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《97話》

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「クソッ!こんなホテルに入る羽目になるなんて!!」

 セブンはサラを自分の家の客間に寝かせる気であった。
 同じ部屋に居るのは何か非常に悪い気がしたのだ。
 どんな気か?
 自分の理性の糸がプツリと切れてしまう音を聞きそうな悪い気だ。

「こんなに濡れて…脱がさない訳にはいかないよな………」

 サラをソファの上に下す。
 もう服はびちゃびちゃだ。
 素肌にくっ付いて体のラインがはっきりと分かるくらいに。
 そのせいでセブンは気付かなくていい事に気付いてしまった。

 サラの下着にはフリルがついているらしい。

 フリルの質感が服の上に浮かび上がっていた。

 冬なら気付く事が無かっただろう。
 だが今は夏。
 サラはストールを纏っているがノースリーブのワンピース姿だ。
 脇も甘く、ストールを外すとレモン色の爽やかな下着がちらりと見えた。

「これは、処置だ処置………」

 ゴクリとセブンは唾をのむ。
 裸の女なんて治療の上でいくらでも見てきた。
 それで緊張した事なんか無い。
 何故サラの下着の色が分かったぐらいで己はこれ程動揺しているのか。
 頭を振って、意識を切り替える。
 己は医者だ。
 助手に風邪をひかすわけにはいかない。

 服のファアスナーは背中にある。
 サラをころりとひっくり返す。

 むに

「!!!!」

 他意はない。
 他意はなかったのだ。
 だがセブンはサラのまだ隆起の緩い、成長し始めた胸を触ってしまった。

 柔らかい。

 かつてこれ程柔らかいものを触ったことがあったであろうか?
 いや、いくらでもある筈だ。
 オペ中に女性の肉体に触れることなど幾らでもあった。
 ナナに胸を押し付けられる事なんて日常茶飯事だ。

 だがこの柔らかさは、今までのソレと違う気がした。

 その感触を意識しないように素数を数えながらそっ、と手をずらす。
 何とかセブンの手がサラの胸から離れた。

 しかし今度は裾の捲れ上がった白い太腿が目に飛び込んできた。

 白い。
 不健康な白さではない。
 適度に肉が付いているのでその白さに病弱的なものは感じられない。
 その白い太腿から視線が離れない。
 スカートの裾を直すべく手で裾を掴む。
 そうすると今度は尻が目に入った。

 服の上からでも分かるキュッ、と上がった小ぶりのお尻。
 ショーツにもフリルがあしらわれていることが分かる。

 プリプリと歩くだけでその存在感を主張するナナの肉付きの良い尻とは違う。
 そのせいでサラの若さと未成熟さを感じてしまう。
 そして未成熟なサラに緊張している自分に落ち込む。
 穴が入ったら入りたい。
 医者にあるまじき感情だ。

「んん~~~~っ……」

「!!!」

 思わず裾を持ったまま固まる。
 今サラが目を覚ましたらセブンはサラを如何わしい宿に連れ込んだ挙句に、スカートを捲ろうとしている状態に見えるだろう。
 ソレだけは勘弁願いたい。

「ん~ふへぇぇ……」

 ぐっすり寝ている。

 セブンはサラをドつきたい衝動を堪えた。
 コレは風邪の危険性を持つ患者だ。
 やっている事は医療行為。
 疚しい気持ちなど何1つもない。

「よしっ!」

 出来るだけサラの方を見ないでファスナーを下す。
 サラの白い背中が露わになっていくのをセブンは見ないよう細心の注意をはらった。
 ファスナーを下すと腕を抜き、ワンピースを床に落とす。
 流石に下着を脱がすのはいかにセブンでも出来そうにない。
 代わりにホテルにあるありったけのバスタオルで体をくるんだ。

 そうしてバスタオルでぐるぐる巻きにされたサラは、セブンに担がれてベッドへと運ばれた。
 ダブルサイズである。
 サラを真ん中でなく少し横にずらせばセブンもベッドに入る空間はいくらでもある。

 だがソレは出来ない。
 
 セブンのセブンさんは久しぶりにお元気になられたからだ。

「このところ抜いてなかったからな…決してアラのせいじゃない!」

 そうしてセブンはサラをベッドの中に潜り込ませ上布団もしっかりかけると、己は衣服を脱いで部屋に備えられたガウンを羽織る。
 そのままトイレへと直行した。
 トイレの中でクロイツの医師から教わった通りに陰茎を扱いて、溜まっていた白濁液をペーパーに吐き出すとそれを流す。
 ようやく人心地ついた。
 頭がすっきりした気がする。

 トイレから出るとベッドでスヤスヤと眠るサラの姿が目に入った。
 気持ちよさそうに寝ている。

 セブンはサラが安心して寝ているのを見て安心した。

(傷つけずにすんだ………て、何がだ……………?)

 首を捻る。
 自分は何に安心したのだろうか?
 だがそれを考えるにセブンは疲れすぎていた。

 体力が無いのにサラを負ぶってかなりの距離を歩いた。
 雨に濡れ体温が下がっているせいで体力も奪われている。
 止めにアルコールが体に入っている。
 追い打ちに自慰で精液を吐き出した。

 疲れて目の前が暗くなるのも仕方ない事だった。

 この状態では思考は出来そうにない。

 ただセブンは無意識に理性を総動員して、サラの寝るベッドではなく大きなソファに横になった。
 それ程長い時間ではないとはいえ濡れたサラを置いていたから、ソファは湿り気を帯びていた。
 不快だが、サラの横で寝るよりずっと良い。
 何せサラを傷つけづにすむ。

 セブンは落ちてくる瞼を抵抗せずに受け入れて、思考を眠りの淵へと誘うのだった。
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