるんじゃないかな?」

 ニッ、とフィルドの唇が弧を描く。
 ソレを見て、深海はチシャ猫みたいな笑い方だなんて思うのだった。
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