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オマケは御使い様になりました
【男装の女王と鍼と灸】
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「本日はお招きいただき光栄でありますスティルグマ女王様」
「そう硬くなるなカグウ、何時ものように姉様で良い」
謁見の間で微笑む男装の女王は相変わらず人形のように美った。
カグウは首を垂れ、それ以外のカカンの者は膝まづいている。
カグウは同等な同盟国の王であるから、首を垂れるだけですまされるのだ。
「姉様が道路の舗装を認めて下さったため、10日の馬車の旅ですみました」
「あの道を舗装したのはお前の所の魔術師長だろう。畏まらなくて良い。それにしても3日で仕事を仕上げるとは大したものだ」
どうやらあの道路はフィルドが作ったものらしい。
相変わらず見えない所では大仕事をしている。
流石は宮廷魔術師長。
大陸屈指の実力者と言うのは伊達ではない。
フィルドが褒められて何故か深海が「ドヤァ」と胸を張りたい気分で合った。
やはり好意を持つ者が褒められると言うのは嬉しいモノである。
好意の種類はまだ未確定だが。
「それでシャンプーに石鹸に化粧水でしたね。もう少しすれば香り付きの上質な物も手掛ける予定ですが、今回はサンプルとして現在私が使っている物を献上品として持ってまいりました。
我が国で作られている物では最高品質の物となります。
あと、香りを身に着ける”コウスイ”と言う液体を持ってきましたので良ければ使ってみて下さい。今回は3種類ほど姉様に似合いそうな香りを私が選びサンプルとして持ってきました」
「成程、それでお前から薔薇の匂いがした訳だ?レシピは普及しているのか?」
「そこはまだ企業秘密です。その内独学で辿り着く者も現れるでしょう」
「それまではレシピは独占と言う訳か」
「国力維持のために致し方なく」
「ふふ、分かっている。特産品は人を集める。おいそれとレシピを広める訳にはいかないからな」
「またそう言う意地悪を…」
「可愛い子ほど虐めたくなるものだ、許せカグウ」
「許すも何も怒っておりませんよ。何時もの姉様の言葉遊びのいっかんでしょうに…それにしても何故このタイミングですか?石鹸類でしたら晩餐会で王宮にお泊りになられた時にお使いになられたのではありませんか?あれから4ヵ月もたっていますが…?」
「実は言うと輸入の話しは其方の小姓を呼びつけたいための口実だ。フカミと言ったか?其方の知識に大いに興味がある。
なに、製作品のレシピを聞き出そうとかそう言った話ではない。
其方が今カカンで行っている”シンキュウ”とやらに興味があってな。出来れば1度体験させて貰いたいと思ったのだが」
スティルグマ女王の言うように、深海は今カカンで鍼灸院を開いている。
他にもすることがあるので週2ペースだが。
深海の母親は鍼灸師で漢方医だ。
父親はクリニックの外科医である。
クリニックを経営している両親の仕事を深海は幼い時から見ていた。
覚えが良いので簡単な作業なら手伝いもしていた。
法に触れるのでは、というのは置いておいて欲しい。
深海がやたらと東洋医学に詳しかったのはこのためである。
流石にグー〇ル先生だけではこれほど知識は詰め込まれない。
日常が深海の実力を叩き上げたのだ。
「では、女王様と2人になる許可が頂きたいのですが…」
「貴様!女王と2人きりになり何をするつもりだ!」
小柄だが端整な顔をした剣士が剣の使に手をかけた。
それにネオレが反応する。
剣士が動いたら対応するつもりなのだろう。
「レオドーア、良いから下がれ。他の皆もだ」
「「「「「「御意!」」」」」
スティルグマの過信が謁見の間から下がる。
カカンの軍勢もそれに続いた。
「嫌な思いをさせてすまなかったなフカミ」
「いえ、俺の様な得体の知れない者と2人きりにさせたくない気持ちも分かるので…女王様は本当に国中の家臣や民たちに慕われているのですね」
「カグウから聞かされたか?」
「小耳に挟んだ程度ですが…」
「ふふ、本当に良い男に育ったものだ。女を喜ばす術も心得ている。本人にその気はないのだろうがな」
「本当に、少しは自分の美貌に自覚をもって欲しいです。その点、女王様はご自覚がありますよね?」
「使えるモノは見た目も使う、外交の手段の1つだ。お前も覚えておけフカミ」
「カグウ様ならともかく、俺に外交に影響与えるほどの外見は無いと思いますが?」
「あの主にしてこの従者ありか、似たものが集まるものだ」
「???」
「あぁ、良い気にするな。で、皆を下がらせた理由は?」
「女性を診断するのに男の目があっては良くないでしょうから…服を脱いでもらう訳ではないのですが、色々デリケートな質問もさせていただくので。
俺の様なものに聞かれるのはお嫌かも知れませんが、その際は仰ってください。出来る範囲で診察を致します」
「女同士気にする事もあるまい?」
「気付いて!?」
「男装歴は私の方がはるかに長い。だが中々上手く化けているぞ」
「お褒めにあずかり光栄です。それでは少し手首に触れますね」
深海はスティルグマ女王の細く白い手首に指をあてる。
「不整脈は無いですが脈が弱いですね…最近お疲れですか?」
「女王になって以来疲れてない日の方が無い」
「そ、それはご大変で…では月経周期が乱れやすい、経血量が少ないことがある、あるいは経血に赤黒い塊が混じっていたりすることがある、月経痛が酷いなどの悩みを抱えている、多くの場合、同時に慢性的な冷え、頭痛や肩こり、疲労感といった悩みはありませんか?」
「全部当て嵌まるな。後胸の動悸がたまにある」
「動悸ですか…不整脈は無かったのですし、女王様は用意周到で生真面目なタイプに見えますからストレスで発作性にくる不安からくる動悸かも知れません。
そして婦人科症状は、体内の血液が瘀血(おけつ/流れが悪く滞りがちな血液)となり、血流の悪化に伴って血液が栄養やホルモンを全身に十分届けて細胞を養うことができなくなっていることに起因する場合が多くあります。
東洋医学で言う五臓六腑の五臓、すなわち肝・心・脾・肺・腎の内、蔵血(血液の貯蔵と血流量の調節をすること)をつかさどる「肝」に失調があると、「肝」が十分な栄養ある血液を蓄えられなくなってしまいます。
また、「肝」は疏泄(そせつ)という、気血(きけつ/東洋医学における人体の基本と考えられるもので、血液と、気すなわち体内の生気エネルギーのこと)をスムーズに体内に送り出し循環させる作用もつかさどっているので、その調子が整っていない状態では必要な栄養素が体内に十分届かなくなります。これが疲れの原因かと」
「どうすれば良い?」
「できるだけストレスを避け、規則正しい食事や睡眠で生活リズムを整えながら、鍼灸治療で体を温めて血行を促進し、血瘀(けつお/血液の循環が悪い状態のこと)の状態を改善させ、血がしっかりと栄養やホルモンを全身に運んでくれる状態にすることが大切です。
後は鍼と灸を定期的に行い、漢方薬…この場合は半夏厚朴湯が有効でしょうかね?それを暫く内服すれば自然と体の調子も良くなると思います」
「素晴らしい、カグウは良い人材に恵まれたな。カグウの小姓でなければ私の侍女にしたい位だ」
「お褒めの言葉有難うございます」
「それで今言ったものはすぐ用意できるのか?」
「漢方薬以外でしたら。その際は服も捲り横になって頂くのでベッドのある部屋に移動した方が良いと思われます」
「では、私の寝室へ移動しよう。よろしく頼むぞフカミ」
そう言って微笑むスティルグマ女王は、初めて女らしい笑みを深海に見せたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
プロの方がみていたら間違いだらけだと思いますが、その辺りはご都合主義のファンタジー小説なのでふわっとお読みください。
深海の特殊能力がまた1つふえちゃいました(;^_^A
「そう硬くなるなカグウ、何時ものように姉様で良い」
謁見の間で微笑む男装の女王は相変わらず人形のように美った。
カグウは首を垂れ、それ以外のカカンの者は膝まづいている。
カグウは同等な同盟国の王であるから、首を垂れるだけですまされるのだ。
「姉様が道路の舗装を認めて下さったため、10日の馬車の旅ですみました」
「あの道を舗装したのはお前の所の魔術師長だろう。畏まらなくて良い。それにしても3日で仕事を仕上げるとは大したものだ」
どうやらあの道路はフィルドが作ったものらしい。
相変わらず見えない所では大仕事をしている。
流石は宮廷魔術師長。
大陸屈指の実力者と言うのは伊達ではない。
フィルドが褒められて何故か深海が「ドヤァ」と胸を張りたい気分で合った。
やはり好意を持つ者が褒められると言うのは嬉しいモノである。
好意の種類はまだ未確定だが。
「それでシャンプーに石鹸に化粧水でしたね。もう少しすれば香り付きの上質な物も手掛ける予定ですが、今回はサンプルとして現在私が使っている物を献上品として持ってまいりました。
我が国で作られている物では最高品質の物となります。
あと、香りを身に着ける”コウスイ”と言う液体を持ってきましたので良ければ使ってみて下さい。今回は3種類ほど姉様に似合いそうな香りを私が選びサンプルとして持ってきました」
「成程、それでお前から薔薇の匂いがした訳だ?レシピは普及しているのか?」
「そこはまだ企業秘密です。その内独学で辿り着く者も現れるでしょう」
「それまではレシピは独占と言う訳か」
「国力維持のために致し方なく」
「ふふ、分かっている。特産品は人を集める。おいそれとレシピを広める訳にはいかないからな」
「またそう言う意地悪を…」
「可愛い子ほど虐めたくなるものだ、許せカグウ」
「許すも何も怒っておりませんよ。何時もの姉様の言葉遊びのいっかんでしょうに…それにしても何故このタイミングですか?石鹸類でしたら晩餐会で王宮にお泊りになられた時にお使いになられたのではありませんか?あれから4ヵ月もたっていますが…?」
「実は言うと輸入の話しは其方の小姓を呼びつけたいための口実だ。フカミと言ったか?其方の知識に大いに興味がある。
なに、製作品のレシピを聞き出そうとかそう言った話ではない。
其方が今カカンで行っている”シンキュウ”とやらに興味があってな。出来れば1度体験させて貰いたいと思ったのだが」
スティルグマ女王の言うように、深海は今カカンで鍼灸院を開いている。
他にもすることがあるので週2ペースだが。
深海の母親は鍼灸師で漢方医だ。
父親はクリニックの外科医である。
クリニックを経営している両親の仕事を深海は幼い時から見ていた。
覚えが良いので簡単な作業なら手伝いもしていた。
法に触れるのでは、というのは置いておいて欲しい。
深海がやたらと東洋医学に詳しかったのはこのためである。
流石にグー〇ル先生だけではこれほど知識は詰め込まれない。
日常が深海の実力を叩き上げたのだ。
「では、女王様と2人になる許可が頂きたいのですが…」
「貴様!女王と2人きりになり何をするつもりだ!」
小柄だが端整な顔をした剣士が剣の使に手をかけた。
それにネオレが反応する。
剣士が動いたら対応するつもりなのだろう。
「レオドーア、良いから下がれ。他の皆もだ」
「「「「「「御意!」」」」」
スティルグマの過信が謁見の間から下がる。
カカンの軍勢もそれに続いた。
「嫌な思いをさせてすまなかったなフカミ」
「いえ、俺の様な得体の知れない者と2人きりにさせたくない気持ちも分かるので…女王様は本当に国中の家臣や民たちに慕われているのですね」
「カグウから聞かされたか?」
「小耳に挟んだ程度ですが…」
「ふふ、本当に良い男に育ったものだ。女を喜ばす術も心得ている。本人にその気はないのだろうがな」
「本当に、少しは自分の美貌に自覚をもって欲しいです。その点、女王様はご自覚がありますよね?」
「使えるモノは見た目も使う、外交の手段の1つだ。お前も覚えておけフカミ」
「カグウ様ならともかく、俺に外交に影響与えるほどの外見は無いと思いますが?」
「あの主にしてこの従者ありか、似たものが集まるものだ」
「???」
「あぁ、良い気にするな。で、皆を下がらせた理由は?」
「女性を診断するのに男の目があっては良くないでしょうから…服を脱いでもらう訳ではないのですが、色々デリケートな質問もさせていただくので。
俺の様なものに聞かれるのはお嫌かも知れませんが、その際は仰ってください。出来る範囲で診察を致します」
「女同士気にする事もあるまい?」
「気付いて!?」
「男装歴は私の方がはるかに長い。だが中々上手く化けているぞ」
「お褒めにあずかり光栄です。それでは少し手首に触れますね」
深海はスティルグマ女王の細く白い手首に指をあてる。
「不整脈は無いですが脈が弱いですね…最近お疲れですか?」
「女王になって以来疲れてない日の方が無い」
「そ、それはご大変で…では月経周期が乱れやすい、経血量が少ないことがある、あるいは経血に赤黒い塊が混じっていたりすることがある、月経痛が酷いなどの悩みを抱えている、多くの場合、同時に慢性的な冷え、頭痛や肩こり、疲労感といった悩みはありませんか?」
「全部当て嵌まるな。後胸の動悸がたまにある」
「動悸ですか…不整脈は無かったのですし、女王様は用意周到で生真面目なタイプに見えますからストレスで発作性にくる不安からくる動悸かも知れません。
そして婦人科症状は、体内の血液が瘀血(おけつ/流れが悪く滞りがちな血液)となり、血流の悪化に伴って血液が栄養やホルモンを全身に十分届けて細胞を養うことができなくなっていることに起因する場合が多くあります。
東洋医学で言う五臓六腑の五臓、すなわち肝・心・脾・肺・腎の内、蔵血(血液の貯蔵と血流量の調節をすること)をつかさどる「肝」に失調があると、「肝」が十分な栄養ある血液を蓄えられなくなってしまいます。
また、「肝」は疏泄(そせつ)という、気血(きけつ/東洋医学における人体の基本と考えられるもので、血液と、気すなわち体内の生気エネルギーのこと)をスムーズに体内に送り出し循環させる作用もつかさどっているので、その調子が整っていない状態では必要な栄養素が体内に十分届かなくなります。これが疲れの原因かと」
「どうすれば良い?」
「できるだけストレスを避け、規則正しい食事や睡眠で生活リズムを整えながら、鍼灸治療で体を温めて血行を促進し、血瘀(けつお/血液の循環が悪い状態のこと)の状態を改善させ、血がしっかりと栄養やホルモンを全身に運んでくれる状態にすることが大切です。
後は鍼と灸を定期的に行い、漢方薬…この場合は半夏厚朴湯が有効でしょうかね?それを暫く内服すれば自然と体の調子も良くなると思います」
「素晴らしい、カグウは良い人材に恵まれたな。カグウの小姓でなければ私の侍女にしたい位だ」
「お褒めの言葉有難うございます」
「それで今言ったものはすぐ用意できるのか?」
「漢方薬以外でしたら。その際は服も捲り横になって頂くのでベッドのある部屋に移動した方が良いと思われます」
「では、私の寝室へ移動しよう。よろしく頼むぞフカミ」
そう言って微笑むスティルグマ女王は、初めて女らしい笑みを深海に見せたのだった。
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プロの方がみていたら間違いだらけだと思いますが、その辺りはご都合主義のファンタジー小説なのでふわっとお読みください。
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