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そして全能神は愉快犯となった

【108話】

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「うむ、どうするか…これは人を選びそうだな………」

「どうかしたのかサイヒ?」

 キングサイズの天蓋ベッドで横になり、さぁ睡眠といったところでサイヒが呟いた。
 隣で寝ているルークがサイヒを見つめる。

 相変わらず美しいエメラルドグリーンの瞳だ。

 その目を見るとついつい色んなことをしたくなるサイヒだが、本日はもう随分鳴かせた。
 これ以上無体を強いるのはルークの体力的に無理であろう。

「うむ、私は現在【全知全能】の能力が使える訳だが」

「便利だな」

「あぁ便利だ。で、大抵のことが出来る訳だ」

「流石はサイヒだな」

 ルークがニッコニコと笑顔を浮かべる。 
 サイヒが凄い事はルークの誇りである。
 思わず笑顔にもなろうと言うモノだ。

「で、性別を変えたりも出来る訳だ」

「!?」

 ルークが驚きで目を見開く。

「男装ではなく完全な男体化が今の私には出来る」

「サイヒ…好きな女性が出来たのか………」

 ボロボロと大粒の涙がルークの目から零れだす。
 サイヒに好きな女が出来たから男になりたいと思い込んだ様だ。

「男として愛したい女性が居るのだな?」

「あぁ、泣くなルーク。本当に可愛らしい。想像で泣くほど私が好きか?」

「私はサイヒが居るから生きている。サイヒが居ない世界などいらない……」

 サイヒがルークの涙を唇で掬い取る。

「ルークの涙は甘いな」

「そんなこと無い」

 ふい、とルークが顔を横に向けた。
 その仕種すらサイヒには愛おしい。

「男体化も出来るが、他者を女体化することも出来る」

「男を女に変えるのか?」

「あぁ、私が男になった姿はどうなるだろう?ルークはどう想像する?」

「サイヒが男…それは美しくも逞しい美丈夫になりそうだ…世の女がほっとくまい………」

「ルークが女になれば絶世の美女になるだろうな。それこそ傾国と言う言葉が似合うだろう」

「そんな…私はサイヒの程美しくない……」

「何を言う、ルーク其方は美しい。こうして私の心を何時でも熱くする」

「サイヒ……」

 頬どころか肌迄赤く染まり、ルークはサイヒに潤んだ瞳を向ける。
 これでは”食べて下さい”と言っているようなものだ。
 サイヒは既に散々ルークを鳴かしたので今夜は我慢するが。

「男になった私に女として抱かれてみる気は無いか?」

「ほぁっ!?」

「私たちの寿命は長い。少しでもマンネリ防止にどうかと思ったのだが…まぁ今はまだ良いか。そなままのルークをまだまだ愛したいしな」

 確かにTS化は人を選ぶだろう。
 だがサイヒが1言「ルークを抱きたい」と言えばルークは喜んで体を差し出すだろう。
 そんな想像をしながら”楽しみは取っておこう”とサイヒはルークの頬に口付けた。

「変な事を言って混乱させたな。まぁ気にしないでくれ。お休み、ルーク」

 そしてサイヒは眠りに落ちていくのだが。

(サイヒに抱かれる?私が女になる?サイヒが男になる?では私がサイヒの子を宿す事も出来る!?)

 真っ赤になって色々想像してしまったルークは睡眠どころでは無かったと言う。
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