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《28話》
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セブンは迷っていた。
万事屋に来て既に小一時間過ぎている。
どうしても目的のモノが置いてある棚に行く勇気が出ないのだ。
考えても見て欲しい。
セブンは童貞である。
そしてアラサーだ。
異性に触れたことなど医療行為でしかした事が無い。
そのセブンに”ナプキン”のお使いは難易度が高すぎた。
「ドクターそろそろ買うもの決めちゃくれないかい?」
万事屋の旦那が煙管をふかしながら呆れた目でセブンを見ていた。
「そっちの棚に用事があるってことは月の物の道具だよな?ドクター実は隠し子でも居たのか?」
「変な感繰りは止めろ。俺は医療行為以外で異性の手を握ったこと無い32年綺麗なままの体だ」
「それ自慢げに言う事じゃないだろーて。ま、仕方ない。他の客も居ないから俺が選ぶの手伝ってやるよ」
「本当か!?」
珍しくセブンが喜色の笑みを浮かべた。
相当精神的にキていたらしい。
「まぁ誰が使うか深く聞かんでやるよ。話が広がったらサラちゃんが可哀想だからな」
「分かっていたんならさっさと声をかけてくれても良いんじゃないのか!」
「いや~モダモダしてるドクターの健気さ見てたらつい子供のお使いみたいで心の中で応援しちまってよ。心の中で”頑張れ~”て声かけてたんだぜ」
「嬉しくない情報と応援をありがとよっ!!」
「まぁまぁ怒りなさんなって。んで、ナプキンな。使い捨てもあるけど高級品だからな。布製が良いだろう。この羽とボタン付きの固定できるシートタイプが良いぞ。シートに布を挟んで使うんだ。取り替えやすいから衛生面でも良いしな。柄もいっぱいあって可愛いだろ?て、何だよドクターその変なものを見る目は?」
「いや…中年オヤジがナプキンの事を嬉々として語っている絵面がきつかった……」
「自分で選ぶか?」
「スミマセンデシタ……」
そしてセブンは店主お勧めの布ナプキンをシート5枚、中心に挟む用の布を10枚選んでくれた。
挟む方の布には柄が無い。
血で汚れるのだから柄があっても仕方が無いのだろう。
シートの方はピンクと黄色と水色と黄緑とラベンダー色のチェック柄。
こんなモノでも可愛いと気分が上がるらしい。
そんなものかとセブンはナプキンが入った紙袋を抱えてサラのアパートに戻るべく足を進めた。
:::
「ちょっとドクター遅いわよ!!」
アパートにつくと激おこのナナが居た。
ベッドには相変わらずのミノムシサラだ。
だが呻き声でなくスヤスヤと寝息が聞こえてくるので痛みは無くなっているらしい。
その事にセブンは胸を撫で下ろした。
(ん、何で今ほっとしたんだ?)
「はい、じゃぁナプキン出して。で、サラちゃんを清拭するから外出てて♡」
いうや否や、ナナはセブンの持っていた紙袋を奪い取るとセブンを部屋の外へと押し出し鍵をかけた。
「って、オイ!鍵なんかかけなくても見ねーっての!!誰が好き好んで女の裸覗くか!!」
叫ぶセブンの言葉に、近所の奥様方がひそひそと声を抑えて喋りながら視線を寄越す。
次の日からセブンがゲイだと噂が立つことになるが、ひとえに自業自得である。
ガチャ
ドアを蹴ろうとしたセブンの気配に気づいたのか、安っぽい音を立てて扉の鍵が解かれ扉が開いた。
出て来たナナの腕に抱えられているのは部分的に真っ赤に染まったシーツとマットレス。
マットレスは3つ折りの安物だ。
お陰でコンパクトに持ち歩けて今回は助かったが。
「何だ?」
「これ魔術で洗浄しちゃって頂戴♡折角の魔術の腕も使わなければ落ちるでしょ?出来れば乾燥もしてね♡サラちゃんの部屋に洗い替えないみたいだから♡その間に清拭しちゃうわね、じゃぁヨロシク~♡」
ドン、とそれなりの質量のあるリネンを渡されてセブンが空に向かって叫んだ。
男なら心情をきっと理解してくれるであろう。
「ぐぁぁぁぁっ!だっから女は嫌いなんだよっ!!!」
余計な一言さえ付け加えなければ。
こうしてセブンは自分から勘違いを深めていくのだった。
万事屋に来て既に小一時間過ぎている。
どうしても目的のモノが置いてある棚に行く勇気が出ないのだ。
考えても見て欲しい。
セブンは童貞である。
そしてアラサーだ。
異性に触れたことなど医療行為でしかした事が無い。
そのセブンに”ナプキン”のお使いは難易度が高すぎた。
「ドクターそろそろ買うもの決めちゃくれないかい?」
万事屋の旦那が煙管をふかしながら呆れた目でセブンを見ていた。
「そっちの棚に用事があるってことは月の物の道具だよな?ドクター実は隠し子でも居たのか?」
「変な感繰りは止めろ。俺は医療行為以外で異性の手を握ったこと無い32年綺麗なままの体だ」
「それ自慢げに言う事じゃないだろーて。ま、仕方ない。他の客も居ないから俺が選ぶの手伝ってやるよ」
「本当か!?」
珍しくセブンが喜色の笑みを浮かべた。
相当精神的にキていたらしい。
「まぁ誰が使うか深く聞かんでやるよ。話が広がったらサラちゃんが可哀想だからな」
「分かっていたんならさっさと声をかけてくれても良いんじゃないのか!」
「いや~モダモダしてるドクターの健気さ見てたらつい子供のお使いみたいで心の中で応援しちまってよ。心の中で”頑張れ~”て声かけてたんだぜ」
「嬉しくない情報と応援をありがとよっ!!」
「まぁまぁ怒りなさんなって。んで、ナプキンな。使い捨てもあるけど高級品だからな。布製が良いだろう。この羽とボタン付きの固定できるシートタイプが良いぞ。シートに布を挟んで使うんだ。取り替えやすいから衛生面でも良いしな。柄もいっぱいあって可愛いだろ?て、何だよドクターその変なものを見る目は?」
「いや…中年オヤジがナプキンの事を嬉々として語っている絵面がきつかった……」
「自分で選ぶか?」
「スミマセンデシタ……」
そしてセブンは店主お勧めの布ナプキンをシート5枚、中心に挟む用の布を10枚選んでくれた。
挟む方の布には柄が無い。
血で汚れるのだから柄があっても仕方が無いのだろう。
シートの方はピンクと黄色と水色と黄緑とラベンダー色のチェック柄。
こんなモノでも可愛いと気分が上がるらしい。
そんなものかとセブンはナプキンが入った紙袋を抱えてサラのアパートに戻るべく足を進めた。
:::
「ちょっとドクター遅いわよ!!」
アパートにつくと激おこのナナが居た。
ベッドには相変わらずのミノムシサラだ。
だが呻き声でなくスヤスヤと寝息が聞こえてくるので痛みは無くなっているらしい。
その事にセブンは胸を撫で下ろした。
(ん、何で今ほっとしたんだ?)
「はい、じゃぁナプキン出して。で、サラちゃんを清拭するから外出てて♡」
いうや否や、ナナはセブンの持っていた紙袋を奪い取るとセブンを部屋の外へと押し出し鍵をかけた。
「って、オイ!鍵なんかかけなくても見ねーっての!!誰が好き好んで女の裸覗くか!!」
叫ぶセブンの言葉に、近所の奥様方がひそひそと声を抑えて喋りながら視線を寄越す。
次の日からセブンがゲイだと噂が立つことになるが、ひとえに自業自得である。
ガチャ
ドアを蹴ろうとしたセブンの気配に気づいたのか、安っぽい音を立てて扉の鍵が解かれ扉が開いた。
出て来たナナの腕に抱えられているのは部分的に真っ赤に染まったシーツとマットレス。
マットレスは3つ折りの安物だ。
お陰でコンパクトに持ち歩けて今回は助かったが。
「何だ?」
「これ魔術で洗浄しちゃって頂戴♡折角の魔術の腕も使わなければ落ちるでしょ?出来れば乾燥もしてね♡サラちゃんの部屋に洗い替えないみたいだから♡その間に清拭しちゃうわね、じゃぁヨロシク~♡」
ドン、とそれなりの質量のあるリネンを渡されてセブンが空に向かって叫んだ。
男なら心情をきっと理解してくれるであろう。
「ぐぁぁぁぁっ!だっから女は嫌いなんだよっ!!!」
余計な一言さえ付け加えなければ。
こうしてセブンは自分から勘違いを深めていくのだった。
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