婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~

高井繭来

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《69話》

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 ディノートに帰って来たセブン一行。
 本日の診療所は休診である。
 となればサラの過ごし方は決まっている。

 カラン

 扉を開けると軽やかな鐘がなる。

「いらっしゃいませ~、てサラちゃん!お久し振りね」

「はい、お久ぶりです、メリーさん」

「今日も日替わりで良い?」

「ごはん大盛で」

「うふふ、おかわりも好きなだけしてね」

 メリーに促され、最早定位置になった席に着席する。
 久しぶりの『馬の蹄亭』である。
 昼まで寝ていたので朝昼兼用だ。
 なのでお腹いっぱい食べても良いだろう。
 何時もの気分で定食のご飯をたんまりおかわりする予定だ。

 サラは知らない。

 2次成長を迎えると女は腰回りにお肉が付きやすくなるのだ。
 実際サラも尻に肉が付いてきた。
 自分では自覚が無い様だが。
 ただ未だに胸には肉がついていないが……。
 セブンとナナも気付いている。
 その女らしくなってきた体型にセブンは更に悩まされているのだ。

 その為ナナが酷い目にあっているが…。
 サラの知らない所での話である。
 そしてこれからも知らなくて良い話である。

「はい今日のランチは麻婆豆腐定食ね」

 サラの前に赤い謎の料理が運ばれてきた。
 真っ赤である。
 だが食欲をそそる良い匂いがしている。

 定食はご飯に玉子スープ、麻婆豆腐、唐揚げ×3である。
 普通の女の子が食べるには重すぎるメニューだ。
 だがサラは目を輝かせて定食を見ていた。
 涎が垂れそうになるのはご愛敬だ。

「頂きます!」

 メインの四川麻婆豆腐は、土鍋で提供されている。
 真っ赤な色から感じる辛さ、ボコボコと煮立つ土鍋で、食べる前からアツアツ旨辛感が満点。
 真っ赤に染まる「麻婆豆腐」は、粗挽き肉、豆腐、茄子、にんにくの芽とメチャ具だくさんでボリュームも充分。
 まずは、麻婆餡を スプーン(レンゲ)で掬う。
 そして口の中に運ぶ。

 粗挽き肉のパワフルな旨味と食感を噛み締めたあとに、甜麺醤由来のコク、豆板醤の刺激的な辛さ、麻辣醤の痺れるような辛さがこだまする。
 続いては、麻婆餡+豆腐で、麻婆豆腐としていただく。
 水気を帯びた豆腐が組み合わさることで豆板醤や麻辣醤の辛味が和らぎ、粗挽き肉や甜麺醤からにじみ出た旨味が豆腐全体に染みて大変美味しい。

「あつ、からっ、でもおいひぃ、ご飯が、進みます!!」

 続いて、もう1つの主役であるから揚げにかじりつくと、カリッとクリスピーな衣を噛み締めた後にジューシーかつ醤油ベースの下味が効いた熱々な鶏肉の旨味が感じられてこちらも癖になる美味しさだ。

「こちらも、ご飯に合う、です!」

 肉たまらん!
 
 カッカッカッ!!

 ご飯を掻き込んでいく。
 年頃の少女の食べ方とはとてもじゃないが思えない。

「卵スープが、優しくて、箸休め、です」

 じんわり体が温まる卵スープ。
 塩味メインで優しい味わいだ。
 同じ塩スープでも、サラが神殿で食べていたスープとは天と地の差だ。

「はぅ~、幸せで、すぅ」

 今日も大もりご飯を4杯食べてサラは大満足だ。

「この後はデザート、ですね。何処の甘味屋、行きましょう、か?」

 甘いものは別腹らしい。 
 2段腹の下の腹にならない事を祈るだけである。

 この後平民街のデザートブッフェで品切れを5品出す。
 平民街のデザートブッフェでも『幼児体型の悪魔』として恐れられる事になるサラであった。
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