婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~

高井繭来

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《20話》???side

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 少年の母は小国の王女であった。

 金糸の髪にアクアマリンの瞳。
 華奢な体に大人しそうな雰囲気の、儚い印象の美少女だった。
 やがて16歳になった王女は魔術大国ディノートの国王の側室となった。

 すでに正妃との間に王は子を設けており、4人の側室の間にも子が6人存在した。

 後継者に困ることは無いのだから少女を娶る必要はない。
 少女を側室に娶ったのは、ただただ少女が国王の食指に触れたから。
 それだけである。

 そうして少女は25歳も年上のディノートの第5側室となった。

 翌年少女は子を1人出産した。
 少女と同じ金糸の髪とアクアマリンの瞳を持つ男の子であった。

 国王は大いに喜んだ。
 国王は若くして嫁いできた若い側室に夢中だった。
 赤子も第7子であるにもかかわらず、父である王から愛されて育った。

 何1つ問題のない家族関係だった。
 第7子の為どれほど愛されようが上に6人も王位継承権をもった王子たちが居る。
 正妃も他の側室も、少女と国王と赤子が親子ごっこを楽しむのを邪魔するものはいなかった。

 問題があるとすれば、ソレは少女の体がディノートの土地の空気が体に合わなかった事だ。

 少女は基本自分の邸から出る事は無かった。
 赤子は乳母に預けられることなく、基本母に育てられた。
 外で遊ぶよりも母と本を読むことが好きな、そんな少年に赤子は育った。

 年が過ぎるごとに少女の体は弱くなる。
 少年が10歳になる頃には母はベッドの上から動くことは殆どなくなった。

 国王は毎日のように見舞いり、法術師に母の体の苦しみを取るため術をかけさせた。
 少年も少しでも母の苦痛を取り除くため、法術の勉強を特に力を入れた。

 少年が11歳になった時母は亡くなった。
 薄い体に幼さが取れ切らない顔立ち。
 子を産んだ成人女性であるにも関わらず、少女のような姿の母は、綺麗な姿で棺桶で眠るように横たえられていた。

 痩せ細っても美しい母が亡くなったのは、ただの風邪が原因だった。
 法術のかけ過ぎで、母には自己免疫能力がほぼ皆無に近い状態になっていたのだ。
 法術は万能ではない。
 少年は免疫を減らすことなく、病を、傷を治せる医師になる決意をした。

 少年は医師になるため医学に強い国であるクロイツへ留学した。
 少年は医学を修め、そのまま少年がディノートに帰国する事は無かった。

 少年ーもう30も超えた青年になっているだろうーが今何処に居るのかは、誰も知らない。
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