上 下
69 / 161
オマケは御使い様になりました

【平民でも食べれるお菓子作り】

しおりを挟む
「と言う訳で本日はドーナツを作ります」

 パチパチパチパチ

 厨房に拍手が響く。
 深海が厨房に籠る時の形式美である。
 そして勿論ラキザも居る。

「で、今日は何を作るんだ?」

「ドーナツです」

「美味いのか?」

「簡単な癖に中々美味い野郎です。そしてコストが低い」

「コストが低いのは良いな。平民でも手が出る」

「今回はソチラ方面を目指そうかと思いまして。高級品ばかり流行っても貴族が潤うだけで下流階級は潤いませんからね。それに子供が喜ぶ顔が見れるのは良いことです」

「お前意外と子供好き?」

「いえ、どちらかというと苦手です。力加減が分からないのと何を話したら良いのか分からにので…」

「あ~頭良いのも大変だな。昔カグウとチノシスも苦労してたわ」

「俺はお2人程賢くありませんよ?」

「俺からすれば同じカテゴリーだわ」

「お褒めの言葉と思って受け取っておきます。ではドーナツ作り始めます」

 :::

 〇さつまいものドーナツ
  材料 (一口大のドーナツが20こ程)
  さつまいも150g
  小麦粉大さじ4(60g)
  重曹小さじ1/2
  好みのミルク大さじ3(45ml)
  シナモン少々
  揚げ油適量

 ①さつまいもをあらかじめ蒸しておく。さつまいもを適当に切る。
 ②ボールに蒸したさつまいもを入れて、皮を剥いてからつぶし、他の全ての材料を入れてよく混ぜたら、生地の出来上がり。
 ③お鍋を火にかけ、油をよく熱したら、生地をティースプーンで一口大ずつ油に落とし、中火で5分~10分揚げる。
 ④ドーナツがこんがり茶色く色付いて、表面がカリッとしたら出来上がり。

 ☆完成☆

 :::

「どうぞ召し上がって下さい」

「うん、ホクホクで美味いな。砂糖を使ってないのに甘いし。これなら平民でも用意出来るわ」

「揚げてあるから外はカリ、として良いでしょう?」

「食感は大切だな」

「売れますかね?屋台で良いのですが」

「金額は?」

「銅貨1枚です」

「チノシスに話し進めておくわ」

「有難うございます。うん、久しぶりに作りましたが素朴で美味しいです。その内上流階級にも出せるレシピも上げますね」

「上流階級用のレシピもあるのか?」

「材料が値段がかかるので上流階級にしか出せません。まぁ平民が少し頑張れば出せる値段にしたいですが」

「あ~女の好きな”自分へのご褒美”てやつか」

「女性は甘いものに目が無いですからね。それに嬉しそうな女性を見るのは好きです」

「んじゃ、その意図も伝えておけばいい訳な?」

「宜しくお願いします」

 こうして”平民にもお菓子を”の第1回は成功した。
 そして深海は部屋に戻らず、作ったドーナツを自分のラボに持って行く。
 多分今日も来て居るであろうコタツムリにあげるためだ。

「何か俺あの方に甘いんですよねぇ、逆に甘やかされることも多いし…何でしょこの気分」

 モヤモヤするようなウズウズするような気分を胸にかかえて、深海はコタツムリの為にラボの扉を開けた。
しおりを挟む
感想 209

あなたにおすすめの小説

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...