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《183話》
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「美味いっ!!」
ダイニングにラックの声が響いた。
そうラックはセブンの料理を食べるのは初めてだったのだ。
全能神も認めるセブンの料理の腕。
その手が作る物が不味い訳がない。
「黒いの!お前も妾のものにならんか?よく見れば中々に美しいし料理は旨い。伴侶には持ってこいじゃ!」
「そうよね!ドクターはイイ男だわ、トカゲはレオじゃなくてドクターに鞍替えしなさい!」
「エロナース、俺を人身御供にするんじゃない」
ポン、とナナの前髪に火が付いた。
セブンが火魔術を使ったのだ。
「アツツツツツツツッ!!ドクター酷い~~~~~っ!!!」
「酷いのはお前だエロナース」
大人数での食事は賑やかで楽しいものだ。
サラはこの家族団らんみたいな雰囲気で食事をするのが好きだった。
好きだった、のだが………。
「セブンさんは、もの、じゃない、です」
現在サラは不満そうな顔をしている。
食事は美味しい。
いつも通り美味しい。
人数が多い事が分かっていたから取り分が少なくなった訳でもない。
だが楽しく無いのだ。
最近はセブンと2人きりの食事が多かった。
優しいセブンとゆっくり食べるご飯は胸がポカポカしてそれはそれは美味しく心地の良い時間だ。
美味しい料理はこれ程気分を幸せにしてくれるのだとサラは思っていた。
だがそれは違ったようだ。
美味しくても。
セブンが居ても。
別の女がセブンの事で盛り上がっていたら楽しく無いのだ。
サラ自身もこの現象は謎である。
何故美味しいご飯を食べてるのに幸せで無いのか?
何時もならセブンとお喋りしながら食べるのだ。
セブンはずっとサラにだけ意識を向けてくれてるのだ。
でも今は違う。
サラ以外の女に意識を向けている。
胸がムカつく。
食欲が無いわけではない。
いつも通り美味しい食事を堪能している。
だから原因は料理でなくセブンだとサラは分かっている。
「黒いの、今日から妾は食事はここでするぞ!」
「何言って―――
「駄目ですっ!!!」
サラは脊髄反射で声を出していた。
「あ、その………」
「ほう、そうかそうか其方は黒いのの番か。ソレは失礼した。番がある者に色目を使われるのは気分が良くないものじゃからなぁ。
安心せよ法術師、妾は其方の番を取ったりはせぬよ。だが法術師はちゃんと黒いのが自分の番だとアピールしなければならんぞ?
でないと妾のように何も知らぬ雌が言い寄るかもしれんからなぁ。
黒いのは妾の眼にもかなう良い雄じゃ。しっかり捕まえておけ法術師。番を取られる雌など魅力がないも同然だからのう」
ラックが以外にも潔く身を引いた。
他人の番を奪うのは駄目だとちゃんと倫理観があるらしい。
ドラゴン世界にも色々あるようだ。
なら何故ナナが居るレオンハルトにはアピールするのか。
それはまだ番にまでなってないとラックには見えるからだ。
まだ自分の付け入れる隙があるようにラックには2人の関係は見れる。
なら優秀な雄の遺伝子が欲しくなるのは雌の本能なので仕方ない。
1人身の良い雄は良い雌に争われものなのだ。
そして絶賛ナナとラックはバトルの最中なのである。
「あ、わた、し…つが、い…………」
漸くラックの言葉をサラが飲み込めた。
意味が分かった。
ラックから見て、サラとセブンは番に見えるのだ。
「私と、セブンさん、が?」
ちらり、と横に座るセブンを見る。
「!!」
そしてセブンが熱を孕んだ優しい目で自分を見てることに気付いた。
こんな目でいつも自分を見ていてくれたのだと気付いた。
その目が、不快でなくここと良いものであると気付いた。
(ずっと、セブンさんの隣に、居たい………)
そして遂に、サラは己がセブンに恋をしている事に気付いたのだった。
ダイニングにラックの声が響いた。
そうラックはセブンの料理を食べるのは初めてだったのだ。
全能神も認めるセブンの料理の腕。
その手が作る物が不味い訳がない。
「黒いの!お前も妾のものにならんか?よく見れば中々に美しいし料理は旨い。伴侶には持ってこいじゃ!」
「そうよね!ドクターはイイ男だわ、トカゲはレオじゃなくてドクターに鞍替えしなさい!」
「エロナース、俺を人身御供にするんじゃない」
ポン、とナナの前髪に火が付いた。
セブンが火魔術を使ったのだ。
「アツツツツツツツッ!!ドクター酷い~~~~~っ!!!」
「酷いのはお前だエロナース」
大人数での食事は賑やかで楽しいものだ。
サラはこの家族団らんみたいな雰囲気で食事をするのが好きだった。
好きだった、のだが………。
「セブンさんは、もの、じゃない、です」
現在サラは不満そうな顔をしている。
食事は美味しい。
いつも通り美味しい。
人数が多い事が分かっていたから取り分が少なくなった訳でもない。
だが楽しく無いのだ。
最近はセブンと2人きりの食事が多かった。
優しいセブンとゆっくり食べるご飯は胸がポカポカしてそれはそれは美味しく心地の良い時間だ。
美味しい料理はこれ程気分を幸せにしてくれるのだとサラは思っていた。
だがそれは違ったようだ。
美味しくても。
セブンが居ても。
別の女がセブンの事で盛り上がっていたら楽しく無いのだ。
サラ自身もこの現象は謎である。
何故美味しいご飯を食べてるのに幸せで無いのか?
何時もならセブンとお喋りしながら食べるのだ。
セブンはずっとサラにだけ意識を向けてくれてるのだ。
でも今は違う。
サラ以外の女に意識を向けている。
胸がムカつく。
食欲が無いわけではない。
いつも通り美味しい食事を堪能している。
だから原因は料理でなくセブンだとサラは分かっている。
「黒いの、今日から妾は食事はここでするぞ!」
「何言って―――
「駄目ですっ!!!」
サラは脊髄反射で声を出していた。
「あ、その………」
「ほう、そうかそうか其方は黒いのの番か。ソレは失礼した。番がある者に色目を使われるのは気分が良くないものじゃからなぁ。
安心せよ法術師、妾は其方の番を取ったりはせぬよ。だが法術師はちゃんと黒いのが自分の番だとアピールしなければならんぞ?
でないと妾のように何も知らぬ雌が言い寄るかもしれんからなぁ。
黒いのは妾の眼にもかなう良い雄じゃ。しっかり捕まえておけ法術師。番を取られる雌など魅力がないも同然だからのう」
ラックが以外にも潔く身を引いた。
他人の番を奪うのは駄目だとちゃんと倫理観があるらしい。
ドラゴン世界にも色々あるようだ。
なら何故ナナが居るレオンハルトにはアピールするのか。
それはまだ番にまでなってないとラックには見えるからだ。
まだ自分の付け入れる隙があるようにラックには2人の関係は見れる。
なら優秀な雄の遺伝子が欲しくなるのは雌の本能なので仕方ない。
1人身の良い雄は良い雌に争われものなのだ。
そして絶賛ナナとラックはバトルの最中なのである。
「あ、わた、し…つが、い…………」
漸くラックの言葉をサラが飲み込めた。
意味が分かった。
ラックから見て、サラとセブンは番に見えるのだ。
「私と、セブンさん、が?」
ちらり、と横に座るセブンを見る。
「!!」
そしてセブンが熱を孕んだ優しい目で自分を見てることに気付いた。
こんな目でいつも自分を見ていてくれたのだと気付いた。
その目が、不快でなくここと良いものであると気付いた。
(ずっと、セブンさんの隣に、居たい………)
そして遂に、サラは己がセブンに恋をしている事に気付いたのだった。
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