229 / 275
その後
過去への旅客4
しおりを挟む
「はいはい何方ですかん?」
高い声です。
ミヤハルさんはどちらかと言うとアルトよりの声です。
でも聞こえた声はボーイソプラノ。
どうやら扉の向こうに居るのはミヤハルさんではないようです。
ガチャ
扉が空きました。
出てきたのは若葉色の髪に稲穂色の瞳の7~8歳の少年です。
おんぶ紐で赤ちゃんをおんぶしています。
小さいのに赤ちゃんのお世話をするなんて立派な子供です。
で、その髪色と瞳の色で少年が誰か分かりました。
私の周りでこの色を纏っているのは1人です。
そう、オウマさんです。
オウマさん可愛かったんですね。
いえ、今でも男の方にしては可愛いですけど、この時はスカートも似合いそうな程の可愛さです。
ミヤハルさんが敢えてユニセックスな服は着せて無いのでしょうね。
犯罪者が出るのは良い事ではありませんからね。
「どちら様何?」
「あ、ミヤハルさんに用があって来ましたヒガンと申します」
「ミヤハル様の知り合い何の?」
「え~と、知り合いと言えば知り合いのような、一方的に知っていると言いますか…」
うぅ、説明が上手く出来ないです。
私は口下手なんですよ。
ミヤハルさんやオウマさんのようにツラツラと言葉が出てくるタイプじゃ無いんです。
「う~ん妖しいけど、お姉さん悪い感じしないんね。いーよ、ミヤハル様に取り次ぐねん」
「有難うございます!」
そしてオウマさんは踵を返してミヤハルさんを呼びに行きました。
背中がこちらに向けられた時、一瞬ですがチビ魔王が見えました。
スヤスヤ眠っています。
涎が少し垂れていて可愛いのなんの!
オウマさんから奪い取りたい衝動を抑えるので私は必死でしたよ!!
「ん~自分がお客さん?初対面やと思うけど?」
ミヤハルさんが出てきました。
そして私を頭の先から爪先迄凝視します。
うぅ、居心地が悪いです。
「あれ、その紙袋?」
「あ、これタイガー屋の羊羹です!ミヤハルさんお好きですよね!?」
「タイガー屋、羊羹…ええで、上りぃ」
「はい、有難うございます」
ここではまだ紙袋は渡しません。
客間に通されてから渡すのがマナーです。
ちゃんと勉強しましたがら間違いない筈です。
王妃授業では学びませんでしたけどね。
王妃が一般家庭にお土産を自分で持っていくなんてシチュエーションないですから。
魔国に来てから魔国の風土の勉強をしたんです。
魔国は神話時代の”二ホン”と言う国に分化が近いそうです。
理由はミヤハルさんとユラさんが元”二ホン人”だからだそうで。
なので和の文化を魔国に着いてから学びました。
そして客室(勿論和室)に通されて、私はタイガー屋の羊羹を渡しました。
「うんうん、間違いなくあの羊羹やなぁ。おもろい、後でユラ姉ちゃん呼びだそか」
ミヤハルさんはご機嫌で箱を開けました。
中身はまだ出していないです。
「皆さんで召し上がって下さい」
「おん、美味しく頂くわ”タイガー屋の羊羹”な」
ミヤハルさんがルンルンです。
事は上手く進んでいる気がするのですが、何か違和感を感じます。
何か失敗しましたっけ?
「ヒガンちゃんはどの羊羹が好きや?」
「私、蜂蜜好きです」
「おん、んじゃ用意するから待っててやぁ」
そう言ってミヤハルさんは客間を出て行きました。
多分自分でお茶の用意をするのでしょう。
ミヤハルさんは意外と家庭的なのです。
お茶の時間になったらチビ魔王に会えないですかねぇ?
皆で羊羹食べる時ならチビ魔王を愛でる機会があるかも知れません。
私は下心満々で、タイガー屋の羊羹が出てくるのを待つのでした。
高い声です。
ミヤハルさんはどちらかと言うとアルトよりの声です。
でも聞こえた声はボーイソプラノ。
どうやら扉の向こうに居るのはミヤハルさんではないようです。
ガチャ
扉が空きました。
出てきたのは若葉色の髪に稲穂色の瞳の7~8歳の少年です。
おんぶ紐で赤ちゃんをおんぶしています。
小さいのに赤ちゃんのお世話をするなんて立派な子供です。
で、その髪色と瞳の色で少年が誰か分かりました。
私の周りでこの色を纏っているのは1人です。
そう、オウマさんです。
オウマさん可愛かったんですね。
いえ、今でも男の方にしては可愛いですけど、この時はスカートも似合いそうな程の可愛さです。
ミヤハルさんが敢えてユニセックスな服は着せて無いのでしょうね。
犯罪者が出るのは良い事ではありませんからね。
「どちら様何?」
「あ、ミヤハルさんに用があって来ましたヒガンと申します」
「ミヤハル様の知り合い何の?」
「え~と、知り合いと言えば知り合いのような、一方的に知っていると言いますか…」
うぅ、説明が上手く出来ないです。
私は口下手なんですよ。
ミヤハルさんやオウマさんのようにツラツラと言葉が出てくるタイプじゃ無いんです。
「う~ん妖しいけど、お姉さん悪い感じしないんね。いーよ、ミヤハル様に取り次ぐねん」
「有難うございます!」
そしてオウマさんは踵を返してミヤハルさんを呼びに行きました。
背中がこちらに向けられた時、一瞬ですがチビ魔王が見えました。
スヤスヤ眠っています。
涎が少し垂れていて可愛いのなんの!
オウマさんから奪い取りたい衝動を抑えるので私は必死でしたよ!!
「ん~自分がお客さん?初対面やと思うけど?」
ミヤハルさんが出てきました。
そして私を頭の先から爪先迄凝視します。
うぅ、居心地が悪いです。
「あれ、その紙袋?」
「あ、これタイガー屋の羊羹です!ミヤハルさんお好きですよね!?」
「タイガー屋、羊羹…ええで、上りぃ」
「はい、有難うございます」
ここではまだ紙袋は渡しません。
客間に通されてから渡すのがマナーです。
ちゃんと勉強しましたがら間違いない筈です。
王妃授業では学びませんでしたけどね。
王妃が一般家庭にお土産を自分で持っていくなんてシチュエーションないですから。
魔国に来てから魔国の風土の勉強をしたんです。
魔国は神話時代の”二ホン”と言う国に分化が近いそうです。
理由はミヤハルさんとユラさんが元”二ホン人”だからだそうで。
なので和の文化を魔国に着いてから学びました。
そして客室(勿論和室)に通されて、私はタイガー屋の羊羹を渡しました。
「うんうん、間違いなくあの羊羹やなぁ。おもろい、後でユラ姉ちゃん呼びだそか」
ミヤハルさんはご機嫌で箱を開けました。
中身はまだ出していないです。
「皆さんで召し上がって下さい」
「おん、美味しく頂くわ”タイガー屋の羊羹”な」
ミヤハルさんがルンルンです。
事は上手く進んでいる気がするのですが、何か違和感を感じます。
何か失敗しましたっけ?
「ヒガンちゃんはどの羊羹が好きや?」
「私、蜂蜜好きです」
「おん、んじゃ用意するから待っててやぁ」
そう言ってミヤハルさんは客間を出て行きました。
多分自分でお茶の用意をするのでしょう。
ミヤハルさんは意外と家庭的なのです。
お茶の時間になったらチビ魔王に会えないですかねぇ?
皆で羊羹食べる時ならチビ魔王を愛でる機会があるかも知れません。
私は下心満々で、タイガー屋の羊羹が出てくるのを待つのでした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3,986
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる