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《108話》
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「まずはドナーを探す間に出来る事を行きましょう」
「と、言うと?」
「白血病の治療効果判定は、寛解という状態であるか否かで判断します。通常は骨髄穿刺の検査が必要となります。その為、白血病の治療では何度も骨髄穿刺の検査を行うことになります。
近年、急性骨髄性白血病の治療は非常に進歩してきました。治療の基本は、骨髄中に増えた白血病細胞を死滅させ、正常な血液細胞を増やすというやりかたです。
そして、抗がん剤を用いた化学療法は、急性骨髄性白血病の第一の治療法になります。
化学療法による治療は、「寛解導入療法」「地固め療法」の順でおこないます」
「な、成程………」
国王専属医師はプライドも投げ捨ててセブンの言葉をメモに取る。
年下の診療所の医師など本来歯牙にかける事のない人種のはずだ。
だがこの医師は国王のためならプライドを投げ捨てた。
自分の役割をよく理解し、今はセブンに従い国王を治療するのが必要だと行動しているのだ。
サラはその姿に、王宮にも立派な方がいるのだ、と感激すら覚えた。
何せ神殿は爛れきっていたもので。
王宮も碌でもないところだと思い込んでいたのだ。
なのでサラも専属医師と同じくメモを取る。
悲しいかなこの難しい説明をメモも取らずに覚えられる自信がない。
サラはセブンの助手だ。
やれることは全てやるしかない。
「第一段階となる寛解導入療法の目標は、文字通り「寛解」になることです。この寛解とは、骨髄中に存在する白血病細胞が全体の5%未満の状態です。通常7~8日間抗がん剤が投与されます。その後、白血病細胞だけではなく正常な血液細胞も骨髄の中から減少します。
この時、赤血球や血小板が極端に減少した時には輸血が行われます。白血球は輸血することはできませんので、抗がん剤の投与の後、自然に白血球が増えてくることを待ちます。この期間は約4週間くらいです。
白血球が回復した時に骨髄穿刺を行い、寛解状態であるかどうかを調べます。およそ7~8割の患者さんで寛解状態になることが期待できます。
●急性前骨髄球性白血病の治療
急性骨髄性白血病の中でも急性前骨髄球性白血病というタイプは治療に用いる抗がん剤が異なります。
急性前骨髄球性白血病においては、他のタイプの治療で用いられる抗がん剤に加えてレチノイン酸というビタミンA誘導体が用いられます。
その為、寛解導入療法中には他のタイプの白血病の治療ではみられないアトラによる副作用と、出血をおこしやすい状況があります。
これを乗り切ることができれば、急性前骨髄球性白血病は急性骨髄性白血病の中でも非常に予後の良いタイプといえます。
※ 急性骨髄性白血病の分類
急性骨髄性白血病の分類法のひとつにFAB分類があります。FAB分類では、増殖する白血球細胞の種類などから急性骨髄性白血病をM0~M7まで8つのタイプに分類しています。
表.FAB分類
M0 急性骨髄性白血病再未分化型
M1 急性骨髄性白血病未分化型
M2 急性骨髄性白血病分化型
M3 急性前骨髄球性白血病
M4 急性骨髄単球性白血病
M5 急性単球性白血病
M6 急性赤白血病
M7 急性巨核芽球性白血病
白血病細胞を死滅させる化学療法により、多くの患者さんは治療中に不快な副作用や合併症を経験します。
寛解導入療法で寛解が得られたと判定されたら、血球細胞が回復したことを採血により確認した後、すぐに、第二段階となる地固め療法を行います。
この段階の目標は、寛解導入療法で5%未満になった白血病細胞を更に死滅させ、根治させることです。地固め療法でも強い抗がん剤が使われますが、これも、治療後の白血病の再発を防ぐために必要な治療なのです。
最近では、この地固め療法で強力な治療を行う事で、以前行われていた地固め療法後の維持・強化療法がおこなわなくてもよいとされています。
地固め療法でも強い抗がん剤が使われるので、寛解導入療法と同様の副作用や合併症が現れます。また、治療後に血液細胞が減少した際には、その程度に応じて赤血球や血小板の輸血が必要になることもあります。
地固め療法が終了し、効果判定にて寛解を維持していた場合は、急性骨髄性白血病のタイプや年齢や体の状態を考慮して、治療を行わずに経過をみる場合と造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植)を行う場合があります。
分子標的薬
分子標的薬は、白血病細胞に存在する特定の分子(タンパク質)に結合し、白血病細胞が増えないようにする薬です。特定の白血病細胞を狙い撃ちするため、正常な細胞に大きなダメージを与えにくいという特徴があります。一方で、従来の抗がん剤とは違った副作用があらわれる可能性があります。分子標的薬の対象となる患者さんは、既存の化学療法で十分な治療効果が得られない患者さんや再発した患者さんです。
抗体薬物複合体は、白血病細胞に結合する抗体に、白血病細胞を攻撃する抗がん剤を結合させた薬です。抗体薬物複合体は、白血病細胞に結合した後、白血病細胞の中に取り込まれます。細胞内に取り込まれた抗がん剤は、抗体から離れて、白血病細胞を攻撃します。
分子標的薬と同様に白血病細胞を狙い撃ちするため、正常な細胞に及ぼす影響が少ないという特徴があります。抗体薬物複合体の対象となる患者さんは、既存の化学療法で十分な治療効果が得られない患者さんや再発した患者です」
とんでもない知識量を一気に脳に詰められてサラはショートしそうだ。
それでも、セブンの力になりたい。
今のセブンは何時もの診療所で働いているセブンとは違う。
真剣な眼差し。
いつだってセブンは真剣に患者を診ているけれど、ソレだけでないのがセブンの瞳の奥に光宿っている。
だったら、サラは出来るだけセブンの力になりたい。
セブンの横に立っていたい。
ナナは今後は王宮に泊まり込みだ。
科学治療法は副作用が伴う。
それを脳内麻薬を出させることで痛みを感じにくくするのだ。
サキュバスの力も使いようである。
脳内の快楽ホルモンを調整することで痛みを消し去るのだ。
完全に痛みを消すのは、患者にとってあまり良くない。
体が回復したと思って無理をすることが多いからだ。
なのでセブンはナナにそこの事は重重言ってある。
サラは、ナナの様に確実にセブンの力になれるだけの能力が己に無い事に一抹の寂しさを覚えるのであった。
「と、言うと?」
「白血病の治療効果判定は、寛解という状態であるか否かで判断します。通常は骨髄穿刺の検査が必要となります。その為、白血病の治療では何度も骨髄穿刺の検査を行うことになります。
近年、急性骨髄性白血病の治療は非常に進歩してきました。治療の基本は、骨髄中に増えた白血病細胞を死滅させ、正常な血液細胞を増やすというやりかたです。
そして、抗がん剤を用いた化学療法は、急性骨髄性白血病の第一の治療法になります。
化学療法による治療は、「寛解導入療法」「地固め療法」の順でおこないます」
「な、成程………」
国王専属医師はプライドも投げ捨ててセブンの言葉をメモに取る。
年下の診療所の医師など本来歯牙にかける事のない人種のはずだ。
だがこの医師は国王のためならプライドを投げ捨てた。
自分の役割をよく理解し、今はセブンに従い国王を治療するのが必要だと行動しているのだ。
サラはその姿に、王宮にも立派な方がいるのだ、と感激すら覚えた。
何せ神殿は爛れきっていたもので。
王宮も碌でもないところだと思い込んでいたのだ。
なのでサラも専属医師と同じくメモを取る。
悲しいかなこの難しい説明をメモも取らずに覚えられる自信がない。
サラはセブンの助手だ。
やれることは全てやるしかない。
「第一段階となる寛解導入療法の目標は、文字通り「寛解」になることです。この寛解とは、骨髄中に存在する白血病細胞が全体の5%未満の状態です。通常7~8日間抗がん剤が投与されます。その後、白血病細胞だけではなく正常な血液細胞も骨髄の中から減少します。
この時、赤血球や血小板が極端に減少した時には輸血が行われます。白血球は輸血することはできませんので、抗がん剤の投与の後、自然に白血球が増えてくることを待ちます。この期間は約4週間くらいです。
白血球が回復した時に骨髄穿刺を行い、寛解状態であるかどうかを調べます。およそ7~8割の患者さんで寛解状態になることが期待できます。
●急性前骨髄球性白血病の治療
急性骨髄性白血病の中でも急性前骨髄球性白血病というタイプは治療に用いる抗がん剤が異なります。
急性前骨髄球性白血病においては、他のタイプの治療で用いられる抗がん剤に加えてレチノイン酸というビタミンA誘導体が用いられます。
その為、寛解導入療法中には他のタイプの白血病の治療ではみられないアトラによる副作用と、出血をおこしやすい状況があります。
これを乗り切ることができれば、急性前骨髄球性白血病は急性骨髄性白血病の中でも非常に予後の良いタイプといえます。
※ 急性骨髄性白血病の分類
急性骨髄性白血病の分類法のひとつにFAB分類があります。FAB分類では、増殖する白血球細胞の種類などから急性骨髄性白血病をM0~M7まで8つのタイプに分類しています。
表.FAB分類
M0 急性骨髄性白血病再未分化型
M1 急性骨髄性白血病未分化型
M2 急性骨髄性白血病分化型
M3 急性前骨髄球性白血病
M4 急性骨髄単球性白血病
M5 急性単球性白血病
M6 急性赤白血病
M7 急性巨核芽球性白血病
白血病細胞を死滅させる化学療法により、多くの患者さんは治療中に不快な副作用や合併症を経験します。
寛解導入療法で寛解が得られたと判定されたら、血球細胞が回復したことを採血により確認した後、すぐに、第二段階となる地固め療法を行います。
この段階の目標は、寛解導入療法で5%未満になった白血病細胞を更に死滅させ、根治させることです。地固め療法でも強い抗がん剤が使われますが、これも、治療後の白血病の再発を防ぐために必要な治療なのです。
最近では、この地固め療法で強力な治療を行う事で、以前行われていた地固め療法後の維持・強化療法がおこなわなくてもよいとされています。
地固め療法でも強い抗がん剤が使われるので、寛解導入療法と同様の副作用や合併症が現れます。また、治療後に血液細胞が減少した際には、その程度に応じて赤血球や血小板の輸血が必要になることもあります。
地固め療法が終了し、効果判定にて寛解を維持していた場合は、急性骨髄性白血病のタイプや年齢や体の状態を考慮して、治療を行わずに経過をみる場合と造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植)を行う場合があります。
分子標的薬
分子標的薬は、白血病細胞に存在する特定の分子(タンパク質)に結合し、白血病細胞が増えないようにする薬です。特定の白血病細胞を狙い撃ちするため、正常な細胞に大きなダメージを与えにくいという特徴があります。一方で、従来の抗がん剤とは違った副作用があらわれる可能性があります。分子標的薬の対象となる患者さんは、既存の化学療法で十分な治療効果が得られない患者さんや再発した患者さんです。
抗体薬物複合体は、白血病細胞に結合する抗体に、白血病細胞を攻撃する抗がん剤を結合させた薬です。抗体薬物複合体は、白血病細胞に結合した後、白血病細胞の中に取り込まれます。細胞内に取り込まれた抗がん剤は、抗体から離れて、白血病細胞を攻撃します。
分子標的薬と同様に白血病細胞を狙い撃ちするため、正常な細胞に及ぼす影響が少ないという特徴があります。抗体薬物複合体の対象となる患者さんは、既存の化学療法で十分な治療効果が得られない患者さんや再発した患者です」
とんでもない知識量を一気に脳に詰められてサラはショートしそうだ。
それでも、セブンの力になりたい。
今のセブンは何時もの診療所で働いているセブンとは違う。
真剣な眼差し。
いつだってセブンは真剣に患者を診ているけれど、ソレだけでないのがセブンの瞳の奥に光宿っている。
だったら、サラは出来るだけセブンの力になりたい。
セブンの横に立っていたい。
ナナは今後は王宮に泊まり込みだ。
科学治療法は副作用が伴う。
それを脳内麻薬を出させることで痛みを感じにくくするのだ。
サキュバスの力も使いようである。
脳内の快楽ホルモンを調整することで痛みを消し去るのだ。
完全に痛みを消すのは、患者にとってあまり良くない。
体が回復したと思って無理をすることが多いからだ。
なのでセブンはナナにそこの事は重重言ってある。
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