15 / 161
【聖女認定とオマケの発案】
しおりを挟む
「ふーちゃん!私聖女って認められたよ!!」
その日、会議室から帰ってきた深海を出迎えた鳴海の最初の一言がそれだった。
「聖女!マジでか!?」
「うん、私ね、他の人が使えない”ブースト”って言う魔法の使い手なんだって!!」
「ブースト、増幅か。他人の能力を向上させるのか?」
「うん。半人前の魔術師さんが出した魔法を数十倍の威力に引き上げれるんだって。これでこの国が負けることがないってクロナ姫が凄く喜んでた。これなら私もふーちゃんも安心してこの国に居ても大丈夫だよね?危害とか加えられないよね?」
「(この国が負けることがない、て戦争でも起こすつもりじゃねーだろーな)あぁナルのお陰で俺たちの身の安全は保障された。これからも上手い具合にクロナ姫の傍に居てくれ。俺はカグウ様の方で国民の方の生活の基盤を作る作業の手伝いをするから一緒には中々居られねーけど大丈夫だよな?」
「うん、でも最近ふーちゃん王様のトコばっかで寂しいな。凄く楽しそうだし。私もそっちに行きたいな……」
しょぼんと鳴海の肩が落ちる。
「悪いな、ナルにだけ嫌な仕事押し付けて」
「ううん、私はクロナ姫の隣でお茶飲んだりお菓子食べたりしてお喋りしてるだけだもん。本当はふーちゃんの方が大変なことしてるって知ってる。ゴメンね、我が儘言っちゃった。王様たちとふーちゃんが仲が良いから少し焼きもち妬いちゃった」
「俺の1番はナルだから」
鳴海の頭をぐしゃぐしゃに撫ぜてやる。
「もーまたそうやって髪の毛グチャグチャにするー!!」
文句を言いつつも鳴海の表情は嬉しそうだった。
:::
「片割れが聖女認定されたそうだな」
何時の間にかラキザの作った食事を6人で囲むのが習慣になっていた。
その朝食の席でカグウが話題を振ってきた。
「そうなんですよね。まさか本物の聖女に認定れるとは…俺の片割れは天使だと思っていたんですがまさか聖女だったとは。処女受胎でもしたらどうしようかと今から心配です」
「まぁその認定も怪しいけどな。ブーストを聖女の能力と認めるべきか認めないべきか。十数年に1人位の割合で使える能力者が現れるからな」
「まぁこれでナルに危害を加えようと言う輩は居なくなるでしょうから良かったです。居たとしても全力でクロナ姫とその取り巻きが守ってくれるでしょうし。なんせクロナ姫はナルが聖女でないと都合が悪いでしょうからね」
クツクツとカグウが笑う。
「暫く泳がせとけ。何せこっちはやる事が多忙にあるんだからな」
硬い黒パンを散ってスープに浸して柔らかくした後口元に運ぶ。
ただそれだけなのに何かと絵になる男だった。
「で、次は何に手を出すの?」
チノシスが眠たげな声でカグウに問いかける。
「国民の衛生感とそれに伴う施設、後は飢えないよう炊き出しも行うべきか」
「だったら何でも良いので発展につながる仕事を与えて労働対価に炊き出しを得れる方が良いんじゃないですか?ただ飯食いが増えると繁栄しようがないですからね」
「んじゃ何してもらう~?」
プカプカ浮くフィルド。
既に食事は食べ終わったらしい。
浮くのは癖みたいなもののようだとこの1ヵ月半あまりで深海は認識している。
そして少しばかりの羨ましさもあったりなかったり。
「まず衛生面ですね。いきなり浴場を作っても今までの固定観念からすぐに受け入れられはしないでしょう。ここでナルの聖女様の名前を借ります。聖女様の世界では肌を清めることで病魔が清められると。
で、国民の皆さんにして貰うのは衛生施設建築と簡易で良いので病人を収容できる施設を作ってその手伝いをして貰います。病人収容施設ではトリアージを行います」
「トリアージ?」
眠そうな声でチノシスが食いついてきた。
チノシスは普段から半分は寝ているようなものだが頭の切れではカグウに次いで良い。
知識を蓄えるのに楽しみを見出している所があるので上手い事そのへんの探求心を擽ればすぐに食いついてくることを深海はもう気付いていた。
「トリアージは俺の世界の救命における作業の1つです。災害などで多数の負傷者が出たときに、緊急の手当を加えれば生命が助かる見込みのある負傷者よりも、生命にはまったく危険のない負傷者を先に治療したり、医療機関に搬送したりすれば、助かる命も助からないという事態がおこります。
このようなことがおこらないように、治療や搬送の優先順位をつけて、負傷者を分類することをトリアージといいます。トリアージでは、ふつう、負傷者をつぎの4群に分類します。
●第1順位、比較的簡単な手当で生命を救える重傷者。時間手当が遅くなっても生命に危険はないが、手術などのために入院が必要な負傷者で、ショックをおこしていない負傷者。赤色のタッグをつけます。
●第2順位、2~3時間、または数時間手当が遅くなっても生命に危険はないが、手術などのために入院が必要な負傷者で、ショックをおこしていない負傷者。黄色のタッグをつけます。
●第3順位、外来治療で対応できる軽傷者や歩行可能な人。小さいけが、打撲、小骨折など。緑色のタッグをつけます。
●第4順位、明らかな遺体。多少の生命徴候はあっても、生命を救える見込みのない絶対予後不良者。黒色のタッグをつけます」
「そのタッグごとに収容場所を変えるわけね」
「お話が早くて助かります。元気な女性や子供は黄色タッグと緑色タッグで働いてもらおうと思います。元気な男性には主に建築作業と農業をして貰います。
高齢者には教養がある者には学校を開きスラム街の子供に簡単な読み書きと計算の仕方を教えて貰います。
後細工師なんかが居れば学校で教えてくれると嬉しいですね。細工師に倣うのはそっちの道で本格的に食べていきたいと思っている子供向けの授業で特別科にしましょうか?
細工は高価な大きい宝石をあえて使わずリーズナブル小さな宝石や硝子を使いな花をモチーフにしたものを作ります。宝石の大きさに拘らない分細工には拘りを。くず宝石を大量に使って華美な見た目の、花の国カカンでないと手に入らないアクセサリーを作れる人材を揃えましょう。
見た目は華美でもコストは安く抑えるのが1番の重要事項です。
あと建築物作る特別科も欲しいですね。まずは手に職をつけて色々な道で稼ぐ方法を覚えて貰いましょう。自分で稼ぐ手段さえ覚えれば盗難なんかの被害も減るはずです」
「でもスラム街の子供がそう簡単に学校へ行こうと思うか?」
おそらく勉強嫌いであろうラキザが苦虫を噛み潰したような顔をする。
「勿論対価なしに学校へ来いとは言いません。給食制度を取り入れます。学校に行ったら将来お金持ちになれるかもしれない手段が学べるうえに1食付いてくる、と言うシステムです。質の良い紙は高いので紙作り初期の頃に出来た多少粗目の紙を使いましょう」
「分かった手配しよう」
やっぱりコキョウの表情筋が動かないので本当に賛成しているのか良く分からないがカグウが異論を唱えていない限りカグウ廃のコキョウが反対することはないだろうと深海は短い付き合いで学んでいる。
どこまでも環境順応能力が高い深海である。
「給食の内容は?」
「ジャガイモは毎日食べ飽きているでしょうから他の物が良いですね。パンとひよこ豆や大豆のスープですかね。先がある子供には栄養がある物を出来るだけ食べて欲しいので。病院食の方は兎に角エネルギーを摂取する必要があるので炭水化物メインで行きます。大麦のオートミール辺りが無難でしょうか?低価格でお腹がいっぱいになる物が望ましいですね」
「その豆畑は俺が作る訳ね」
フィルドが項垂れた。
仕方ないだろう。
深海たちが来てからフィルドは働きづくめだ。
「その事なんですけどその作業を行うの夜じゃダメですかね?フィルド様なら空を飛べますし俺たちの部屋に窓から入れますよね?夜は見張りも少ないので野菜や果実を育てるときにナルも一緒に連れて行けませんか?
ナルのブーストを使えばフィルド様のオドも増えますよね?作りたい野菜もっとあるんでナルのブースト使って栽培のスピードを速めて欲しいんですが、無理ですかね?」
「成程ナルちゃんのブーストね。確かにいい考えだわ。早速今日の夜窓から尋ねるからヨロシクね」
「こちらこそナルをよろしくお願いします」
「でもやる事が明確化してきたけど、そのお金を何処から調達するかが問題だよね~?」
「其の辺りはもう確保済みです」
「え、フカミちゃんお金あるの?」
「お金に換えられるものなら幾何かあります」
そう言って深海は持ち込んでいた麻袋から細やかな細工が施された装飾品や大きな宝石の付いた大量のアクセサリーを机に並べた。
「カグウ様、これで資金の大部分賄えませんか?」
「聖女様への貢ぎ物か?」
「分かっちゃいましたか。ナルがクロナ姫やその取り巻きから貢がれた品物です。こちらの方がお金が必要なので回して貰いました」
「十分だ。チノシス、出来るだけ高くこれを他国に売りさばくように先輩に頼んでくれ」
「りょーかい、あふっ」
いとも簡単に事が運んだ。深みの予定では貨幣に変えるには幾何かの面倒な処理が必要だと思ったのだが。
「カグウ様、先輩と言うのは?」
「あぁ、俺の学院時代の先輩だ。胡散臭いが頭も口も良く回る。知識も豊富で裏の世界もそれなりに知っている信用は出来ないが信頼は出来る人物だ」
「それはまぁ、一癖どころか難癖もありそうな方ですね…」
カグウの周りには癖の有るモノしか集まらないのは何故なのか、深海は感慨深く想いながらも考えるだけ無駄だと思考を停止した。
その日、会議室から帰ってきた深海を出迎えた鳴海の最初の一言がそれだった。
「聖女!マジでか!?」
「うん、私ね、他の人が使えない”ブースト”って言う魔法の使い手なんだって!!」
「ブースト、増幅か。他人の能力を向上させるのか?」
「うん。半人前の魔術師さんが出した魔法を数十倍の威力に引き上げれるんだって。これでこの国が負けることがないってクロナ姫が凄く喜んでた。これなら私もふーちゃんも安心してこの国に居ても大丈夫だよね?危害とか加えられないよね?」
「(この国が負けることがない、て戦争でも起こすつもりじゃねーだろーな)あぁナルのお陰で俺たちの身の安全は保障された。これからも上手い具合にクロナ姫の傍に居てくれ。俺はカグウ様の方で国民の方の生活の基盤を作る作業の手伝いをするから一緒には中々居られねーけど大丈夫だよな?」
「うん、でも最近ふーちゃん王様のトコばっかで寂しいな。凄く楽しそうだし。私もそっちに行きたいな……」
しょぼんと鳴海の肩が落ちる。
「悪いな、ナルにだけ嫌な仕事押し付けて」
「ううん、私はクロナ姫の隣でお茶飲んだりお菓子食べたりしてお喋りしてるだけだもん。本当はふーちゃんの方が大変なことしてるって知ってる。ゴメンね、我が儘言っちゃった。王様たちとふーちゃんが仲が良いから少し焼きもち妬いちゃった」
「俺の1番はナルだから」
鳴海の頭をぐしゃぐしゃに撫ぜてやる。
「もーまたそうやって髪の毛グチャグチャにするー!!」
文句を言いつつも鳴海の表情は嬉しそうだった。
:::
「片割れが聖女認定されたそうだな」
何時の間にかラキザの作った食事を6人で囲むのが習慣になっていた。
その朝食の席でカグウが話題を振ってきた。
「そうなんですよね。まさか本物の聖女に認定れるとは…俺の片割れは天使だと思っていたんですがまさか聖女だったとは。処女受胎でもしたらどうしようかと今から心配です」
「まぁその認定も怪しいけどな。ブーストを聖女の能力と認めるべきか認めないべきか。十数年に1人位の割合で使える能力者が現れるからな」
「まぁこれでナルに危害を加えようと言う輩は居なくなるでしょうから良かったです。居たとしても全力でクロナ姫とその取り巻きが守ってくれるでしょうし。なんせクロナ姫はナルが聖女でないと都合が悪いでしょうからね」
クツクツとカグウが笑う。
「暫く泳がせとけ。何せこっちはやる事が多忙にあるんだからな」
硬い黒パンを散ってスープに浸して柔らかくした後口元に運ぶ。
ただそれだけなのに何かと絵になる男だった。
「で、次は何に手を出すの?」
チノシスが眠たげな声でカグウに問いかける。
「国民の衛生感とそれに伴う施設、後は飢えないよう炊き出しも行うべきか」
「だったら何でも良いので発展につながる仕事を与えて労働対価に炊き出しを得れる方が良いんじゃないですか?ただ飯食いが増えると繁栄しようがないですからね」
「んじゃ何してもらう~?」
プカプカ浮くフィルド。
既に食事は食べ終わったらしい。
浮くのは癖みたいなもののようだとこの1ヵ月半あまりで深海は認識している。
そして少しばかりの羨ましさもあったりなかったり。
「まず衛生面ですね。いきなり浴場を作っても今までの固定観念からすぐに受け入れられはしないでしょう。ここでナルの聖女様の名前を借ります。聖女様の世界では肌を清めることで病魔が清められると。
で、国民の皆さんにして貰うのは衛生施設建築と簡易で良いので病人を収容できる施設を作ってその手伝いをして貰います。病人収容施設ではトリアージを行います」
「トリアージ?」
眠そうな声でチノシスが食いついてきた。
チノシスは普段から半分は寝ているようなものだが頭の切れではカグウに次いで良い。
知識を蓄えるのに楽しみを見出している所があるので上手い事そのへんの探求心を擽ればすぐに食いついてくることを深海はもう気付いていた。
「トリアージは俺の世界の救命における作業の1つです。災害などで多数の負傷者が出たときに、緊急の手当を加えれば生命が助かる見込みのある負傷者よりも、生命にはまったく危険のない負傷者を先に治療したり、医療機関に搬送したりすれば、助かる命も助からないという事態がおこります。
このようなことがおこらないように、治療や搬送の優先順位をつけて、負傷者を分類することをトリアージといいます。トリアージでは、ふつう、負傷者をつぎの4群に分類します。
●第1順位、比較的簡単な手当で生命を救える重傷者。時間手当が遅くなっても生命に危険はないが、手術などのために入院が必要な負傷者で、ショックをおこしていない負傷者。赤色のタッグをつけます。
●第2順位、2~3時間、または数時間手当が遅くなっても生命に危険はないが、手術などのために入院が必要な負傷者で、ショックをおこしていない負傷者。黄色のタッグをつけます。
●第3順位、外来治療で対応できる軽傷者や歩行可能な人。小さいけが、打撲、小骨折など。緑色のタッグをつけます。
●第4順位、明らかな遺体。多少の生命徴候はあっても、生命を救える見込みのない絶対予後不良者。黒色のタッグをつけます」
「そのタッグごとに収容場所を変えるわけね」
「お話が早くて助かります。元気な女性や子供は黄色タッグと緑色タッグで働いてもらおうと思います。元気な男性には主に建築作業と農業をして貰います。
高齢者には教養がある者には学校を開きスラム街の子供に簡単な読み書きと計算の仕方を教えて貰います。
後細工師なんかが居れば学校で教えてくれると嬉しいですね。細工師に倣うのはそっちの道で本格的に食べていきたいと思っている子供向けの授業で特別科にしましょうか?
細工は高価な大きい宝石をあえて使わずリーズナブル小さな宝石や硝子を使いな花をモチーフにしたものを作ります。宝石の大きさに拘らない分細工には拘りを。くず宝石を大量に使って華美な見た目の、花の国カカンでないと手に入らないアクセサリーを作れる人材を揃えましょう。
見た目は華美でもコストは安く抑えるのが1番の重要事項です。
あと建築物作る特別科も欲しいですね。まずは手に職をつけて色々な道で稼ぐ方法を覚えて貰いましょう。自分で稼ぐ手段さえ覚えれば盗難なんかの被害も減るはずです」
「でもスラム街の子供がそう簡単に学校へ行こうと思うか?」
おそらく勉強嫌いであろうラキザが苦虫を噛み潰したような顔をする。
「勿論対価なしに学校へ来いとは言いません。給食制度を取り入れます。学校に行ったら将来お金持ちになれるかもしれない手段が学べるうえに1食付いてくる、と言うシステムです。質の良い紙は高いので紙作り初期の頃に出来た多少粗目の紙を使いましょう」
「分かった手配しよう」
やっぱりコキョウの表情筋が動かないので本当に賛成しているのか良く分からないがカグウが異論を唱えていない限りカグウ廃のコキョウが反対することはないだろうと深海は短い付き合いで学んでいる。
どこまでも環境順応能力が高い深海である。
「給食の内容は?」
「ジャガイモは毎日食べ飽きているでしょうから他の物が良いですね。パンとひよこ豆や大豆のスープですかね。先がある子供には栄養がある物を出来るだけ食べて欲しいので。病院食の方は兎に角エネルギーを摂取する必要があるので炭水化物メインで行きます。大麦のオートミール辺りが無難でしょうか?低価格でお腹がいっぱいになる物が望ましいですね」
「その豆畑は俺が作る訳ね」
フィルドが項垂れた。
仕方ないだろう。
深海たちが来てからフィルドは働きづくめだ。
「その事なんですけどその作業を行うの夜じゃダメですかね?フィルド様なら空を飛べますし俺たちの部屋に窓から入れますよね?夜は見張りも少ないので野菜や果実を育てるときにナルも一緒に連れて行けませんか?
ナルのブーストを使えばフィルド様のオドも増えますよね?作りたい野菜もっとあるんでナルのブースト使って栽培のスピードを速めて欲しいんですが、無理ですかね?」
「成程ナルちゃんのブーストね。確かにいい考えだわ。早速今日の夜窓から尋ねるからヨロシクね」
「こちらこそナルをよろしくお願いします」
「でもやる事が明確化してきたけど、そのお金を何処から調達するかが問題だよね~?」
「其の辺りはもう確保済みです」
「え、フカミちゃんお金あるの?」
「お金に換えられるものなら幾何かあります」
そう言って深海は持ち込んでいた麻袋から細やかな細工が施された装飾品や大きな宝石の付いた大量のアクセサリーを机に並べた。
「カグウ様、これで資金の大部分賄えませんか?」
「聖女様への貢ぎ物か?」
「分かっちゃいましたか。ナルがクロナ姫やその取り巻きから貢がれた品物です。こちらの方がお金が必要なので回して貰いました」
「十分だ。チノシス、出来るだけ高くこれを他国に売りさばくように先輩に頼んでくれ」
「りょーかい、あふっ」
いとも簡単に事が運んだ。深みの予定では貨幣に変えるには幾何かの面倒な処理が必要だと思ったのだが。
「カグウ様、先輩と言うのは?」
「あぁ、俺の学院時代の先輩だ。胡散臭いが頭も口も良く回る。知識も豊富で裏の世界もそれなりに知っている信用は出来ないが信頼は出来る人物だ」
「それはまぁ、一癖どころか難癖もありそうな方ですね…」
カグウの周りには癖の有るモノしか集まらないのは何故なのか、深海は感慨深く想いながらも考えるだけ無駄だと思考を停止した。
1
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~
銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。
少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。
ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。
陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。
その結果――?

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる