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オマケは御使い様になりました

【御使い様の香り事情3】

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 その男は賢王を前にして頭を下げ冷や汗をかいていた。
 男は商人で他国の品をカカンへ捌きに来ていた。
 他国の名産品を山ほど摘んで。
 美貌で名高いカグウ王の姿を一目見たいとカカンへ来たのだ。

 今まではカカンと言えば死の国と呼ばれるほど廃した国であった。
 例えカグウ王がどれ程美麗であろうと賢者であろうとカカンに来る理由にはならなかった。
 王を一目見る為だけで来れるほどカカンは整った国ではなかったからだ。

 しかし1年前、聖女と御使いを召喚し、カカンは見事な国に建て治ったのだと言う。
 その噂を聞いて男はならば美麗の賢王に一度会ってみようとカカンに来たのだ。

 だが噂は所詮噂でしかなかった。

 口伝えで聞いていたカカン王。
 直接見れば話し以上の美貌。
 白磁のようなシミ1つない雪のように白い肌。
 髪は耳が隠れるくらいの少し長い艶のある綺麗なビロードのような黒髪。
 トロリと蕩けそうな琥珀色の瞳が淫靡的で色気が半端ない。
 スッと通った鼻筋に形の良いやや大きめの薄い唇。
 そして。
 そして、何よりカカン王からは花の香りがした。
 脳髄を溶かすような甘く淫靡な花の香り。
 それはカグウ王に良く似合っていた。
 だがその香りは似合い過ぎてただでさえ美しいカグウをより艶めかせて見せる。

(うわぁぁ直視出来ない!こんな方を直視何て出来る訳ないだろ!美しいだけでなく甘い香りを纏って、まるで天上人だ!!)

 そしてその美しさは自らの持って来た品はこの美王の美しさだけで充分値すると。
 いや、美王の前では自分の持って来た品などガラクタでしかないと、男はカグウへ賃金も受け取らずに品を差し出した。

 :::

「これで何人目~?」

「まだ3桁にはいってないと思うよ…ふぁ」

「カグウの奴、あの香水をつけてから無敵だな」

「当たり前だ。この俺がカグウに最もふさわしい香りを作り出したんだからな。いや、今の香りでもまだカグウの美しさの前にはあの香りではまだ相応しくない。もっと、もっとカグウの美しさを際立たせる香りを作らねば。今日もコウスイを作る手伝いをしてもらうぞフカミ」

「コキョウ様……俺、もう5日完徹なんですけど……ふわぁぁ」

「大丈夫だ。後でフィルドにヒールをかけて貰え。人間1ヵ月やそこら寝なくても死にはしない」

「いや普通に死ぬしヒールに眠気覚まさせるような効果ないから」

「ではラキザ」

「俺、夕飯の準備しに行くわ」

「チノシス」

「あふっ、農作業様子見に行かないとね」

「フィルド」

「いや、俺もお前に付き合わされてフカミちゃんと同じ5日連続完撤だから……」

「皆、カグウに対する愛が足りないんではないか?」

「「「お前の愛が深すぎるだけだ!!!」」」

 この後コキョウは皆に断られたものの何故か目を爛々と輝かせたルナトーと言う助手を得て、この日も寝ずに香水を調合していたらしい。

 :::

「殿方同士が同じ香りがするなんて胸が熱いわ!!」

 その後ルナトーによる、コキョウのコキョウによるコキョウのためのカグウの香水作りの話しで一部のメイド達が盛り上がっていたらしい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

因みに皆が付けている香水。
 フカミ→シトラス
 ナルミ→フカミと同じ
 フィルド→グレープフルーツ
 ラキザ→カモミール
 チノシス→ラベンダー
 カグウ→ローズ(調合あり)
 コキョウ→カグウと同じ
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