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《102話》

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 夢を見た。
 バスケットにご馳走を詰めて、それを持ったセブンはサラに優しく微笑みかける。
 空いた方の手を繋いで、同じ歩調で草原を歩く。
 特に何が特別と言うわけでは無いピクニック。
 大きな木が立っており、すぐそばに花畑。
 優しいセブンに胸がドキドキした。

 この時間が続けばよいのに…。

 セブンの顔を煽り見る。
 普段はじっくり見る事は無いが、セブンの顔は綺麗だ。
 目つきが少し悪く感じるが、笑うととても優しくなる。
 サラはその眼差しが好きだ。
 
 顔を見るためにはかなり首を傾けなければならない。
 セブンと自分の身長はかなり差がある事を思い出させる。

「*****」

 セブンがサラに何か言った。
 聞き取れなかったけど優しい声だったのは分かった。

 ふわふわする。
 まるで雲の上を歩いているみたいだ。
 サラの心もふわふわする。
 ワインを飲みすぎたあの日の様に、何もかもが楽しくて仕方ない。

 そして木の下に、人影を見つけた。

 先客が居たのだろうか?

 その人物が振り返った。

 金色の髪と湖色の瞳の整った顔の青年。

 アーシュだ。

 アーシュがサラを見つけて笑う。
 ソレだけでサラはドキドキとする。
 胸が高鳴って仕方ない。

 アーシュが近づいてくる。
 無邪気な笑顔で。

 サラの手はまだセブンと繋がれたままだ。

 サラはセブンを見た。
 優しい目のままだ。
 この瞳にずっと見ていて欲しいと思う。

 同時にアーシュの無邪気な眼差しも独占したいと思う。

「***********」

 セブンの聞き取れない声が耳に残り…。
 そしてサラは目を覚ました。

「何、ですか?今の夢…セブンさん、と、アーシュさん………」

 最後にセブンは何と言ったのだろう?
 サラはあの後どうしようとしたのだろう?

 まさか3人でピクニック?

 いや、ソレは無いと思う。
 そう言う雰囲気ではなかった。

 あの後セブンとピクニックを続けたのか、セブンの手を振り払いアーシュに己の手を差し伸べたのか?

 全くもって分からない。
 自分はセブンとアーシュどちらを選んだ?
 
 そうしてサラは気付いてしまった。

 ふらりと現れてサラの心を搔き乱すアーシュ。
 それと同じくらい大きな存在にセブンがなっていたことに。

「私は、どうしたかった、のでしょう、か……?」

 何時もより1時間も早く起きてしまったサラ。
 だがその分1時間悩みぬいて、何時もと同じ時間に出勤した。

 流石に今日は朝食が喉を通らなかった。

 サラは夢の続きが見たいような、見たくないような。
 そんな複雑な感情を抱くのだった。
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