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《25話》

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 ケーキバイキングには本日はセブンも来ていた。
 厨房の男たちがギリィと奥歯を噛み締めた。
 ナナと親し気なセブンに殺意を覚えたらしい。

 セブンは相変わらず黒づくめの服。
 サラは白のシャツとスキニーのジーンズ。
 その胸に膨らみが全く無いのは言ってはいけない。
 そしてナナは藍色のチャイナドレスだった。

 チャイナドレス。
 ナナにしては一見露出が少ないように感じられる。
 だがチャイナドレスを侮ってはいけない。
 ナナが来ているチャイナドレスは無地の、酷く薄い布でできたものだった。
 ぴっちりと肌に張り付いているので、そのボディラインが良く分かる。
 
 色気とは肌を出すだけでは無いのだ。
 隠されてこそ想像の余地が膨らむ色気もあるのだ。

 そして相変わらずナナは下着をつけていない。

 胸のトップの位置と形はくっきり分かる。
 
 ソレは下も同じだった。
 腰付近まで入った際どいスリットから下着のラインは見えない。
 さらにナナが動くたび、裾がゆらゆら揺れるのだ。

 誰か、その裾を捲りあげてくれ!!!!

 厨房のスタッフの心の声が一丸となった。

 その隙にサラは皿にケーキを山積みにしている。
 厨房スタッフも我に返る。
 あの《幼児体型の悪魔》を今日こそくだす!

 だが揺れるスリットも気になる。
 
 カウンター越しで客からは上半身しか見えない、ガラス張りの厨房で男たちは下半身を熱く滾らせ、奥歯を噛み締めながらケーキを作り続けた。

 :::

「はぁ~ドラゴン騒ぎのせいで怪我人続出、でしたね」

「伝説級のドラゴンに立ち向かうとか、勇ましいを通り越してただの馬鹿だ」

「男の人はすぐに闘いに熱くなっちゃうものね。女は金銭に目が無いけど。今回は女性を含む冒険者パーティーの方が患者に多かったのはそう言うことでしょうね♡」

 いつの世も金や宝石は女を欲望に素直にさせるのだ。
 目の前で吸引力が変わらない唯一の何かと違って。

 その吸引力が下がらない唯一のサラはケーキの2巡目を取りに行っていた。

「それにしてもドラゴンに勝ち目がないことぐらい分かるだろうが普通…」

「女の欲望罪深いわ♡」

「ドラゴン、そんなに強い、ですか?」

 ケーキを皿に山積みにしたサラが帰って来ていた。

「あのなぁ、伝説級だぞ!S級のなかでもドラゴンは特別枠だ!純アストラル体の悪魔にすらその能力は匹敵すると言われているんだぞ!?」

「でもサイヒ様、デコピン1発で、倒してました、よ?」

「「はい?」」

「私がドラゴンを見てみたい、と言ったら巣迄連れて行って、くれました」

「「はい?」」

「雑魚ドラゴンは、サイヒ様が一睨みすると、失禁、してましたね」

「「はい?」」

「その後現れた、ボスドラゴンを、魔術も法術も無しに、デコピン1発で、地に沈めました」

「おい、サイヒ様…本当に人間か……?」

 セブンが頭を抱えた。
 サラの言っている事が真実だと分かっているからだ。
 こんなほらを吹いて人を揶揄うほど、サラは頭が賢くない。

「ドラゴンの巣って、どうやって行ったの!?」

「サイヒ様が付与した空飛ぶ絨毯、で一飛びです」

((うん、もうサイヒ様には突っ込むだけ無駄だ………))

 セブンとナナは諦めた。
 サイヒ様は人間じゃないと結論付けて。

 :::

「おぉぅ、《女神》が!《女神》がホワイトチョコを浸らせたバナナを口に含んでおられる!!」

「くぅ!何とエロい!!」

「ケーキを取る時、前屈みになるからコチラに尻を向けられるのだ!布が薄いから尻の形がハッキリわかる!!」

「今だ!今裾を捲れば《女神》の花びらがコチラに露になるのに!」

「誰か裾を!裾を捲るんだぁぁぁぁっ!!!!」

 厨房も何かと忙しそうである。


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 前回の続きです。
 王宮にドラゴンが来た時の「その頃のアコロ王子」は次回書きます。
 まさかリクエストしてくれる方が居るなんて(爆笑)
 リクエスト本当にありがとうございます!!
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