39 / 161
【オマケと兵士の王都探索3】
しおりを挟む
公衆清拭場は昼間だがそこそこ人がいた。
主に大工などの肉体労働者が多い。
昼休憩に体をさっぱりさせ仕事終わりに2度目の清拭をする者が多いらしい。
清拭場は入り口は同じだが中で男性と女性が入る場所が分かれている。
日本の銭湯の出入り口と同じ作りだ。
「ここは何 するんだ、ですか?」
「体の汚れが取れやすい湯を使ってタオルで体を拭く所だ。皆汗や垢を落とすために来ている」
「体の垢と汗を落とす!?「汗や垢は自然のもの、それを落とすのは神への冒涜」「風呂に入ると毛穴が開き、その穴から病魔が入る」て知らないのか!?」
「俺の世界では清潔1番なんだよ。寧ろ汗や垢ため込んでたら感染所起こして病気するわ。良いからお前は中で体清めて来い!俺は此処で待ってる」
「1人で行くのかよ?」
「かよ?」
「ですか?」
「俺は朝風呂入ってきたからな。臭いのはお前だけだ。金払って貴重品は預かっててやるから中で人に説明を聞きながら清拭してこい!」
ドカッ、とミラーの尻を蹴って無理やり男性用清拭場に押し込んだ。
清拭場は日本の銭湯とほぼ同じ作りだ。
番台で代金を払う。
これは深海が行った。
その後深海は出て行ってしまった。
そして脱衣所で服を脱ぎ籠に入れて棚に置く。
貴重品をどうするかとミラーは財布を探したが何時の間にか深海に抜かれていたようだ。
ブーストをかけられた深海の身体能力は半端ない。
さて服を脱いだミラーは周りの人の動きを見本にしながら動く。
端に置いてある大きい籠に入ったタオル2枚を取り出す。
それをもって更に中に入るようになっていた。
扉を開けて奥の部屋に入る。
そこは壁の高い位置に窓が付けられているため自然光が良く入って来る明るい部屋だった。
部屋の中心に大きな壺が2つ置かれている。
赤色の淵と青色の淵の壺だ。
皆一緒に来たもの同士や常連同士が喋ったりしながら床に座り込んで体を拭きながら楽しそうにしている。
「何だこれ?」
「おう兄ちゃん清拭初めてか?
そこにある桶とって来いよ。んでこの赤色の壺のコリアンダー湯を入れて、こっちの青い色の壺に入った水で好きな温度に調節する。
んで、タオルを桶の湯に浸けた後しっかり絞って体を擦る。
タオルの水分が無くなってきたらまた桶に浸して同じことを繰り返す。
全身擦り終わったら乾いたもう1つのタオルで体を拭いて体の水けを完全に落として終わりだ。
出来るだけ人の邪魔にならないところでやれよ。
使った後のタオルは扉の横にある籠に入れて終わりだ。
しっかり擦れよ!垢が落ちたらスッキリするぜ!あと髪もコリアンダー湯に浸したタオルで拭いて櫛を通したら頭もスッキリだ!じゃぁしっかり綺麗にしろよ兄ちゃん」
説明を一通りしてくれた中年の男に教わった通りミラーは清拭を周りの様子を見ながら真似して行う。
他の者と違って自分だけ垢がボロボロ零れ落ちて驚いた。
同時に自分だけが汚いことが恥ずかしく思えた。
そしてミラーは2回清拭を行い清拭場を後にした。
すっきりした顔でミラーが出口から出てきた。
「どうだった?」
「頭と体が痒いのが治った。臭い匂いもしなくなったし」
「清拭場作ってから国民は皆1日に1回は清拭しに来ているらしいぞ。誰とすれ違っても臭くなかっただろ?次は浴場を作る予定が進んでいる。今の国民の様子見るに湯につかるのも抵抗なさそうだしな」
「中のおっちゃん達も風呂が出来るのが楽しみだって言ってた」
「お前はどうだ?」
「正直風呂はまだ想像もつかないけど清拭はスッキリするから気に入った。臭くなくなるし痒くなくなるしクロナにも教えてやりたいけど、アイツは嫌がるだろうな。献身的なクリスチャンだから。教会の教えにはそむかねーもんな……」
「まぁその教会が今は清拭を全面的に押してるんだけどな」
「教会が!?」
「本当に町の情勢何も知らないんだな。よくそれで国のためとか言えるもんだ」
深海に呆れた顔をされてミラーは自分が途轍もなくちっぽけな人間に思えて惨めな気分になった。
主に大工などの肉体労働者が多い。
昼休憩に体をさっぱりさせ仕事終わりに2度目の清拭をする者が多いらしい。
清拭場は入り口は同じだが中で男性と女性が入る場所が分かれている。
日本の銭湯の出入り口と同じ作りだ。
「ここは何 するんだ、ですか?」
「体の汚れが取れやすい湯を使ってタオルで体を拭く所だ。皆汗や垢を落とすために来ている」
「体の垢と汗を落とす!?「汗や垢は自然のもの、それを落とすのは神への冒涜」「風呂に入ると毛穴が開き、その穴から病魔が入る」て知らないのか!?」
「俺の世界では清潔1番なんだよ。寧ろ汗や垢ため込んでたら感染所起こして病気するわ。良いからお前は中で体清めて来い!俺は此処で待ってる」
「1人で行くのかよ?」
「かよ?」
「ですか?」
「俺は朝風呂入ってきたからな。臭いのはお前だけだ。金払って貴重品は預かっててやるから中で人に説明を聞きながら清拭してこい!」
ドカッ、とミラーの尻を蹴って無理やり男性用清拭場に押し込んだ。
清拭場は日本の銭湯とほぼ同じ作りだ。
番台で代金を払う。
これは深海が行った。
その後深海は出て行ってしまった。
そして脱衣所で服を脱ぎ籠に入れて棚に置く。
貴重品をどうするかとミラーは財布を探したが何時の間にか深海に抜かれていたようだ。
ブーストをかけられた深海の身体能力は半端ない。
さて服を脱いだミラーは周りの人の動きを見本にしながら動く。
端に置いてある大きい籠に入ったタオル2枚を取り出す。
それをもって更に中に入るようになっていた。
扉を開けて奥の部屋に入る。
そこは壁の高い位置に窓が付けられているため自然光が良く入って来る明るい部屋だった。
部屋の中心に大きな壺が2つ置かれている。
赤色の淵と青色の淵の壺だ。
皆一緒に来たもの同士や常連同士が喋ったりしながら床に座り込んで体を拭きながら楽しそうにしている。
「何だこれ?」
「おう兄ちゃん清拭初めてか?
そこにある桶とって来いよ。んでこの赤色の壺のコリアンダー湯を入れて、こっちの青い色の壺に入った水で好きな温度に調節する。
んで、タオルを桶の湯に浸けた後しっかり絞って体を擦る。
タオルの水分が無くなってきたらまた桶に浸して同じことを繰り返す。
全身擦り終わったら乾いたもう1つのタオルで体を拭いて体の水けを完全に落として終わりだ。
出来るだけ人の邪魔にならないところでやれよ。
使った後のタオルは扉の横にある籠に入れて終わりだ。
しっかり擦れよ!垢が落ちたらスッキリするぜ!あと髪もコリアンダー湯に浸したタオルで拭いて櫛を通したら頭もスッキリだ!じゃぁしっかり綺麗にしろよ兄ちゃん」
説明を一通りしてくれた中年の男に教わった通りミラーは清拭を周りの様子を見ながら真似して行う。
他の者と違って自分だけ垢がボロボロ零れ落ちて驚いた。
同時に自分だけが汚いことが恥ずかしく思えた。
そしてミラーは2回清拭を行い清拭場を後にした。
すっきりした顔でミラーが出口から出てきた。
「どうだった?」
「頭と体が痒いのが治った。臭い匂いもしなくなったし」
「清拭場作ってから国民は皆1日に1回は清拭しに来ているらしいぞ。誰とすれ違っても臭くなかっただろ?次は浴場を作る予定が進んでいる。今の国民の様子見るに湯につかるのも抵抗なさそうだしな」
「中のおっちゃん達も風呂が出来るのが楽しみだって言ってた」
「お前はどうだ?」
「正直風呂はまだ想像もつかないけど清拭はスッキリするから気に入った。臭くなくなるし痒くなくなるしクロナにも教えてやりたいけど、アイツは嫌がるだろうな。献身的なクリスチャンだから。教会の教えにはそむかねーもんな……」
「まぁその教会が今は清拭を全面的に押してるんだけどな」
「教会が!?」
「本当に町の情勢何も知らないんだな。よくそれで国のためとか言えるもんだ」
深海に呆れた顔をされてミラーは自分が途轍もなくちっぽけな人間に思えて惨めな気分になった。
1
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~
銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。
少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。
ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。
陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。
その結果――?

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる