皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?

高井繭来

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その後

過去への旅客20

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 お昼ご飯を食べてチビ魔王とお昼寝。
 そんな天国の様な時間を過ごした後、オウマさんが魔王に絵本の読み聞かせをします。

「ジャイアントパンダは別名オオパンダとも呼ばれ、高山地帯に自然生息する大型のクマ科動物である。彼らは最も識別しやすい野生動物の一つで、その特徴的な黒と白の毛皮、大きな丸い体、そして表情豊かな顔で知られている。成体の体重は通常、100~150キログラムに達し、オスの方がメスよりやや大きい傾向がある。
ジャイアントパンダの食生活は非常に特殊で、主に竹を食べる。
竹は栄養価が低いため、パンダは毎日大量の竹(約12~38キロ)を食べて栄養を確保する必要がある。竹以外にも、果物、野菜、時には魚や小動物を食べることもあるが、これらは彼らの食事のごく一部を占めるに過ぎない。
繁殖に関しては、ジャイアントパンダは非常に特異な行動を示す
彼らは一般的に孤独で、特に繁殖期以外は他のパンダと交流することはほとんどない。
メスは2~3年に一度のみ発情期を迎え、その期間は非常に短いため、繁殖の機会は限られている。
妊娠期間は約95~160日で、通常1~2頭の子を産むが、生き残るのは通常1頭だけである。ジャイアントパンダはそ
の独特な外見と稀少性から、世界中で保護の象徴として親しまれている」

 パンダ。
 パンダ可愛いですよね。
 パンダの着ぐるみを着たチビ魔王がパンダの話を聞いている。
 天使がここに居ます。
 今この時間はこの場所は楽園です。
 いささか絵本の内容が幼児向けでない気がしますが………。

「パンダのグーグーはお腹いっぱいだし眠たいしで気持ちよくなっていた。そこにいきなり見知らぬ男が入ってきた。
グーグーが見知った飼育員ではなかった。当時6歳のグーグーが悲鳴をあげる間もなく近寄ってきて、ぎゅっ。と熱烈なハグをかました。驚いたパンダのグーグーが、とっさに男性の右ふくらはぎにかみついた。すると、それに逆ギレした男性は負けじとグーグーの背中にかみついて反撃、乱闘騒ぎになってしまった。
事件後、男性は「まさかパンダがかみついてくるとは思わなかった。皮膚は意外と硬かった」と話したが、男の軽率な行動に避難が殺到する事態になったそうだ。
後からわかったことだが、この犯罪者、もといの出稼ぎ労働者はエールを何杯も飲み、できあがっていたという。
酔って気が大きくなっていたのか、よほどパンダが好きだったのか。
しかし、そんなことはグーグーには関係ない。
彼は驚き、ヘンタイに噛みついたことで無事、変態を撃破に成功した」

 んん~何か絵本なんですが…何か私の知っている絵本と違います………。

「その時、グーグーはお食事中だった。動物園から与えられるご飯は美味しくてつい夢中になってしまう。ううん、竹最高。
事件が起きたのはそんな至福の時間の最中。
何を思ったのか「そいつ」は柵をのぼってきた。パンダと人間をへだてる鉄製の柵を。
入るな危険と書いてあるはずなのに、「そいつ」は字が読めないのかルールを守らない極悪人なのか、お構いなしにグーグーの家に入ってきた。
グーグーは怖かったが、残っていた野生の本能のカケラを必至で集めて侵入者を攻撃した。
がぶっ。
後からわかったことだが、「そいつ」は15歳になる李という男だった。パンダへの好奇心から運動場に侵入しようとしたらしい。
飼育員により助け出され病院に搬送された李さん、足の骨が「こんにちわ」していたという。
ジャイアントパンダはふだん固い竹をばりばりかみ砕いて食べます。あごの力がすごいので噛まれたらこうなるんですね。
我々はではパンダのことを『大熊猫』と呼んでいるが、その名のとおり“熊”であることを、私たちは忘れてはならない。
動物が人を食べてしまうエピソードはグロテスクで恐ろしい。しかし、人間は動物の餌になりうるということをよく知っておくことで、不用意な行動を避けることもできる。人類への警告である」

 パンダ!パンダが怖いです!!
 ソレを聞いてキャッキャッと喜んでいる魔王。
 情操教育的にこれはいいんでしょうか!?

「シックスリーは本当パンダの話が好きやなぁ」

「私はパンダよりミヤハル様が好きです」

「ん~エントは可愛えなぁ、ぎゅ~っ♡」

「~~~~~~~!!!」

 あ、エントさんがショートした。
 3歳児に好きなお姉さんからのハグは刺激が強すぎたのでしょうか?
 かなりおませですねエントさん。

「シックスリー次は何読むんね?」

「う~」

 そう言ってチビ魔王が指さしたのはキリンさんの本。
 可愛いなぁと思っていたのはそこまでで………。

 私、キリンが舌で鼻をほじるだなんて知りたくありませんでした………。
 何かこの家にある本は変に偏りがある様な。
 誰がセレクションしたんでしょうか?

 謎を抱えたまま、今日もチビ魔王を愛でる私なのでした。
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