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《54話》

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 とんでもない事態が起きた。
 獣車での旅も10日目。
 予定の半分を過ぎた。
 そして今日も宿の部屋を取ろうとしたのだが…。
 ダブル1つとシングル1つしか部屋を取れなかったのだ。

「勿論私とサラちゃんがダブルよね~女の子同士ガールズトークしましょうねサラちゃん♡」

「ガールズトーク…は、初めて、です」

「そうなの?じゃぁナナさんがサラちゃんにいっぱい初めての経験させてあげるわ♡」

「おい、何を経験させるつもりだエロナース?それにお前の会話はガールズトークじゃなくて猥談だろうが」

「え~じゃぁドクターが私と・寝・る?」

「獣と同じ寝る危険性を冒すほど馬鹿じゃない」

「え、と、ナナさんと私が駄目、で、セブンさんとナナさんも駄目、です、か?じゃぁ、私、とセブンさんが、同じ部屋、ですね」

「ちょっと待て、それも問題が!」

「私、セブンさん、なら、一緒のお部屋大丈夫、です。だからセブンさんと、ナナさんが同じ部屋、はダメで良いと思いま、す」

(あらあらサラちゃんてばナナさんに嫉妬?か~わい~♡)

「いやそれも駄目だ。今日は俺が別の宿を取る」

「セブンさん、私と同じ、部屋、駄目です、か?私ケダモノじゃないです、よ?」

「いやそれは重々承知だ」

「むしろドクターが獣に成りかねないもんね~♡」

「お前と一緒にするなエロナース!おいアラ、年頃の女が妙齢の男と1つのベッドで寝て問題ないと思っているのか?」

「え、セブンさん、だから問題ない、です」

 セブンは頭が痛くなった。
 このままでは押し切られてしまう。
 それに妙にサラもノリノリである。

「パジャマパーティー、するの、サイヒ様として以来、です。楽しみ、です」

 サラの中ではセブンとパジャマパーティーをする事になっているらしい。
 男の欲望を一切理解していないからこそ出来る想像だ。
 だがその言葉がセブンの琴線に触れた。

「あのサイヒ様と一緒のベッドで寝たのか?」

「はい、キングサイズ、でしたけ、ど」

 サラは思い出してニッコニコの満面の笑みだ。
 セブンはそれに歯噛みした。
 分かっている。
 分かってはいるのだ。
 サイヒは女である。
 同性同士(ナナを除く)が同じベッドで寝るのに問題はない。
 だがサラはサイヒを敬愛しており、サイヒは見た目は傾国の美貌を持つ性別不詳者だ。

 2人のパジャマパーティーを想像したら、何故かセブンは負けた気になった。
 そして普段冷静なセブンの脳が壊れた。

「アラ、一緒に寝るぞ」

「はい、セブンさんと、パジャマパーティーです、ね」

(大丈夫なのかしらドクター?)

 そしてセブンは後悔する事になる。
 サラは風呂を済ませたらベッドに横になるや否やくぅくぅと寝息を立てて寝てしまった。
 この部屋にベッドは1つしかない。
 適度なソファーも置いていない。
 床で寝ようにも敷く布すらない。
 
 あるのはサラの隣の空間と1つの枕のみ……。

「大丈夫、大丈夫だ…アラと寝る位、獣と寝るのに比べれば何の問題も無い………」

 ベッドの空いてるスペースに体を入れ横になる。
 至近距離でサラの顔を見る事となる。

(平凡な顔だと思っていたが、愛嬌があって少しは可愛いかも知れないな…)

 その思考が致命的だった。

 ピコン♩

 セブンのご子息が反応してしまった。
 すぐにベッドから逃げようとしたが、寝ぼけたサラがセブンに抱き着く。
 これでは動けない。

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 その夜、セブンは朝まで素数を数えて眠ることは無かった。 
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