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《31話》

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〇ドクターは食べたい料理が作れない

「チッ」

 綺麗な箸使いでサトイモの煮っころがしを口に運びながら、セブンが舌打ちをした。

「セブンさんどうした、です?サトイモ美味しい、です、よ?」

 どやらセブンが味付けに納得がいかなかったと思ったサラがちゃんと美味しいと発言する。

「当たり前だ。俺の料理が不味い訳が無い」

 ドン、と言い切る。
 セブンは自分の料理の腕には絶大な自信があるのだ。
 同じくらい医療と魔術にも自信がある。
 法術はほどほどである。
 まぁこの世界、魔力と法力を両方兼ね備えているものは少ないので、魔術に比べて法術の腕が多少悪かろうがセブンが凄いことには変わりはない。
 寧ろ魔術を極めてさらに一般冒険者並みの法術を使えるセブンは破格の才能の持ち主である。

 閑話休題

「今日は苦みのある料理も作って冷えたエール飲む気分だったんだよ」

「はい、です」

「で、カカンの料理で食べたい奴があってな」

「はい、です」

「でもその材料が何処にも売ってねーんだよ!」

「そ、それは、悲しい、です。食べたいもの食べれないの、辛い、です!」

 涙目になって握りこぶしでサラが答えた。
 サラにとって食事より優先される娯楽など無い。
 食べたいモノが食べれない。
 地獄である。

「で、ドクターは何が食べたかったの?」

 ナナがセブンの作った料理には手を付けずサキュバス用練乳をチューブから直接舐めている。
 たらたら垂れる白濁液をテロテロとぽつぽってりした唇から出した舌で舐め取るのが大変卑猥である。
 性欲0のサラとセブンは何とも思ってはいないが…。
 ここに性欲の溜まった男がいたなら視覚の刺激だけで達していた事だろう。
 2人の性欲が0で大変良かった事例である。

「チャンプルだ」

「チャンプル?です、か?」

「そうゴーヤチャンプル!苦みの中にも旨味があってエールと合うんだ!ただでさえ高級品のゴーヤだから普段は買わないのに、いざ買おうと思ったらどの店にいっても売り切れ…嫌がらせか!?」

「あ~ゴーヤね。最近教会の司教様が気に入って買い占めてるそうよ♡」

「糞司教め。呪ってやる。ゴーヤを俺に寄越せゴーヤを!!」

「セブンさんの目が、怖い、です…でも司教様、そんなにゴーヤ好きじゃなかった、です。お好きになられた、でしょうか?」

「ゴーヤね~♡おっきくてイボイボで太くて長くて最高よね♡」

「誰もかれもお前と同じ思考と思うなエロナース」

「やん、別にいやらしい事言ったつもり無いんだけど♡そう言う受け取り方するドクターの方がエッチじゃない♡」

「ゴーヤの何が、エッチ、ですか?」

「んも~サラちゃんピュアッピュア♡私色で染めちゃいたい♡」

「アラ、エロナースが夜に部屋を訪ねても扉を開けるなよ」

「よく分からないけど、家主のセブンさんが言う、なら、承知しました、です」

 その後、ゴーヤチャンプルこそ食べれなかったモノの、セブンの手料理を満足いくまで堪能し、皆至福の時を味わった。

 まさかナナの言う通りな案件でゴーヤが司教に使われているなど誰も想像していなかった。
 
 ゴーヤ…可哀想な野菜である……(合掌)
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