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《34話》

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「………アラ、か?」

「サラ、です…でも今日はアラで良い、です………」

 いつもと違う服装(ナース服)にメイクを施され髪形と瞳の色をナナに変えられたサラが頬を染めながら答える。
 モジモジと頬を赤らめるサラに、セブンまでも羞恥が伝染したように僅かに頬を上気させた。

(あらあら、私が何しても反応しなかったドクターがサラちゃんに意識を持ってかれてるわ♡ちょっとメイクして髪と瞳を変えてナース服にしただけなのに、私が咥えた時より反応があると言うのはどう言う事かしら?
と言うかサキュバスの私にフェ〇されて何の反応も示さない所か、上から冷めた目で「そろそろ寒いから止めて欲しいんだが」とか言われた私の立場!
ピクリとも動かないとか!微塵も動かないとか!硬くも大きくもならないとか!!思い出したらちょ~っと腹立つわね)

 ナナの内心の怒りなど知らない2人は頬を染め合って見つめている。
 正直ナナは気分が良くない。
 何時かセブンの息子を立たしてみせる野望と、サラを少女から女に変えたいと言う欲望の板挟みだ。
 どちらに嫉妬すれば良いのやら。

「サラちゃんお城の騎士に顔知られているから身バレしないように、ね♡」

「あ、あぁそうか。お前元聖女だったな」

「すっかり忘れ去られてた、です、うぅ~」

「それで変装か。まぁ、その、良く出来ているんじゃないか?」

「はぅ、あ、有難うごさい、ます」

 ボン、とサラが顔を真っ赤にした。
 セブンはそっぽを浮いているので表情はよく分からない。
 が、

(耳真っ赤よドクター…これだから童貞は………)

「はい、早く治療に当たりましょう。甘酸っぱい青春は後でにして頂戴ね」

「誰が甘酸っぱい青春だ!」

「ふ~ん、詳しく説明しましょうか?」

「うぐぅ、別に要らん」

「はいはい、じゃぁドクター指示出して♡」

「あぁ、アラ、トリアージは分かるか?」

「サイヒ様に、教わって、います」

「ここでも登場かサイヒ様。俺も1回会ってみたいもんだ」

「駄目です!」

 サラが珍しく大きな声を出す。

「どうしたのサラちゃん大きい声出して?珍しいわね?」

「あ、だって、サイヒ様は、本当に綺麗、で恰好良くて、頭が良くて、優しくて……」

 サイヒの事をサラが褒めるたびにセブンが憮然とした表情になって行く。
 サラは勿論気付いていない。

「だから、セブンさん…サイヒ様に会ったら、きっと、好きになる、です……」

「はぁ~サイヒ様が凄いのは分かったが、俺が何で惚れるんだ?俺は女には興味ない」

「サイヒ様は男色家の方からも、人気ある、です。セブンさんも、きっと…好きになる、です」

「俺はゲイじゃないぞ?」

「へ、そうなの、ですか?」

「俺は男にも女にも興味はない。興味があるのは医学だけだ」

「そう、ですか。セブンさんは好きな人いない、です。これからも、誰も好きにならない、ですね。ふふ」

 ふにゃり、とサラが微笑む。
 その邪気の無い笑顔に、セブンもナナも声を失った。

「アコロ王子、逃がした魚は大きかったわね~♡」

 絶句するセブンをよそに、先に復活したナナはおかしそうに目を細めた。
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