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【おまけが作る白いアレ・後編】

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 ☆チーズの作り方☆

 必要なもの
 牛乳 1L
 レンネット 0.1g(耳かき1杯くらい)
 クエン酸 小さじ1/2(1.4-1.5gくらい)

 ①鍋にクエン酸と浄水(分量外、塩素のないもの40mlくらい)を入れよく溶かす。
 さらに牛乳を入れてよくまぜる。
 このとき勢いよく注ぐと泡立つので、ある程度泡が消えるまでしばらく置く。
 泡が残っていると固めたときにキメが粗くなるので注意。

 ②ゴムベラでゆっくりやさしくまぜながら温度を上げていきます。泡立てず、32℃~37℃くらいまで。
 子牛の体の酵素がもとになっている製法なので、子牛の体温をイメージした感じ…
 温度が上がりphが下がるだけでもモロモロとしたカード(チーズのもと)が見えてくる。
 所定の温度になってもカードが出来ない場合、クエン酸水を少しだけ足して様子を見ます。
 クエン酸が少なすぎるとチーズが伸びず、多すぎると溶けてしまう。
 モロモロが少し出てきたら火を止め、次の工程へ。

 ③火を止めたらレンネットを入れてやさしくゆっくり、泡立てないようにまぜる。
 長々とまぜてるとカードが固まるのを阻害するので30秒もまぜれば十分。
 まぜたら鍋にフタをして(保温のため。少しくらい開いててもOK)10~30分くらい待つ。
 湯豆腐みたいにカードが固まるのを待つ。

 ④カードが固まったらナイフで格子状に切れ目を入れる。
 カードの中にある水分と切り離していく。
 容器に傷がつきにくいようにケーキ用のパレットナイフなど先のとがっていない道具がおすすめ。
 コンロ(この時代では魔導コンロ)に火をつけ、弱火で43℃くらいまでゆっくり加熱。
 その間、おたまなどでカードをやさしくまぜる。
 どんどん水分が出てき、ボソボソが出てきても気にせず…。
 43℃になったら火を止めて3~5分くらいおく。
 時間をかけると固めのチーズになる。

 ⑤しみ出てきたホエーをのぞく。
 ざるにキッチンペーパーや布をセットし、カードを乗せていく。
 ざるの下にボウルとか置いてホエーを取っておくと後々使える。
 カードを乗せ終えたら手でそっとおさえて水分を抜く。
 ギュッとやるとカードがキッチンペーパーにこびりつくのでほどほどに。
 一回で水分が抜けきらないな~と感じたらキッチンペーパーを替えて2,3回繰り返す。
 次の工程にそなえ、鍋にカードが浸るくらいのお湯を沸かしておく。

 ⑥鍋のお湯を85℃まで温めまる。
 沸騰はさせない。
 85℃になったらいったん火を止め、おたまに乗せたカードをゆっくり鎮めて2,3分待つ。
 カードを伸ばして折りたたむような感じで練る。
 最初のうちはまとまりが悪いがしばらく練るうちにつるりとする。
 熱湯につけては練る。
 熱すぎたら取り出して冷めてきたらつけるの繰り返し。
 ある程度まとまってきた段階で塩を入れると味がつく。
 練り終わってから塩水につけて保存。

 ⑦練り終わったら好きな大きさにちぎって丸め、冷水にとってさます。
 塩水につけたりそのまま置いて保存しても大丈夫。
 だいたい一週間くらいで食べるように。

 :::

「で、完成です。オリーブオイルとトマトを持って来てくれますか?」

「承知しました!」

 深海の指示に料理長自らがサポートで動く。
 トマトを切りモッツァレラチーズと交互に並べていきオリーブオイルをかけ岩塩と黒こしょうを振ってカプレーゼの出来上がりだ。

「では皆さんどうぞ」

「「「「「ウォー――――ッ!!」」」」」

 皆が皿に群がる。
 欠食童子の群れさながらだ。

「シンプルな味付なのに、トマトの酸味とチーズのコクと食感が生かされていて旨い!チーズもさっきのカッテージチーズより数段コクがあるな!酒にも合うなコレは!!冷たいのもイイが温めて食べても旨そうだ。あらゆる料理のバリエーションに仕えそうだな!!」

 さすがはラキザ。
 神の舌を持つ者は1口でソコまでたどり着いた。

「色合いも綺麗よね♪」

「バジルの葉を散らすとより一層華やかになりますよ」

 メイドの感想にそう付け加える。

「コクが凄いですね!普通にパンと食べても旨そうだけど……何か普通のパンとこのチーズじゃ物足りない様な気がするんですよねぇ………」

 料理長も流石だ。
 モッツァレラチーズとパンの相性に気付いたうえで、何かが足りないのも気が付いた。

「このチーズは焼いたパンと相性がイイんですよ。薄く丸く伸ばしたパン生地にチーズとトマトとバジルの葉を乗せて窯で焼いたものにオリーブオイルを垂らして食べると美味しいですよ」

 所謂、ピッツァマルガリータである。
 深海の説明に皆がごくりと唾を飲む。
 頬を紅潮させて子犬のようなキラキラした目で深海を見ていた。

「明日にでも作りましょうか?」

「「「「「やったーーーーー!!」」」」」」

 こうして深海が厨房通う理由がまた1つ増えたのであった。
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