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《56話》
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「ふわぁぁあぁ、広い、です!」
御者に案内された宿は高級ホテルだ。
最上階スイートルーム。
流石に文明国家なだけあってクロイツの建物は他の国の建物と比べてスタイリッシュに洗礼されている。
木造やレンガなどではなくコンクリートで作られているのが珍しい。
そしてその最上階。
本日のサラ達の宿泊部屋だ。
キングサイズのベッドが1つにダブルサイズのベッドが1つ。
「……………」
セブンが眉間に指をあて考え込んだ。
(誰と誰を何処で寝かせるか……)
「サラちゃんキングサイズのベッドよ♡一緒に寝ましょ♡」
「はい、です」
「ちょ、待て!勝手に決めるな!」
「何よ~じゃぁドクターが私と寝るの?」
「ソレは、ダメ、で、す!」
サラが珍しく大きな声をあげた。
「ナナさんは、セブンさんと、一緒だとケダモノ、なるです!食殺は良くない、です!」
食べられるの意味を完全に違う方向に思い込んでいる。
どうやらサラの中では、ナナの胃にセブンが収まる想像が浮かんでいるらしい。
ナナは別の所でセブンをパクリしちゃたいのだが。
サラにそれが分かるはずもない。
「エロナースはお前と寝ても獣になるぞ」
「!?」
サラが首を回いしてナナを見る。
相変わらず美人さんでナイスバディだ。
女の目から見ても魅力に溢れている。
そのナナが獣になる。
現在サラの中ではナナの口が裂けギザギザの歯でサラをボリボリ食べている光景が頭に浮かんでいた。
「ナナさん…人間は、食べちゃ、駄目、です………」
「え~でも人間のが1番美味しいんだもの♡まぁカンガルーなんかも2本あって同時責めが出来て美味しかったけど♡女の子なら人間以外は羊やヤギが美味しいのよね~♡」
駄目だこのサキュバス…節制が無さすぎる………。
どうやら食べるのは人間だけでなく野生動物も美味しく頂いているらしい。
「カンガルー?2本?」
「アラ、お前は意味を考えるな。取り合えず自分が食べられる獲物の身である事を自覚しろ」
「はい、モグモグされる、のは、嫌、です」
「ドクターのせいでサラちゃんに振られちゃった~。じゃぁ何処で誰が寝る訳?」
「私とセブンさん、が…」
「却下」
「何で、駄目です…?」
「お前は寝相が悪い。夜の間がんがん蹴られたら碌に寝れん」
「私、寝相悪かった、です、か!?」
「あぁ、酷いものだ。だからお前は1人で寝ろ。エロナース、お前は歓楽街にでも行ってこい。適当に獲物と寝床を探せ」
「扱い酷くない?まぁ良いけど、この部屋でサラちゃんと2人きりになるのは自覚しとくのねドクター♡」
「???」
サラの頭上に「?」が浮かんでいる。
セブンの家に宿泊する事もあるサラだ。
同じ家で寝るのと同じ部屋で寝るのとは意味が全然違うことを理解していない。
「何もおこらんわ。お前と一緒にするなエロナース」
「はいはい、拗らせドクターには据え膳でも無理よね~♡まぁ頑張って頂戴♡」
ストールを羽織り、手を振りながらナナは部屋を出て行った。
「ナナさん、人、食べちゃわない、で、しょうか?人殺し、良くない、で、す」
「死人は出んから心配するな。ソレよりとっとと寝るぞ」
「じゃぁ私、お風呂入ります、ね。部屋に、お風呂ついてる、の、初めてです」
「!!」
サラが自分のバッグから寝着と下着を出す。
下着の柄はサクランボ柄だ。
果物シリーズなのだろうか?
まぁセブンはしっかりその柄をみてしまった。
「お先、頂きま、す」
そしてサラはバスルームに向かった。
シャワーの水が床をはじく音が部屋まで聞こえる。
壁1枚を挟んでサラが全裸で同じ空間に居る。
その事を1度意識してしまったら、セブンのご子息は途端に元気になる。
(2よりも大きなべき指数 n について、 an+bn=cn をみたす3つの整数 a, b, c を見出すことは不可能である。私はこれについてのまったくすばらしい証明を得たが、ここの余白は狭すぎて書き記すことができない。
フェルマーの最終定理の n を2とすると、「a2 + b2 = c2」というピタゴラスの定理(三平方の定理)となる。これをみたす自然数 a, b, c は(3, 4, 5)、(5, 12, 13)、(7, 24, 25)のように無数に存在する。ちなみに、ピタゴラスの定理(三平方の定理)をみたす自然数 a, b, c はピタゴラス数と呼ばれる。
フェルマーの最終定理は、数学界最高の謎であり、数多くの数学者がその真偽を証明していったわけだが、350年もの間解決をみるに至らなかった。1994年になり、プリンストン大学のアンドリュー・ワイルズがついにフェルマーの最終定理の完全な証明に成功した。その証明は谷村豊・志村五郎の予想を経由するものであり、他にも日本人数学者の結果が寄与している。
フェルマーの最終定理と似たものに「オイラーの予想」というものがあり「x4 + y4 + z4 = w4」これを成立する自然数の解は存在しないとオイラーは言っていた…)
本日のセブンの脳みそのお供はフェルマーの最終定理であった。
御者に案内された宿は高級ホテルだ。
最上階スイートルーム。
流石に文明国家なだけあってクロイツの建物は他の国の建物と比べてスタイリッシュに洗礼されている。
木造やレンガなどではなくコンクリートで作られているのが珍しい。
そしてその最上階。
本日のサラ達の宿泊部屋だ。
キングサイズのベッドが1つにダブルサイズのベッドが1つ。
「……………」
セブンが眉間に指をあて考え込んだ。
(誰と誰を何処で寝かせるか……)
「サラちゃんキングサイズのベッドよ♡一緒に寝ましょ♡」
「はい、です」
「ちょ、待て!勝手に決めるな!」
「何よ~じゃぁドクターが私と寝るの?」
「ソレは、ダメ、で、す!」
サラが珍しく大きな声をあげた。
「ナナさんは、セブンさんと、一緒だとケダモノ、なるです!食殺は良くない、です!」
食べられるの意味を完全に違う方向に思い込んでいる。
どうやらサラの中では、ナナの胃にセブンが収まる想像が浮かんでいるらしい。
ナナは別の所でセブンをパクリしちゃたいのだが。
サラにそれが分かるはずもない。
「エロナースはお前と寝ても獣になるぞ」
「!?」
サラが首を回いしてナナを見る。
相変わらず美人さんでナイスバディだ。
女の目から見ても魅力に溢れている。
そのナナが獣になる。
現在サラの中ではナナの口が裂けギザギザの歯でサラをボリボリ食べている光景が頭に浮かんでいた。
「ナナさん…人間は、食べちゃ、駄目、です………」
「え~でも人間のが1番美味しいんだもの♡まぁカンガルーなんかも2本あって同時責めが出来て美味しかったけど♡女の子なら人間以外は羊やヤギが美味しいのよね~♡」
駄目だこのサキュバス…節制が無さすぎる………。
どうやら食べるのは人間だけでなく野生動物も美味しく頂いているらしい。
「カンガルー?2本?」
「アラ、お前は意味を考えるな。取り合えず自分が食べられる獲物の身である事を自覚しろ」
「はい、モグモグされる、のは、嫌、です」
「ドクターのせいでサラちゃんに振られちゃった~。じゃぁ何処で誰が寝る訳?」
「私とセブンさん、が…」
「却下」
「何で、駄目です…?」
「お前は寝相が悪い。夜の間がんがん蹴られたら碌に寝れん」
「私、寝相悪かった、です、か!?」
「あぁ、酷いものだ。だからお前は1人で寝ろ。エロナース、お前は歓楽街にでも行ってこい。適当に獲物と寝床を探せ」
「扱い酷くない?まぁ良いけど、この部屋でサラちゃんと2人きりになるのは自覚しとくのねドクター♡」
「???」
サラの頭上に「?」が浮かんでいる。
セブンの家に宿泊する事もあるサラだ。
同じ家で寝るのと同じ部屋で寝るのとは意味が全然違うことを理解していない。
「何もおこらんわ。お前と一緒にするなエロナース」
「はいはい、拗らせドクターには据え膳でも無理よね~♡まぁ頑張って頂戴♡」
ストールを羽織り、手を振りながらナナは部屋を出て行った。
「ナナさん、人、食べちゃわない、で、しょうか?人殺し、良くない、で、す」
「死人は出んから心配するな。ソレよりとっとと寝るぞ」
「じゃぁ私、お風呂入ります、ね。部屋に、お風呂ついてる、の、初めてです」
「!!」
サラが自分のバッグから寝着と下着を出す。
下着の柄はサクランボ柄だ。
果物シリーズなのだろうか?
まぁセブンはしっかりその柄をみてしまった。
「お先、頂きま、す」
そしてサラはバスルームに向かった。
シャワーの水が床をはじく音が部屋まで聞こえる。
壁1枚を挟んでサラが全裸で同じ空間に居る。
その事を1度意識してしまったら、セブンのご子息は途端に元気になる。
(2よりも大きなべき指数 n について、 an+bn=cn をみたす3つの整数 a, b, c を見出すことは不可能である。私はこれについてのまったくすばらしい証明を得たが、ここの余白は狭すぎて書き記すことができない。
フェルマーの最終定理の n を2とすると、「a2 + b2 = c2」というピタゴラスの定理(三平方の定理)となる。これをみたす自然数 a, b, c は(3, 4, 5)、(5, 12, 13)、(7, 24, 25)のように無数に存在する。ちなみに、ピタゴラスの定理(三平方の定理)をみたす自然数 a, b, c はピタゴラス数と呼ばれる。
フェルマーの最終定理は、数学界最高の謎であり、数多くの数学者がその真偽を証明していったわけだが、350年もの間解決をみるに至らなかった。1994年になり、プリンストン大学のアンドリュー・ワイルズがついにフェルマーの最終定理の完全な証明に成功した。その証明は谷村豊・志村五郎の予想を経由するものであり、他にも日本人数学者の結果が寄与している。
フェルマーの最終定理と似たものに「オイラーの予想」というものがあり「x4 + y4 + z4 = w4」これを成立する自然数の解は存在しないとオイラーは言っていた…)
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