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2章

【203話】

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「母様、最近とみに忙しそうですね」

「全能神の仕事は気を遣う事も多いのだよ。私は遊んでいるように見えてちゃんと仕事しているのだぞ?少しは尊敬をしても良いぞドラジュ」

「尊敬しているよ、でもソレは貴方じゃない」

「!?」

 ドッ!!

 パァンッ!!

 ドラジュがサイヒの首を刎ねた。
 闘気を纏わせた手刀。
 神の座に就くものであっても躱せない程の速さと威力。
 この場に誰かいたらその気迫に腰を抜かしていただろう。
 それほどドラジュの瞳には剣呑な光が宿っていた。

「親の首をそう躊躇なく刎ねる出ないドラジュ」

「母様!」

 ドラジュの顔に表情が戻る。
 先ほどの冷徹な能面のような表情は嘘だったかのような代わり映え。
 ドラジュはマザコンの気があるのでサイヒに弱い。
 なのでサイヒの名を語るものは、それがサイヒの作った式神であっても許せないのだ。

「だってアレは母様じゃないでしょう?父様も」

「勘が鋭い息子を持つと苦労する」

「僕は苦労させる側の子供じゃなくて苦労を一緒に背負ってあげる方の息子だよ」

 そう優しげな顔で微笑むとルーク似のエメラルドの瞳が優しい光を宿す。
 サイヒはこの笑顔に弱い。
 元々子供たちを溺愛している上に、最愛のルークに似た笑顔。
 適当に誤魔化すのは無理そうだな、とサイヒは腹を括った。
 でも誤魔化すのを止めるのはドラジュのみ。
 もう1人の愛娘は今が大切な時期だ。
 心労はかけたくない。
 全てが終われば幾らでも愚痴は聞くから今は安静にして欲しいのだ。

「大丈夫、姉様には言わないよ」

「本当に、勘が鋭すぎて困ったものだ…誰に似たのだ………?」

「僕的には母様だと思うけど?」

「私はお前程ヤンデレではないぞ?」

「無自覚?」

「自覚した事は無いな。私は誰にでも優しい全能神様だぞ?」

「じゃぁ今度自覚できるようにお茶の時間にたっぷり母様のヤンデル所と変に勘の鋭い所を教えてあげるよ」

「御免被りたいな、息子の説教は聞きたくない」

 サイヒの言葉にふふ、とドラジュは優しい笑みを浮かべた。

「じゃぁ説教は勘弁してあげるから、今の状態教えてくれるよね?」

「大体分かっているのだろう?それならもう共犯者だ」

「母様と共犯者か、良いね!父様が帰って来たら存分に自慢しよう♫」

 ニッコリと微笑む姿は父親に似ているのに。
 外見はルーク似の美丈夫なのに。
 残念なことにドラジュの本質はサイヒに似てしまったようだ。
 コレに本人は喜んでいるから本人的には残念ではないらしいが。

「さぁ、じゃぁお茶の用意がすんでいるんだ。マロンさんに腕を振るって貰ったから久しぶりに美味しいお茶が飲めるよ。そこでお話して貰おうかな?」

 クオンとマロンもサイヒ側だという事をちゃんと理解している。
 そのうえでお茶の用意をして貰ったのだろう。
 本当に抜け目がない。

「姉様は誘ってないから安心して良いよ母様、じゃぁお話しよっか」

 ニコリとドラジュが微笑む。
 そのルークに似た笑顔を見て、サイヒは久しぶりに肩の力が抜けたのであった。
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