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そして全能神は愉快犯となった
【120話】
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「あ、あれカマラ君?」
「えぇ、兄さんですね」
カフェの窓から外をのぞくと黒髪黒目に姿を変えたカマラが、庇護欲をそそる可憐な少女と2人で歩いていた。
少女を見るカマラの目は、とんでもなく優しい。
天界に居る時には見られなかった目だ。
表情も柔らかい。
「あの子がカマラ君の好きな子かぁ…サイヒちゃんと似た顔でああも相好を崩されると複雑な気分になるわ」
「ユラさんは母様と兄さんの顔の方が僕の顔より好きなのですか?」
「へぁっ?」
思わず間抜けな声がユラの口から出る。
想像もしなかった言葉をかけられたからだ。
「そ、そう言う事じゃなくて!サイヒちゃんとカマラ君は私の親友だった子に似ているから、その似た顔であんな表情されると何と言うか、親友が知らない女の子にデレデレしてるみたいで、複雑?みたいな…」
「そのご親友さんが好きだったのですか?僕の先祖に当たる方ですよね?」
「そりゃ数億年も付き合いがあったんだもの。好きに決まっているじゃない」
「ユラさんはご先祖様と恋愛関係にあったのですか?」
「そんなのある訳無いじゃない!相手は女の子よ!」
「女性同士での恋愛もあるでしょう?」
「ナイナイ!あったら今頃貴方たちが生まれてないわよ」
「つまりユラさんの片思いだった、と?」
「私とあの子との間にそういうのは一切ないの!」
「でもユラさん、お母様と兄さんの顔好きですよね?」
「それは…好き、だけど………」
はっきり言ってサイヒやカマラの顔はユラの好みドストライクだ。
ストレートど真ん中剛速球と言ったくらい好みだ。
男にも女にも見える特上の美貌。
こんな美しい存在は唯一無二であろう思わせる完璧を越えた奇跡の美しさ。
そんなにも綺麗な顔が好みで無いと言う人物があったら是非会ってみたい。
それくらいにサイヒとカマラの美貌は凄まじい。
だがドラジュだってタイプは違うが奇跡的な美しさと言った点では同様なのだ。
ルークとサイヒの良い所を取って来た、と言える顔だ。
2人のどちらにも似ているようでどちらにも似ていない。
唯一無二と言うならドラジュの方が当て嵌まる。
サイヒとカマラはそっくりだし、その先祖も生き写しのような美貌なのだから。
ドラジュの顔の方がユラにとっては緊張する美貌なのだ。
何せ親友と似ていないのに、それと同様クラスの美貌の持ち主。
出会ったことのないタイプの美貌。
サイヒとカマラがストレートのドストライクと言うなら、ドラジュだって魔球クラスの変化球で好みドストライクである。
「じゃぁ僕の顔は好きですか?」
ニコニコと微笑まれながらドラジュに尋ねられる。
「うっ…」
「好き?嫌い?」
子供に問いかける様な優しい声と表情でドラジュが問いかける。
その笑みは優しいはずなのに、圧が凄い。
物凄い圧がドラジュから発せられていた。
美形の笑顔…迫力半端ない。
周囲の女性はもうドラジュを見て、倒れそうなくらい頬を真っ赤に染めている。
ギャラリーが羨ましいとユラは思った。
この質問をこのプレッシャーの中で答えなくとも良いのだから。
見ている分には眼福この上ないだろう。
モブAになりたい。
今のユラの心情だった。
「ねぇユラさん、僕の顔は好き?嫌い?」
甘いテノールが鼓膜を擽る。
耳が孕みそうだ。
ギャラリーの女性の何人かは既に腰を砕けさせ、テーブルと仲良くなっている。
変わってくれ!
ユラは背中に冷や汗が流れるのを感じた。
なのに顔には熱が集まる。
赤くなったり青くなったりとユラの顔面は忙しい。
キュ、とドラジュはユラの指先を握った。
「答えるまで、離さないですよ?」
チュッ
ユラの中指にドラジュの唇がリップ音を立てて触れる。
グラリ
ゴン!
「ゆ、ユラさん!大丈夫ですか!?」
ユラは全身を真っ赤にしてテーブルに突っ伏した。
眼が回ってしまって瞳が虚ろである。
クタリとその全身に力が完全に入っていない脱力状態だ。
「焦りすぎたかな…?」
ついカマラに心があるんじゃないかと言う発言を聞いて、ドラジュも嫉妬してしまったのだ。
だがこのユラの反応。
男慣れしていないのが丸わかりだ。
クスリ、とドラジュは妖艶な笑みを浮かべた。
「これ位で気をやるなんて、本当に可愛い。まだ誰も手付かずなその全て、僕色に染めたいね、早く」
クスクス笑うドラジュの垂れ流される色気に、カフェにいる女性たちは腰を砕けさせテーブルや床とお友達になるのであった。
ドラジュ、ユラを口説くのに夢中過ぎてすっかり本来の目的を忘れている。
カマラが少女とカフェに入って来て初めてドラジュは本来の目的を思い出すのであった。
「えぇ、兄さんですね」
カフェの窓から外をのぞくと黒髪黒目に姿を変えたカマラが、庇護欲をそそる可憐な少女と2人で歩いていた。
少女を見るカマラの目は、とんでもなく優しい。
天界に居る時には見られなかった目だ。
表情も柔らかい。
「あの子がカマラ君の好きな子かぁ…サイヒちゃんと似た顔でああも相好を崩されると複雑な気分になるわ」
「ユラさんは母様と兄さんの顔の方が僕の顔より好きなのですか?」
「へぁっ?」
思わず間抜けな声がユラの口から出る。
想像もしなかった言葉をかけられたからだ。
「そ、そう言う事じゃなくて!サイヒちゃんとカマラ君は私の親友だった子に似ているから、その似た顔であんな表情されると何と言うか、親友が知らない女の子にデレデレしてるみたいで、複雑?みたいな…」
「そのご親友さんが好きだったのですか?僕の先祖に当たる方ですよね?」
「そりゃ数億年も付き合いがあったんだもの。好きに決まっているじゃない」
「ユラさんはご先祖様と恋愛関係にあったのですか?」
「そんなのある訳無いじゃない!相手は女の子よ!」
「女性同士での恋愛もあるでしょう?」
「ナイナイ!あったら今頃貴方たちが生まれてないわよ」
「つまりユラさんの片思いだった、と?」
「私とあの子との間にそういうのは一切ないの!」
「でもユラさん、お母様と兄さんの顔好きですよね?」
「それは…好き、だけど………」
はっきり言ってサイヒやカマラの顔はユラの好みドストライクだ。
ストレートど真ん中剛速球と言ったくらい好みだ。
男にも女にも見える特上の美貌。
こんな美しい存在は唯一無二であろう思わせる完璧を越えた奇跡の美しさ。
そんなにも綺麗な顔が好みで無いと言う人物があったら是非会ってみたい。
それくらいにサイヒとカマラの美貌は凄まじい。
だがドラジュだってタイプは違うが奇跡的な美しさと言った点では同様なのだ。
ルークとサイヒの良い所を取って来た、と言える顔だ。
2人のどちらにも似ているようでどちらにも似ていない。
唯一無二と言うならドラジュの方が当て嵌まる。
サイヒとカマラはそっくりだし、その先祖も生き写しのような美貌なのだから。
ドラジュの顔の方がユラにとっては緊張する美貌なのだ。
何せ親友と似ていないのに、それと同様クラスの美貌の持ち主。
出会ったことのないタイプの美貌。
サイヒとカマラがストレートのドストライクと言うなら、ドラジュだって魔球クラスの変化球で好みドストライクである。
「じゃぁ僕の顔は好きですか?」
ニコニコと微笑まれながらドラジュに尋ねられる。
「うっ…」
「好き?嫌い?」
子供に問いかける様な優しい声と表情でドラジュが問いかける。
その笑みは優しいはずなのに、圧が凄い。
物凄い圧がドラジュから発せられていた。
美形の笑顔…迫力半端ない。
周囲の女性はもうドラジュを見て、倒れそうなくらい頬を真っ赤に染めている。
ギャラリーが羨ましいとユラは思った。
この質問をこのプレッシャーの中で答えなくとも良いのだから。
見ている分には眼福この上ないだろう。
モブAになりたい。
今のユラの心情だった。
「ねぇユラさん、僕の顔は好き?嫌い?」
甘いテノールが鼓膜を擽る。
耳が孕みそうだ。
ギャラリーの女性の何人かは既に腰を砕けさせ、テーブルと仲良くなっている。
変わってくれ!
ユラは背中に冷や汗が流れるのを感じた。
なのに顔には熱が集まる。
赤くなったり青くなったりとユラの顔面は忙しい。
キュ、とドラジュはユラの指先を握った。
「答えるまで、離さないですよ?」
チュッ
ユラの中指にドラジュの唇がリップ音を立てて触れる。
グラリ
ゴン!
「ゆ、ユラさん!大丈夫ですか!?」
ユラは全身を真っ赤にしてテーブルに突っ伏した。
眼が回ってしまって瞳が虚ろである。
クタリとその全身に力が完全に入っていない脱力状態だ。
「焦りすぎたかな…?」
ついカマラに心があるんじゃないかと言う発言を聞いて、ドラジュも嫉妬してしまったのだ。
だがこのユラの反応。
男慣れしていないのが丸わかりだ。
クスリ、とドラジュは妖艶な笑みを浮かべた。
「これ位で気をやるなんて、本当に可愛い。まだ誰も手付かずなその全て、僕色に染めたいね、早く」
クスクス笑うドラジュの垂れ流される色気に、カフェにいる女性たちは腰を砕けさせテーブルや床とお友達になるのであった。
ドラジュ、ユラを口説くのに夢中過ぎてすっかり本来の目的を忘れている。
カマラが少女とカフェに入って来て初めてドラジュは本来の目的を思い出すのであった。
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