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その後
近未来からの来訪者
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「んん~おかぁしゃん……」
あれ?
私、魔王と一緒に寝てましたよね?
2人きりで寝てましたよね?
じゃぁ私にしがみ付いてくるこの小さいのは誰でしょう?
もしや魔王がまた小さくなりましたか!?
「魔王、また子供になったんですか!?」
ガバッと布団を捲って起きます。
自分の腰に3歳ほどの子供がしがみついているんですけど…。
見た事ない子です。
赤い髪が夕日色で綺麗ですね。
瞼はまだ閉じられていてその目は見えないですが、赤ちゃんになった魔王と顔が瓜2つです。
え、でも魔王の髪は黒です。
むしろ私の髪と同じ色です。
でも顔は魔王そっくりです。
一体どういう事でしょうか?
子供を挟んで奥に魔王はまだスヤスヤと寝ています。
寝ている魔王はとても可愛いです。
少し幼くなるんです印象が。
これを見れるのはお嫁さんの私の特権です。
「おか、しゃん………」
赤い髪の子供が口をもごもご動かして母親を呼んでいます。
どうやらお母さんを探しているみたいですね。
迷子でしょうか?
でもどう迷子になったら私と魔王に挟まれて眠る羽目になるのでしょう?
「魔王、魔王起きて下さい」
「ん、何だリコリス?」
長い睫毛がふるりと震え、魔王の瞼が持ち上がります。
その奥に隠れていた月色の瞳が私を捉えます。
無駄に色気があって何時まで経ってもなれません。
顔に熱が集まるのが分かります。
ですが照れている場合ではありません。
「魔王、迷子が居ます」
私は自分の腰を指さしました。
そこには赤い髪の幼児が抱き着いています。
「リコリス、誰の子だ………」
「魔王、目が怖いです………」
「お前と同じ髪色だ」
「それを言うなら魔王と瓜二つのそっくりさんですよ?」
「「………………」」
「姉上のところに行くぞ」
「ですよねぇ………」
珍事件が起こったらまずはミヤハルさんのところに行くのが正解です。
大抵何らかの関りがあるのですから。
寧ろ問題の実行犯だった場合のほうが多いですしね………。
「リコリスから離れろ子供」
べりっ、と魔王が子供を私の腰から引き剝がしました。
プラーンと襟首をつかまれ、子供は猫の子の様に宙吊りになりました。
そしてその衝撃で子供の目が開かれます。
その瞼の奥の瞳は魔王と同じ月色。
「とーしゃん」
ニッコーと子供が魔王を見て笑いました。
えっと、とーしゃはお父さんでしょうか?
え、子供ってこんなにいきなり大きな姿で生まれてくるんですか!?
いや、ソレは流石に無いでしょう?
出産した感覚もありませんし、まだ妊娠の気配すらなかったんですから。
まぁ私は早く子供が欲しくて仕方ないのですが、魔王はまだまだ必要ないと言います。
まだ暫く2人で居たいと言われて私も悪い気はしないのですが。
え~と私の願望が生み出したナニか、とかじゃないですよね………。
「取り合えずコレは間違いなく姉上の案件だ」
「ですよね~」
魔王が片手で子供を抱きなおしました。
案外子供を抱くのが上手いです。
子供が出来たらこんな魔王を見る事になるのですね。
感慨深いです。
「一気に【ゲート】でトぶ。今なら誰にもコレを見られていないからな」
「了解しました」
魔王は空いてる片手で私も抱き上げました。
意外と力持ちさんです。
その逞しい腕の感触に私の胸はドキドキです。
何時まで経っても魔王の色気には勝てないですね。
「あぅ~?」
子供が大きな目をキラキラさせてこちらを見ます。
ヴッ、きゅんとします。
やっぱり子供可愛い!
「行くぞ!」
私が子供にときめいたのを感じ取ったのか、魔王は【ゲート】を開き飛び込みました。
あの~魔王…私たちまだ寝着なんですけど………。
まぁ会うのがミヤハルさんなので問題ないでしょう。
こうして謎の子供の正体を突き止めるため、私たちはミヤハルさんの邸に移動したのでした。
あれ?
私、魔王と一緒に寝てましたよね?
2人きりで寝てましたよね?
じゃぁ私にしがみ付いてくるこの小さいのは誰でしょう?
もしや魔王がまた小さくなりましたか!?
「魔王、また子供になったんですか!?」
ガバッと布団を捲って起きます。
自分の腰に3歳ほどの子供がしがみついているんですけど…。
見た事ない子です。
赤い髪が夕日色で綺麗ですね。
瞼はまだ閉じられていてその目は見えないですが、赤ちゃんになった魔王と顔が瓜2つです。
え、でも魔王の髪は黒です。
むしろ私の髪と同じ色です。
でも顔は魔王そっくりです。
一体どういう事でしょうか?
子供を挟んで奥に魔王はまだスヤスヤと寝ています。
寝ている魔王はとても可愛いです。
少し幼くなるんです印象が。
これを見れるのはお嫁さんの私の特権です。
「おか、しゃん………」
赤い髪の子供が口をもごもご動かして母親を呼んでいます。
どうやらお母さんを探しているみたいですね。
迷子でしょうか?
でもどう迷子になったら私と魔王に挟まれて眠る羽目になるのでしょう?
「魔王、魔王起きて下さい」
「ん、何だリコリス?」
長い睫毛がふるりと震え、魔王の瞼が持ち上がります。
その奥に隠れていた月色の瞳が私を捉えます。
無駄に色気があって何時まで経ってもなれません。
顔に熱が集まるのが分かります。
ですが照れている場合ではありません。
「魔王、迷子が居ます」
私は自分の腰を指さしました。
そこには赤い髪の幼児が抱き着いています。
「リコリス、誰の子だ………」
「魔王、目が怖いです………」
「お前と同じ髪色だ」
「それを言うなら魔王と瓜二つのそっくりさんですよ?」
「「………………」」
「姉上のところに行くぞ」
「ですよねぇ………」
珍事件が起こったらまずはミヤハルさんのところに行くのが正解です。
大抵何らかの関りがあるのですから。
寧ろ問題の実行犯だった場合のほうが多いですしね………。
「リコリスから離れろ子供」
べりっ、と魔王が子供を私の腰から引き剝がしました。
プラーンと襟首をつかまれ、子供は猫の子の様に宙吊りになりました。
そしてその衝撃で子供の目が開かれます。
その瞼の奥の瞳は魔王と同じ月色。
「とーしゃん」
ニッコーと子供が魔王を見て笑いました。
えっと、とーしゃはお父さんでしょうか?
え、子供ってこんなにいきなり大きな姿で生まれてくるんですか!?
いや、ソレは流石に無いでしょう?
出産した感覚もありませんし、まだ妊娠の気配すらなかったんですから。
まぁ私は早く子供が欲しくて仕方ないのですが、魔王はまだまだ必要ないと言います。
まだ暫く2人で居たいと言われて私も悪い気はしないのですが。
え~と私の願望が生み出したナニか、とかじゃないですよね………。
「取り合えずコレは間違いなく姉上の案件だ」
「ですよね~」
魔王が片手で子供を抱きなおしました。
案外子供を抱くのが上手いです。
子供が出来たらこんな魔王を見る事になるのですね。
感慨深いです。
「一気に【ゲート】でトぶ。今なら誰にもコレを見られていないからな」
「了解しました」
魔王は空いてる片手で私も抱き上げました。
意外と力持ちさんです。
その逞しい腕の感触に私の胸はドキドキです。
何時まで経っても魔王の色気には勝てないですね。
「あぅ~?」
子供が大きな目をキラキラさせてこちらを見ます。
ヴッ、きゅんとします。
やっぱり子供可愛い!
「行くぞ!」
私が子供にときめいたのを感じ取ったのか、魔王は【ゲート】を開き飛び込みました。
あの~魔王…私たちまだ寝着なんですけど………。
まぁ会うのがミヤハルさんなので問題ないでしょう。
こうして謎の子供の正体を突き止めるため、私たちはミヤハルさんの邸に移動したのでした。
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