婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~

高井繭来

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《105話》

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 宰相からの命を受け、セブン一行は城への塔上が許された。
 一般市民では有り得ない快挙である。
 だがセブンとサラの表情は曇っている。
 互いにトラウマがありすぎるのだ。
 
 サラは聖女の冠を剥奪されて街に捨てられた事。
 もっともコレは良い方に人生が進んだのだが。
 だが心身ともに甚振られたトラウマはまだ残っている。

 アコロ王子と遭遇したらまた酷いことを言われるのでは、と身を縮こまらせている。

 セブンはもっと複雑かも知れない。
 大事な人が亡くなった場所。
 もう一生縁が無いと思っていた場所。

 本当なら城に来る気はなかった。
 迎えに来た宰相も、セブンの診療所を見て訝しげであった。

 本当にこの小さい診療所の3流の医者が王宮専属医でも匙を投げざるをえなかった、王の病を治すことが出来るのかと。
 セブンを見る目は完全に下の存在を見る目だった。
 胸糞悪い事この上ない。
 セブンは別に断っても良かったのだ。
 だが、だがだ。
 国王はディノートの王族で唯一賢君とされる素晴らしい存在であった。

 兄弟の中に王に並ぶ資質の者は居なかった。
 直系の長子は外見しか取り柄のない愚かな王子であった。
 下の息子、今は皇太子のアポロ王子はその資質を受け継いで入るようだが、まだ幼すぎる。

 そして、現王は両親しか信じる者が居ないセブンを唯一気にかけてくれた優しさをくれた存在だった。

 母が亡くなり、セブンが王宮を飛び出さなかったのは全王と現王が居たからだ。
 2人が居なければとっくに母の実家に帰っていただろう。

 そんな優しい兄を、セブンーアシュバットは弟として見過ごすことが出来なかった。

 もう大切の人間を亡くしたくない。
 大切な命を救いたい。
 この指の間から流れ落ちる命を零したくない。

 現王はセブンにとってそう言う存在だったのだ。

「セブンさん、私、大丈夫でしょう、か?」

 オドオドとサラがセブンの白衣の袖を引く。
 草臥れた白衣だ。
 洗ってあるから清潔だが、王宮直属医師が着るような高級な布地ではない。
 それを笑いたい奴は笑えばよい。
 医者に必要なのはお高い白衣ではなく、病人を直す腕と知識だ。
 だからセブンはどうどうと赤いカーペットのど真ん中を歩いていた。
 サラは端を歩きたそうであったが。

「心配するな、今のお前ならバレないだろう。それに俺がせっかく買ってやったローブだぞ?見せびらかすつもりで堂々と歩け」

「そうよ~サラちゃん♡堂々と胸を張って歩けば良いのよ♡」

 ナナの場合は胸を揺らしてが正解だとサラは思った。
 使用人の前を通り過ぎる時のその目が怖い。
 ナナの胸を凝視している。
 何なら上から下まで視線で嘗め回している。
 仕方なかろう。
 ブラをつけていないトップは白衣から形が透けていて、ミニスカートの白衣にショーツのラインが無い。
 つまりTバックかノーパンかの2択である。
 ナナが視線を集めているお陰でサラは目立たないで居るので助かりはしたが。
 余計に視線を集めているかもせれない。

 因みにサラの今日来ているローブは山吹色である。
 セブンが城に上がるからと買ってくれた。

 ローブの色にも意味がある。

 白なら法王や司教、教主など教のTOPに立つもの。
 青なら位の高い上級聖職者。
 ちなみに貴族出身が多い。
 一般人から聖職者に上がったもののローブの色は灰色である。
 サラが普段来ている色だ。

 赤色は賢者。
 黒色は魔術師。
 緑は賢者にしか許されていない。

 山吹色は珍しい事この上ない。
 だが童顔のサラにはよく似合っていた。
 すこし下がフレア気味に広がっているのが愛らしい。
 冒険者なら着る事のない、余所行きのローブである。

 童顔の愛らしい顔立ちに肩まで伸びたので編み込んでいる髪の毛。
 化粧はしていないが、一応、とナナにリップとお粉だけは付けられた。
 小柄な華奢な体はナナの長身で肉欲感がある体系の横に並ぶとサラに庇護欲をそそる。
 そしてもう昔のようなまな板にポッコリお腹ではない。
 胸はBカップ、ウエストだってうっすら出来た。
 この少女があのみすぼらしい聖女と同一人物とは誰も思わないであろう。

「俺が居るのに何を心配することがある?そうだろ、アラ」

 セブンがサラに視線を合わせ、ニッ、と悪戯気に笑った。

 キュン!

「ひゃい!」

 噛んだ。
 だって何だか心臓がキュンとか訳わからないこになったから。

(何だが、別の意味でドキドキ、してきた気がする、です………)

 サラは赤くなった頬を誤魔化すため、カーペットを見ながら顔を下げて歩くのだった。
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