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そして全能神は愉快犯となった
【173話】
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サイヒとルークが旅行から帰って来て1週間がたった。
サイヒは相変わらず人を誑かすし、神業(神様だけど)のスピードで仕事を仕上げ変装して城下町に繰り出すし、旅行前と変わらない日常が戻ってきた。
今日はこのところ城下町を騒がしていた変質者のカンチアカーンと言う男を捕まえて来た。
正確には捕まえて消えた。
王宮で働くものとは接触しないようにしているのである。
リリー・オブ・ザ・ヴァリーはあくまで城下町の遊び人のリリーさんなのである。
そんな毎日を送り、今日は久々のオフである。
サイヒは1人、サロンで茶を嗜んでいた。
今日は1人になりたい気分なので人払いをしている。
マロンもお供に付けていない。
茶の用意は【全知全能】の能力でほい、と力を振るえば美味しそうな紅茶と焼き菓子が用意できた。
そんな人払いしているサロンに訪問者が訪れた。
サイヒの対人用結界が機能しなかったのだ。
つまりはサイヒが傍に寄られても良い人物が来たと言う証拠でもあった。
「このところ毎日楽しそうだな」
「珍しいな、クオンが私単体と喋りたがるなんて」
「話がしたい訳じゃない、今からするのは詰問だ」
「おやおや、ソレは穏やかじゃないな」
「ふざけるな、お前、ルーク様に何をした?」
「何?ナニならこのところはしておらんぞ」
「下らん返しは止めろ。冗談を聞き流せる気分じゃない、分かっているんだろう?」
「いやいや下らん冗談じゃない。本当にこのところルークとは普通に眠っているだけだ。ベッドが広いから2人で寝ても何も問題ないが、今互いに自室のベッドで寝ようか相談中でもある」
「なっ!?」
「夫婦でもプライバシーは大切だろう。誰だって1人になりたい日だってあると言う事だ」
そんな事がある筈が無い。
ルークがサイヒと離れる事を望むわけがない。
何もかも捨ててルークはサイヒを追って天界に来た。
人間の皇太子の座を捨てて。
悪魔の王の座を捨てて。
サイヒだけを手中に収めるためにルークは全てを捨てて天界に来たのだ。
そしてそんなルークを受け止めたのはサイヒなのだ。
今さら1人になりたい?
そんな事信じられる訳がない。
「20年間、ずっと比翼の鳥の様に連れ添ったルーク様とお前が別々に寝る?何故そんな事になっているんだ!?」
「あまり声を荒げるな怖い怖い。私だって女だぞ?2人きりの空間で大柄の男に詰問されて恐怖を感じないとでも思っているのか?」
「お前が私を怖がる筈が無いだろう?なぁ全能神」
「クオン、お前返し方が少し質が悪くなっったぞ?ドラジュの影響か?」
「話を逸らすな」
「ウーム、本当お前は私に思い通りに動かせてくれんな」
「心友を思い通りに動かしたいなんて思っても無い事を言うな」
「お前と言いルーシュと言い、私は心友に恵まれているな」
「じゃぁ話せ、誰に話せなくても私になら話せるだろう。心友だろう」
「さて、どこから話そうか………」
はぁ、と珍しく憂いた顔で溜息を吐いたサイヒは事の起こりをポツリポツリと語り始めるのだった。
サイヒは相変わらず人を誑かすし、神業(神様だけど)のスピードで仕事を仕上げ変装して城下町に繰り出すし、旅行前と変わらない日常が戻ってきた。
今日はこのところ城下町を騒がしていた変質者のカンチアカーンと言う男を捕まえて来た。
正確には捕まえて消えた。
王宮で働くものとは接触しないようにしているのである。
リリー・オブ・ザ・ヴァリーはあくまで城下町の遊び人のリリーさんなのである。
そんな毎日を送り、今日は久々のオフである。
サイヒは1人、サロンで茶を嗜んでいた。
今日は1人になりたい気分なので人払いをしている。
マロンもお供に付けていない。
茶の用意は【全知全能】の能力でほい、と力を振るえば美味しそうな紅茶と焼き菓子が用意できた。
そんな人払いしているサロンに訪問者が訪れた。
サイヒの対人用結界が機能しなかったのだ。
つまりはサイヒが傍に寄られても良い人物が来たと言う証拠でもあった。
「このところ毎日楽しそうだな」
「珍しいな、クオンが私単体と喋りたがるなんて」
「話がしたい訳じゃない、今からするのは詰問だ」
「おやおや、ソレは穏やかじゃないな」
「ふざけるな、お前、ルーク様に何をした?」
「何?ナニならこのところはしておらんぞ」
「下らん返しは止めろ。冗談を聞き流せる気分じゃない、分かっているんだろう?」
「いやいや下らん冗談じゃない。本当にこのところルークとは普通に眠っているだけだ。ベッドが広いから2人で寝ても何も問題ないが、今互いに自室のベッドで寝ようか相談中でもある」
「なっ!?」
「夫婦でもプライバシーは大切だろう。誰だって1人になりたい日だってあると言う事だ」
そんな事がある筈が無い。
ルークがサイヒと離れる事を望むわけがない。
何もかも捨ててルークはサイヒを追って天界に来た。
人間の皇太子の座を捨てて。
悪魔の王の座を捨てて。
サイヒだけを手中に収めるためにルークは全てを捨てて天界に来たのだ。
そしてそんなルークを受け止めたのはサイヒなのだ。
今さら1人になりたい?
そんな事信じられる訳がない。
「20年間、ずっと比翼の鳥の様に連れ添ったルーク様とお前が別々に寝る?何故そんな事になっているんだ!?」
「あまり声を荒げるな怖い怖い。私だって女だぞ?2人きりの空間で大柄の男に詰問されて恐怖を感じないとでも思っているのか?」
「お前が私を怖がる筈が無いだろう?なぁ全能神」
「クオン、お前返し方が少し質が悪くなっったぞ?ドラジュの影響か?」
「話を逸らすな」
「ウーム、本当お前は私に思い通りに動かせてくれんな」
「心友を思い通りに動かしたいなんて思っても無い事を言うな」
「お前と言いルーシュと言い、私は心友に恵まれているな」
「じゃぁ話せ、誰に話せなくても私になら話せるだろう。心友だろう」
「さて、どこから話そうか………」
はぁ、と珍しく憂いた顔で溜息を吐いたサイヒは事の起こりをポツリポツリと語り始めるのだった。
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