婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~

高井繭来

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《38話》

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「ぶ、無事着いたわね……」

「馬に羽が…ペガサス?何でそんな格の高い聖獣が馬車引いてるんだ……?」

「お空の上、綺麗、です、ね」

 顔の青いナナとセブンに対して、サラは天界の美しさに目をキラキラとしている。
 実に無邪気なものである。

「ふわぁ~、他の馬車に乗ってた、方々、も綺麗な方、です、ね」

「確かにちょっとした目の保養ね♡……て、何でグリフォンとドラゴンが居るの!?」

「アラ、お前何気にイケメンに弱かったんだな」

 憮然とした顔でセブンが言った。

 確かに此処に居るのは赤い髪に金色の瞳の美形の青年。
 金糸の髪と碧眼の美丈夫の男性。
 空色の髪と瞳と翼を持つ獣人(鳥人?)の美少年だ。

 美形の男たちに目をキラキラさせるサラの態度にセブンの機嫌が悪くなる。
 もっともサラは美形の男たちに目を輝かせていたのではなく、天界の美しさと、招かれた女性陣であるリリィに目を輝かせていたのだが。
 恋愛偏差値0のサラに男にトキメクなどと言う情緒は無い。
 絶対に無い。
 それなりの期間一緒に過ごして居るのだからセブンも分かりそうなものなのだが、今回は相手が悪過ぎたのだろう。

 セブンが悪いわけではない。

 セブンでなくとも大抵の男は自分の連れの異性が今回の3人に目を輝かせていたら気も悪くなるだろう。
 そこそこ容姿に自信のあるイケメン程度では足元にも及ばない美形たちだ。
 その美形3人は自分のパートナーにしか興味のない、他の女の視線なんて気にもしない者たちなのだが。

 セブンも本来の色合い戻し着飾れば見てくれも数倍良くなるのだが…。

 今の所ソレに気付いているのはナナだけである。
 この間セブンの瞳の色を見たサラでさえ、湖のような綺麗な水色の瞳は見間違いだと思っているのである。
 その瞳に見惚れていたのだから、セブンが着飾ればサラが見惚れる可能性も無くはない。
 無くは……多分ない………。
 いや、ある…のか…………?

 まぁ兎に角セブンは不機嫌なのである。

 普段ならナナも茶化すのだがドラゴンとグリフォン、それに天界と言った現在の状況にパニックに陥っているので美味い事フォローも入らない。
 全く持って悪循環である。

 それもサイヒが現れるまでだった。

 空からかかる声。
 性別を感じさせない落ちついたアルト。
 その声は耳に甘さを残す。
 そしてその姿は神が特別に作ったのだろうと思わせるほどの美しさ。
 男装をしているせいで男にも女にも見える。
 性別を超えた壮絶な美麗な存在に、流石にセブンも唖然とした。

 ナナはサイヒから漏れる神力に更にパニックに陥った。

 サラはもう目がハートマークだ。

 サイヒの姿を見、セブンがサラが傾倒するのもこれは仕方がないと思った。
 想像以上のバケモノだ。
 その姿まで。
 サイヒのバケモノ性はサラの口から聞いていたが、まさか姿までこれ程人離れしているとは。

「久しぶりだな、サラ」

「お、お久し振り、です、サイヒ、様」

「ふふ、まだどもる癖が治ってないな。それでも随分成長した。私の目を見て話せるようになったのだな、良い成長だサラ」

 サイヒの手がサラの頬を撫でる。
 その手つきが優美であるのにやけに色を伴っているように見える。
 もうサイヒの誑かしは生まれつきの性質としか言えないのでどうしようもないのだが、初めて見る者には目の毒過ぎた。
 セブンどころかサキュバスのナナでさえ顔を真っ赤にしている。
 されたサラはそれ以上に心臓をバクバクと言わせて頭をクラクラとさせていた。

「そう言えば、サイヒ、様…私聖女では無くなった、です……」

 サイヒと同じ聖女であったことがサラにとってサイヒとの繋がりであった。
 その聖女の力は消えてしまった。
 今この場に居るのが場違いな気がして、サラは鼻の奥がツンとするのが分かった。

「あぁ、泣かなくて良いぞサラ。そのロリコン神を私が倒して全能神の役目を私が襲名したから力が無くなっただけだ」

「「「はい?」」」

 サラとセブンとナナの声がハモった。
 何か今凄い事を聞いた気がする。

「え、と…サイヒ様、神様、です、か……?」

「襲名制でな。仕方なく全能神をしている」

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 セブンが口を開けて間抜けな声を出した。
 話に付いていけない。
 スケールが大きすぎる。

「え、え?全能神?私駆除されちゃう!?」

「ふふ、大丈夫だサキュバスの方。私にサラの大切な者を傷つける気はない」

 ニコリとサイヒが微笑む。
 その声と笑顔の甘さにナナは腰が砕けそうになった。
 サキュバスとして色気で負けるのはプライドが傷つくが、相手が神なら仕方ない。

「神様って、色気凄いのね……」

「サイヒ様は聖女時代、から、あんな感じ、です」

「………それ本当に人間?」

 ナナの思考が停止した瞬間だった。

「貴方がサラの大事な人の1人のセブンだな。初めましてお目にかかる。私はサイヒ、サラの友人で色々あって今は全能神をしている者だ。今日は来てくれて感謝する」

「俺はセブン。アラの上司だ。アンタの事はアラから良く聞いている。想像以上のバケモノで驚いているかがな。今日はお招き頂き感謝する」

「衣装はコチラで貸すので良いとして、色彩は黒のままの方が都合が良いのだろうか?」

「流石は神様だな、そんなことまで分かるのか」

「いや、神を襲名する前からソレくらいは分かったぞ?」

「あ~そうか、神を襲名する御方はソレくらい造作も無いか。色はこのままで良いから衣装だけ提供して貰いたい」

「了解した。それと私とサラは友人だから何も勘繰る必要性はないし自分を卑下する必要もないぞ?私は少し特別製だからな」

「勘ぐる?」

「無自覚か、それは失礼したな。それではアンタの本来の色に合わせてサラを着飾るとしよう。湖色のドレスはサラの綺麗なチョコレート色の髪にさぞや映えるだろう」

 クスリ、とサイヒが小さく微笑む。
 間近でサイヒの微笑を見せられて流石にセブンも怯む。

「アンタ、質が悪いな」

「ふむ、初対面でそう言われるとは心外な。まぁ私の周りもそう言うが、私の何が質が悪いのやら?」

「無自覚か、余計に質が悪い…が、俺はそれ程アンタの事嫌いでは無い様だ」

「それは良かった。私も友人の大切な人には嫌われたくないからな。これからもサラを頼むセブン氏」

「よく分からんが、アレは放って置いたらのたれ死ぬから頼まれておく」

「自覚したらまた改めて頼みに行くとしよう。では私は他にも挨拶があるので失礼する。今日は楽しんで行ってくれ」

 そう言ってサイヒは位の高そうな獣人たちへ挨拶に行った。

「セブンさん、サイヒ様となに、話してた、です、か?」

「お前の着るドレスの色が水色に決まったぞ」

「ふぇ、似合います、かね?」

「絶対似合うから心配するなアラ。お前はピンク何て派手な色より、落ち着いたその色位が丁度良い」

「何かよく分からない、ですが、褒められてる、ですか?」

「さぁな。ほれ、どうやら案内の者が来たみたいだ。行くぞ」

「はい、です」

「エロナース、放っていくぞ!」

「はっ、待ってよドクター、サラちゃん!!」

 3人の元に来た武官らしき天人に案内され、3人は白亜の王宮へ入る事となった。
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