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【オマケと施設と作戦会議】

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「俺としては衛生面を整えたいので体の清潔を一般市民が保つ習慣を作りたいです。
清拭場を作るのが望ましいですね。いきなり浴場はお金と時間がかかりますし、湯につかるのはまだ抵抗あるでしょうから清拭から入るのが良いと思います。
清潔を保つなら清拭の湯の中にラベンダーやコリアンダー何かを入れて煮込んで適温まで冷ましたものを使いたいですね」

「清拭?コリアンダー?」

 コテ、とフィルドが首をかしげながら唇に指をあてる。
 全くもって女子力が高い宮廷魔術師長である。

「清拭は身体をふくことによって清潔を保つ方法です。就眠前の清拭や寝汗をかいた後の清拭は身体を清潔に保ち感染を予防するだけではなく、爽快感や慰安を与え就眠を助けにもなります。
気な人は清拭場で自分で体を清めて貰い病人には介助者が清拭を習慣をつけるのが良いですね。
コリアンダーは別名パクチーと呼ばれていてこっちの方が馴染みがあるんじゃないでしょうか。
主な効能としては、・抗菌&殺菌・抗ウィルス・抗感染・消臭の効果・鎮痛・抗炎症の効果・抗うつ・抗不安・鎮静・リラックス効果などでがあります。
本当は食べたりお茶にしたりする方が効能は高いんですけどクセが強いからこの世界では食用にはしていないですよね?」

「生の草を食べる習慣がないからな。そのコリアンダーは何処に行けば入手できるんだ?」

「山とか行ったらその辺に生えてますよ。これを採取するのも市民の仕事とにも出来ますね。コリアンダー一定量につき幾らか賃金を支払うと言う形で」

「了解、ギルドを通してその制度をつくるよ」

 流石は宰相様だ。何時も眠そそうだが仕事が速い。

「では衛生面の清潔は清拭場を作ると言う言事で。公衆トイレと同じく都内に何か所か造って欲しいです。お湯の方ですけど安値で清拭場を都民が使用することを考えると経済的にどうなるでしょうか?
清拭場は取り壊す予定も無いので出来るだけお金かけたくないんですよね…。
でもお湯沸かすとなると水を何処から運んでくるとか、湯を沸かすのに薪代ないしは魔石代がかかりますよね?湯を煮たり適温に冷ましたり結構やる事が重労働です。
これは都民の仕事ではなく国の施設にしてしまった方が良いかも知れません」

「確かに一都民にその仕事を任せるのは問題があるな。魔石を使うとそれを盗難する恐れもある。国管理で良いだろう。湯についてはいい方法はあるかフィルド?」

「魔石はお金かかるからね~。だからって薪を使って湯を沸かして冷ましてとか清拭?の事を理解してない王宮の使用人とかに任せてもフカミちゃんの想像通りには施設が機能しないだろうし。
カグウさえOK出してくれるなら封水晶を使うのはどうかな?あれなら定期的にメンテはいるとはいえ魔石買うより大分安いでしょ?」

「封水晶か。かける所にはそれなりに金はかけた方が良いだろう。フカミと施設の作り話し合って封水晶で施設を完成させろ。指示はフカミ、後の事はフィルドに任せる」

「OK~♪んじゃ城に余ってる封水晶幾つか貰うね~♬」

 カグウとフィルドで話がとんどん進んでいく。
 その中の耳慣れない単語に深海は興味をそそられる。

「封水晶て何ですか?」

「封水晶てのは属性を持たないクズ魔石を加工したもので魔術の術式を宿せるヤツね。何と属性魔石に比べてお値段は100分の1だよ!さらに今なら宮廷魔導士長の魔法を宿せてお値段はそのまま!このチャンスを逃すとこんな安く施設は造れないよ~♬
ちなみに封水晶は大量の水とか火とかを宿せるから何処かから綺麗な水を一気に汲んできちゃえば水代も浮くね!
フカミちゃんのお願いでコキョウが海水を大量に運搬したのもこの封水晶に海水入れて運んだから簡単に仕事が終わった訳。どう、封水晶魅力的でしょ♪」

 どこぞのテレビショッピングなノリでフィルドが説明してくれる。
 つい深海も「でもお高いんでしょう?」とか合いの手を入れそうになってしまった。
 まぁソレはともかく封水晶とやらでお湯問題は解決できる様だ。

「さて、現場の指揮は誰がとる?」

「食事の指揮は俺だよな」

 宮廷騎士団長が炊き出しの指示を取るのかと深海は何だか複雑な気分になった。いや、ラキザに任せていれば味の方の保証はされたようなものだが。

「建築は俺だよね~。木魔法も同時に使ったらスピード上がるし石化の魔法術式に重なれば頑丈な建物できるしね~」

(成程、だから王都の下に大きな下水もどきの大穴を開けても地上に影響がなかったのか)

 フィルドもかなりの切れ者だ。
 カグウとチノシスが居るので見落としがちだがここに集まっているのは5人揃ってかなりの知能チートであるようだ。
 でなければ3日間でスライム下水も完成させられなかっただろう。

 魔法だけで何とかなる仕事ではなかったはずだ。
 建築の構造を頭に入れておかなければ地盤の陥没などの事故もあっただろう。
 フィルドが自分1人で下水工事を仕上げたのも恐らく他の者が居ては足手まといになるからだったのだろう。
 深海はそこまで気付き改めてフィルドの才能に脱帽した。

「カグウ、俺はどうすれば良い?」

「お前はいつも通り俺の傍で補佐しとけ」

 カグウの言葉にコキュウが嬉しそうな雰囲気を醸し出した。
 表情筋は動いていないが。

(成程、コキュウ様は表情でなく雰囲気で機嫌を読み取るんだな)

 何処かキラキラしたオーラを放つコキュウを見て深海はまた1つ勉強になったと役に立つのか立たないのか分からない技能を身に着けた。

「で、収容施設は誰か部下に適任な者でも居るか?」

「あ、俺やりますよ」

 カグウの問いにすぐさま深海が反応したので他の5人が深海を凝視した。

「え、何ですか?皆さんそんな驚いた顔して?」

 流石にここまで注目されれば深海も戸惑いう。
 何せ整った顔×5だ。

「お前、医学もいけるのか…?」

「知識だけですけどね。主に東洋医学の事ならほぼ頭に入ってます。伊達に”歩くウィキ先生”の愛称で呼ばれてません」

「誰?そのウィキ先生って」

 フィルドが興味深げに聞いてきた。

「パソコンと言う機械の中に居る何でも答えてくれる先生です。良かったら今度頭の中見せますよ。ちなみに俺の世界では人口が約70億人いるのですが世界の端から端に離れた人同士が会話する機械の持ち主の所要者が人類の半分以上居ます」

「「何ソレ怖い!!」」

 ラキザとフィルドの声がはもった。

「そういう訳で俺は知識量だけはあるんですよ。実戦経験はないですがそんなこと言ってられませんしね。知識総動員して疫病を治す方法を何とかします。
それより心配なのが、もしかして病人とかって教会に管理されていて処置は修道士が行っていたりしませんか?しかも処置は血を抜くとかでは?」

「良く分かったな。お前の世界では違うんだろう?」

「カグウ様の言う通り俺の世界では西洋医学と東洋医学と言う物があります。血を抜く医療が行われていたのは中性と呼ばれる時代で行われたのは中世ヨーロッパ、スコラ医学者たちはこの方法を重んじ、治療の目的だけではなく衛生上の目的で定期的に行っていたと言われています。
百年ほど前にになってフランスと言う国の医師P.C.A.ルイが多くの病気に対し、瀉血が治療効果をもたないことを証明し瀉血についての批判を行ったことから血を抜く、と言う治療は施されなくなりました。
現代では抗生物質などで大抵の感染系の病気は治るのですが、誰か手を貸してくれる有能な方はいませんか?手近な物で代わりになる物を作りたいので助手をして下さる人が居ると助かります。
それと教会に上手く説得できる方が居るなら口先で丸め込んじゃって欲しいんですが」

「んじゃソレも先輩に任せよう」

「だったらフカミの助手の方は俺の部下のミホクを付けるよ。器用で頭の良い奴だから役に立つと思う」

「はい、ではチノシス様その件ミホクさんにお伝えください。今日の昼からには行動したいので早めに伝えてくれると助かります」

「今日の昼からとは頑張るね。あんまり無理しないようにね、ふわぁ」

 眠そうな声でチノシスがそう言って朝食は解散となった。
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