皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?

高井繭来

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その後

青天の霹靂が身に降った思いだと後に彼女は答えた

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 自分は恋愛の神様に悉く愛想をつかされているんだと思っていた。
 己の時代で12年。
 新人種…つまり古代種と後に呼ばれるようになってから数億年。
 自分には恋愛の「れ」の字もなかった。

 もともと思考は男児寄り。
 見かけは中世的なのでどちらかと言うと同年代の女の子に人気があった。
 男子はそんな自分の事をどう扱って良いか分からないみたいだった。
 実際、自分と対等に喋れる相手と言うのは年長者が多かった。

 だがその大人たちもどうやら自分の外見に魅力を抱いていたらしい。
 拉致監禁されそうになったのは何度だろうか?

 同年代に友達は居ない。

 大人たちは自分を性的な目で見ている。

 気づいたら1人でいることが気楽になっていた。
 そして男にも女にも恋愛感情のようなものは生まれなくなっていた。
 初恋が来る前に性のおぞましさを知ってしまったので恋愛に興味を抱くどころか、拒否感まで抱くようになっていた。

 唯一仲良くできたのは母の姪にあたる10歳年上の女性だけだった。
 『古部由良』
 自分の最大の理解者にして加害者だ。

 ユラ姉ちゃんは自分を腐海に見事沈めてくれた。
 BLは楽しい。
 自分に危害が及ばない。
 でも恋愛もので、割としっかり心理描写が出来ていて、女の子が少女漫画を読むように自分はBL本を読むようになった。
 胸がトキメクものに出会えた。
 でも10歳の女児に薄い本を与えるのはどうかと思うぞユラ姉ちゃん。

 そして2年後に世界の終末が来た。

 世界は滅びて生きている人間は世界中で数十人になった。
 代わりに奇妙な生き物が世界に生まれた。
 感想はドラ〇エだな、だった。
 自分はファ〇ファンよりドラ〇エ派なのである。

 生き残った人間の中で生きるための能力に目覚めたのは十数人。
 ユラ姉ちゃんがその中に居たことは喜ばしい事だった。

 そして新しい命と種族がたくさん生まれ、世界は科学ではなく魔術を使用するようになった。

 ユラ姉ちゃんと生きて数千年。
 魔力や法力を持った新しい命をいくつも育てた。
 そして育てた者たちは『神』もしくは『悪魔』と呼ばれる存在になった。
 神と悪魔が天と地と地下に世界を作り、神や悪魔を育てた自分たちは『古代種』と呼ばれるようになった。

 そして時は億の年月がたった。
 自分やユラ姉ちゃんに成長の兆しは無かった。
 寿命が延びた代償だろうか?
 コレでは簡単に死ぬことも出来ない。
 古代種の生命力は凄まじく、長い月日に心を病んで自決しようとするものは何人もいた。
 だが進化した細胞は死を受け入れなかった。
 もう死ぬことは諦めた。

 気まぐれに子供を育てたりした。
 自分は初潮もないまま古代種になったので子供を孕める体ではない。
 代わりにたくさんの子供を育てた。

 特に『魔族』と呼ばれる悪魔の系列の人類を育てた。
 いつの間にか魔族の『母』的な存在になっていた。

 そして魔族の国、魔国に安住の地として家を建てた。
 ユラ姉ちゃんは「喪女のまま終わりたくないー!」と叫んで世界中を旅するようになった。
 見かけは良いのになユラ姉ちゃん。
 ちょっと性格と言うか性癖が残念なだけなのにな。
 何で彼氏できないんだろう?
 でも自分も恋人がこの先も出来ることはないだろうし、ユラ姉ちゃんの足掻く姿をはたから見るのは楽しかった。
 
 自分は数億年生きた今でもユラ姉ちゃんが大好きなのだ。
 昔から最後に手を差し伸ばしてくれる、ユラ姉ちゃんの存在は自分の光だ。
 魔国にも良く遊びに来てくれる。
 自分はのびのびと生きることが出来た。
 『古代種』の自分を恋愛感情で見る者はいない。
 
 だから驚いた。
 偶に気ままに赴くオークションで、そんなものを見つけるなんて思わなかった。

 赤子を抱えて殺気と魔力を放つ幼子。

 灰銀の髪に青銀の瞳。
 殺気に満ちた相貌。
 赤子を守り抜くのだという射抜くような視線。

 子供なんて特に好きでもないのに。

 そんな趣味はなかったはずなのに…この時自分は、初めて恋と言うものに落ちたのだった………。


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 ミヤハル視点3人称。
 エントとくっつくまで書けたら良いなぁ。
 上手く短くまとめられると良いのですけど(*´ω`*) 
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