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その後

騎士団長だって本気の恋をする7

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 食事の後は少しのお散歩。
 勿論ては繋いで。
 そして無論のこと手は恋人繋ぎだ。
 指と指が絡み合う。
 自分の手より大きくて武骨なアムカの手にオウマは胸の高鳴りを隠せない。

(こんな大きい手でなんであんな繊細な点心が作れるんだろ?それに結構ごつごつしてる。俺の手も剣を振るのを生業としているからごつごつしてるだろうし、恋人繋ぎしても気持ちよくないと思う訳ですよ)

 頬を赤らめ、オウマはチラリとアムカを見た。
 偶然か、アムカもこちらに視線を向けていた。
 思い切り真正面から視線がかち合う。

「俺、手汗ヤバくない?」

「温かい手で気持ちが良いよ」

「うにゃぁぁぁ~~~~」

 オウマが本気で項垂れる。
 今日のアムカは完全にオウマを女の子扱いをしている。
 じゃなかったらこんなに甘い雰囲気作ってくれるはずがない。

 オウマは己が女の子に尽くすのは平気だが、己が女の子扱いされて、こんなに甘い雰囲気を纏われて甘やかされたら途轍もなく恥ずかしい。
 しかもアムカの大人の色気。
 魔族としてはまだ若い部類のオウマには出せない色気だ。
 オスのフェロモンがむんむんと香ってくる。
 それにオウマはヘロヘロなのである。

「アムカさんもしかして目的地あって散歩してるん?」

「見せたいものがあってな」

(アムカさんが見せたいもの?新しい調理器具とか?古書とか?)

 忘れがちだがアムカは書庫の管理人だ。
 皆点心を楽しみに遊びに行くが、王宮内の書庫は大きく、歴史ある古い価値の高い本もごろごろ転がっている。
 さらにアムカは数万冊ある本の名前と作者と内容を全て覚えているらしい。
 ミヤハルが書庫の管理人に進める訳である。
 禁書庫を見張って欲しいから言う事を聞いてくれやすい人選を行ったとの一説もあるが、あながち間違っていないところが腐海の住民たる由縁である。

 いつの間にか公園に来ていた。
 だが散歩道でない、脇にズレた細い道の方へアムカは進んでいく。

「こっちて入っちゃっていいん?」

「限られた人物だけな」

 少しばかり葉が生い茂り歩きにくい細道を通り抜けると、狭い湖があった。
 そこに咲き乱れる一面の水連。

「あ、モネ……」

「知っていたか。意外と博識じゃないかオウマ」

「ミヤハル様のコレクションの美術品の画集で見せて貰ったことあるんよ。俺、モネの水連凄い好なんね」

「知っていた」

「はえっ?」

「だから連れて来た。本物そっくりだろう?お前が喜ぶと思ってな」

「あ、あ、アムカさん…デートこなれてない……?」

「美味しい初物を頂かせて貰うんだ。調理にはしっかり準備をして1番美味しくなった時に男はオオカミになるんだぞ、オウマ」

 カプ

「ひあぁ!」

 耳元で囁いたと思ったら、アムカがオウマの耳朶に歯を立てた。

「コレも調理の一部なんの?」

「あぁ、美味しそうに首まで真っ赤に染まっている。可愛いなオウマ」

「~~~~~アムカさんのエッチィ」

「スケベな男は嫌いか?」

「俺も男だからエッチィことは好きだけど、女の子限定でしかしたこと無いんからね…自分にベクトル向くとこんなになるなんて想像もしなかった………」

「で、嫌い?」

「~~~~好き、だよ」

 しゃがみ込んで顔を隠したオウマがボソリと呟いた。
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