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《168話》
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「サラ、今日は俺は薬師ギルドに用事があるから帰りが遅い。先に1人で食事を済ませていてくれないか」
「なら、今日は自分、の、お家に、一旦帰る、です」
「あぁ、そう言えばサラは1人暮らしだったな。最近ウチに居るのが普通だったから忘れていた」
「甘えてばかり、で、すみません………」
「お前は年頃の女だ。もっと大人の男に甘えるくらいしても良いと思うぞ?俺なら幾らでも甘やかせてやる、遠慮するな」
「は、い………」
セブンの鋭い目が優し気に細められる。
それだけで纏っている雰囲気が一気に甘くなる。
口角も少し釣り上げて、微かな笑みを浮かべるセブンは、誰の眼から見ても魅力的な男性に移るだろう。
勿論サラにとっても、だ。
(はぅぅ~最近セブンさんと居るとドキドキします~~~~~!!!)
国王を救った国随一の医者で家事力もカンスト、優し気な笑みを浮かべていれば本来は整っている美形の面差しが前にでる。
ダサい黒縁眼鏡で芋っぽさがあったセブンだったが、最近銀の細いフレームの眼鏡に変えた。
するとどうだろう。
目つきの悪いダサい街医者が、涼やかな目元の美形の国随一の医者に大変身を遂げたのだ。
今や診療所は男の患者だけでなく、セブンと関わりたい女の患者も増えた。
とうのセブンはサラしか見えていないのだが。
そして笑みを浮かべるとそれはそれは甘い雰囲気を醸し出すのだ。
こんなのドキドキしない女が居るはずないとサラは思った。
事実、『お隣の家事の知恵袋のセブンさん』は今や近所の奥様のアイドルだ。
33歳にしては若く見えるし、経済観念がシッカリしてるから一般の平民とも価値観は合う。
是非ウチの娘を!との話が最近後を絶たない。
何なら夫から乗り換える気じゃないかと思われる奥様もちらほら。
近所のお婆ちゃんの寄り合いでは皆して目をハートマークにしてセブンの往診を受けている。
(セブンさん、どうして急に格好良くなっちゃったですか?)
何だか寂しい気分のサラである。
セブンの良いところなんて自分が知っていればソレで良かったのに、何て思う。
大好きなお兄ちゃんが取られる気分と言うやつなのであろうか?
「ただいま、です」
久しぶりの我が家である。
少し埃っぽい気がする。
それだけ家を空けていたのだ。
サラにとってセブンの家で過ごすことは最早普通の事になっていた。
「自分の城、だった、のに………」
ボロアパートだったが、サラにとってこの部屋は己の城だった。
4畳半一間のベッドと小さなテーブルとイスだけが置かれている部屋。
満足していた筈なのに、何故か胸が寂しい。
何か作らないとと思うが家事をする元気が無い。
久しぶりに『馬の蹄亭』でも行こうか?
だが外に出る気分にもならなかった。
あんなに大好きな食事を取る気にもならない。
「セブンさんの、ご飯、食べたいです、ね…………」
甘え過ぎなのは分かっている。
だがセブンの家で過ごすことを覚えてしまえば、狭い1人きりの部屋はとても寂しく思えた。
「今日はもう寝て、明日の朝、浴場でお風呂入って、診療所行く、です」
サラはルームウエアに着替え、手と顔を洗い、歯を磨くと、お肌のお手入れもすることなくバタンとベッドに転がった。
「硬い、けど、これくらいでも昔に比べたら、格段に、良い、です」
すっかりセブン宅のふかふかベッドに慣れてしまっていた。
サラは何故だか物凄く切なくなり、何もする気も起きないまま、己の身体を抱きしめるようにしてシーツを被ると眠りに入る事にしたのだった。
「なら、今日は自分、の、お家に、一旦帰る、です」
「あぁ、そう言えばサラは1人暮らしだったな。最近ウチに居るのが普通だったから忘れていた」
「甘えてばかり、で、すみません………」
「お前は年頃の女だ。もっと大人の男に甘えるくらいしても良いと思うぞ?俺なら幾らでも甘やかせてやる、遠慮するな」
「は、い………」
セブンの鋭い目が優し気に細められる。
それだけで纏っている雰囲気が一気に甘くなる。
口角も少し釣り上げて、微かな笑みを浮かべるセブンは、誰の眼から見ても魅力的な男性に移るだろう。
勿論サラにとっても、だ。
(はぅぅ~最近セブンさんと居るとドキドキします~~~~~!!!)
国王を救った国随一の医者で家事力もカンスト、優し気な笑みを浮かべていれば本来は整っている美形の面差しが前にでる。
ダサい黒縁眼鏡で芋っぽさがあったセブンだったが、最近銀の細いフレームの眼鏡に変えた。
するとどうだろう。
目つきの悪いダサい街医者が、涼やかな目元の美形の国随一の医者に大変身を遂げたのだ。
今や診療所は男の患者だけでなく、セブンと関わりたい女の患者も増えた。
とうのセブンはサラしか見えていないのだが。
そして笑みを浮かべるとそれはそれは甘い雰囲気を醸し出すのだ。
こんなのドキドキしない女が居るはずないとサラは思った。
事実、『お隣の家事の知恵袋のセブンさん』は今や近所の奥様のアイドルだ。
33歳にしては若く見えるし、経済観念がシッカリしてるから一般の平民とも価値観は合う。
是非ウチの娘を!との話が最近後を絶たない。
何なら夫から乗り換える気じゃないかと思われる奥様もちらほら。
近所のお婆ちゃんの寄り合いでは皆して目をハートマークにしてセブンの往診を受けている。
(セブンさん、どうして急に格好良くなっちゃったですか?)
何だか寂しい気分のサラである。
セブンの良いところなんて自分が知っていればソレで良かったのに、何て思う。
大好きなお兄ちゃんが取られる気分と言うやつなのであろうか?
「ただいま、です」
久しぶりの我が家である。
少し埃っぽい気がする。
それだけ家を空けていたのだ。
サラにとってセブンの家で過ごすことは最早普通の事になっていた。
「自分の城、だった、のに………」
ボロアパートだったが、サラにとってこの部屋は己の城だった。
4畳半一間のベッドと小さなテーブルとイスだけが置かれている部屋。
満足していた筈なのに、何故か胸が寂しい。
何か作らないとと思うが家事をする元気が無い。
久しぶりに『馬の蹄亭』でも行こうか?
だが外に出る気分にもならなかった。
あんなに大好きな食事を取る気にもならない。
「セブンさんの、ご飯、食べたいです、ね…………」
甘え過ぎなのは分かっている。
だがセブンの家で過ごすことを覚えてしまえば、狭い1人きりの部屋はとても寂しく思えた。
「今日はもう寝て、明日の朝、浴場でお風呂入って、診療所行く、です」
サラはルームウエアに着替え、手と顔を洗い、歯を磨くと、お肌のお手入れもすることなくバタンとベッドに転がった。
「硬い、けど、これくらいでも昔に比べたら、格段に、良い、です」
すっかりセブン宅のふかふかベッドに慣れてしまっていた。
サラは何故だか物凄く切なくなり、何もする気も起きないまま、己の身体を抱きしめるようにしてシーツを被ると眠りに入る事にしたのだった。
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