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《125話》
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「アラ、片付けが終わったらもう寝ていいぞ」
「ひゃい、部屋で、寝る、です」
「ふふ、サラはお休みモードか」
どうやら作るのはセブンの係。
片付けるのはサラの係らしい。
すでに夫婦のような雰囲気を纏っているが、2人とも恋愛感情がソコにあるなんて思っても居ない。
「れは、さきにねまふ………」
「ちゃんと腹にブランケットかけろよ。風邪ひいても腹下しても俺は治療せんぞ」
「ふぁ~い、おやすみ、れす、セブンさん、サイヒさま………」
ヨタヨトと危ない足取りでサラは己の部屋がある2階に上がって行った。
「ほう、客間でなく自室があるのか?」
「あいつは生理の度泊まりに来るんで専用の部屋を設け得ました。幸い部屋数は余裕ありましたから」
「うむうむ、良い事だ。着実にサラも大人になって来てるのだな、人とこんなに距離を詰めれる子になるとはな」
グラスの酒を回しながらサイヒが嬉しそうに言う。
身内に激甘な全能神はサラの事も気にかけているらしい。
その恩恵に与らせて貰っているのでセブンとしてはガッツポーズものだ。
「セブン氏もサラを慈しんでくれているのだな、安心したぞ」
「慈しむ、慈しんでいますかね?」
「何だ無自覚か、サラと言いお前たちは面白いものだ」
「面白い要素が分からないのですが」
「良い良い、私が分かっていれば良いのだ。セブン氏は今までと変わらずサラを大切にしてやってくれ」
「まぁ優秀な従業員なので大切にはしますよ」
「ふふふ、そう言う事にしておこう。それよりセブン氏、お前は酒はいける口か?」
「まぁあまり酔わない体質です。糖質が多いので滅多に飲みませんが」
ここでも意識の高さが出た。
酒は炭水化物から作られることが多いので糖質が多いのだ。
糖質制限をしているセブンとしてはあまり嗜むものではない。
「まぁそう言わずに吞めるなら少し付き合わないか?私の伴侶は酒が弱いからがっつり飲む機会が無いのだよ」
そう言いながらも伴侶の事を想っているのか、サイヒの表情は緩やかだ。
「では、お付き合いさせていただきます」
「良し、では今夜は飲み明かそうぞ」
「夜更かし、プライベートでは久しぶりです」
「ワーカーホリックだな、それにしても意識の高い生活をしている」
「サイヒ様は…意識とか気にしなさそうですね………」
「最高神ともなれば夜更かししようが暴食しようが神力でどうにでもなるからな」
「天界では医者いらずですね。俺は医者をしているのが好きなので天人に生まれ事はなさそうだ」
「そのように計らおう」
「その分野もサイヒ様のお仕事ですか?」
「仕事と言えば仕事だな。まぁ部下が仕分けして仕上げするのが私の仕事だが、別に判を押している訳でもないのだぞ?」
「神様の仕事とか想像つかないですね」
「セブン氏も天界で働いてみるか?想像がつくようになるぞ?」
「俺は地上で充分ですよ。地上でもまだやり切っていないことが沢山ある。まずは兄上の身体を元に戻さなくてはいけませんから」
「ふふ、医者の鏡だな。スカウトは失敗か、だが悪い気分でもない。セブン氏のように神に縋りつかないものは好意に値する」
「それは光栄です」
「さて、もうグラスが空いた。別の酒も飲ませて貰えると嬉しいのだがな」
「ではある酒は全部持って来ましょう」
「地上の酒も天界のモノと違って良いものだ。遠慮なく飲ませて貰おう」
「はい、是非に」
こうして全能神と町医者をしている王族は、平民街のありふれた家の中で酒瓶を開けながら夜を明かすのだった。
:::
「私のサイヒが酒で餌付けされてる気がするぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅぅぅうっぅっぅっ!!!!!」
地上に降りようとする全能神の伴侶の魔王を止めんと、その副官は口の端から血を垂らしながら主の暴挙を止めんとするのだった。
何この夕食時にも同じことをしたようなデジャブ?
そう思いながらも魔王の副官は今日も部下たちに憐れみの目で見られながら、己の役割を精一杯果たすのであった。
「ひゃい、部屋で、寝る、です」
「ふふ、サラはお休みモードか」
どうやら作るのはセブンの係。
片付けるのはサラの係らしい。
すでに夫婦のような雰囲気を纏っているが、2人とも恋愛感情がソコにあるなんて思っても居ない。
「れは、さきにねまふ………」
「ちゃんと腹にブランケットかけろよ。風邪ひいても腹下しても俺は治療せんぞ」
「ふぁ~い、おやすみ、れす、セブンさん、サイヒさま………」
ヨタヨトと危ない足取りでサラは己の部屋がある2階に上がって行った。
「ほう、客間でなく自室があるのか?」
「あいつは生理の度泊まりに来るんで専用の部屋を設け得ました。幸い部屋数は余裕ありましたから」
「うむうむ、良い事だ。着実にサラも大人になって来てるのだな、人とこんなに距離を詰めれる子になるとはな」
グラスの酒を回しながらサイヒが嬉しそうに言う。
身内に激甘な全能神はサラの事も気にかけているらしい。
その恩恵に与らせて貰っているのでセブンとしてはガッツポーズものだ。
「セブン氏もサラを慈しんでくれているのだな、安心したぞ」
「慈しむ、慈しんでいますかね?」
「何だ無自覚か、サラと言いお前たちは面白いものだ」
「面白い要素が分からないのですが」
「良い良い、私が分かっていれば良いのだ。セブン氏は今までと変わらずサラを大切にしてやってくれ」
「まぁ優秀な従業員なので大切にはしますよ」
「ふふふ、そう言う事にしておこう。それよりセブン氏、お前は酒はいける口か?」
「まぁあまり酔わない体質です。糖質が多いので滅多に飲みませんが」
ここでも意識の高さが出た。
酒は炭水化物から作られることが多いので糖質が多いのだ。
糖質制限をしているセブンとしてはあまり嗜むものではない。
「まぁそう言わずに吞めるなら少し付き合わないか?私の伴侶は酒が弱いからがっつり飲む機会が無いのだよ」
そう言いながらも伴侶の事を想っているのか、サイヒの表情は緩やかだ。
「では、お付き合いさせていただきます」
「良し、では今夜は飲み明かそうぞ」
「夜更かし、プライベートでは久しぶりです」
「ワーカーホリックだな、それにしても意識の高い生活をしている」
「サイヒ様は…意識とか気にしなさそうですね………」
「最高神ともなれば夜更かししようが暴食しようが神力でどうにでもなるからな」
「天界では医者いらずですね。俺は医者をしているのが好きなので天人に生まれ事はなさそうだ」
「そのように計らおう」
「その分野もサイヒ様のお仕事ですか?」
「仕事と言えば仕事だな。まぁ部下が仕分けして仕上げするのが私の仕事だが、別に判を押している訳でもないのだぞ?」
「神様の仕事とか想像つかないですね」
「セブン氏も天界で働いてみるか?想像がつくようになるぞ?」
「俺は地上で充分ですよ。地上でもまだやり切っていないことが沢山ある。まずは兄上の身体を元に戻さなくてはいけませんから」
「ふふ、医者の鏡だな。スカウトは失敗か、だが悪い気分でもない。セブン氏のように神に縋りつかないものは好意に値する」
「それは光栄です」
「さて、もうグラスが空いた。別の酒も飲ませて貰えると嬉しいのだがな」
「ではある酒は全部持って来ましょう」
「地上の酒も天界のモノと違って良いものだ。遠慮なく飲ませて貰おう」
「はい、是非に」
こうして全能神と町医者をしている王族は、平民街のありふれた家の中で酒瓶を開けながら夜を明かすのだった。
:::
「私のサイヒが酒で餌付けされてる気がするぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅぅぅうっぅっぅっ!!!!!」
地上に降りようとする全能神の伴侶の魔王を止めんと、その副官は口の端から血を垂らしながら主の暴挙を止めんとするのだった。
何この夕食時にも同じことをしたようなデジャブ?
そう思いながらも魔王の副官は今日も部下たちに憐れみの目で見られながら、己の役割を精一杯果たすのであった。
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