上 下
134 / 279
その後

TSってどう思う?5

しおりを挟む
「ユラ様、落ち着かれましたか?」

 ユラはソファに座っている。
 中々良い座り心地のソファだ。
 アムカのお気に入りのブランドで揃えているらしい。
 王宮の書庫の中のプライベートサロンは女性にも人気がある。
 アムカが趣味で淹れてくれるお茶と点心は腹ペコさんたちの心もお腹も満たしてくれる。
 女であったら、と涙した男も居たと言う噂もある。

 魔国の王宮のトップ陣は常識がかけているものが多い。
 全員がマイペースで癖もあるので下の者は胃を痛めっぱなしだ。

 胃が弱いと言えば別の話に胃が弱い優秀な男が出てくる話がある。
 是非皆様【聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~】もご覧ください(*- -)(*_ _)ペコリ

 閑話休題

 そして常識人で人当たりの良いアムカに癒されている者は王宮に大勢居るのだ。
 今のユラもその1人だった。

「アムカ君のお茶美味しい。わたし中国茶好きなのよね…」

「ジャスミンティーはストレスが溜まっているほど美味しく感じるそうですよ?ユラ様、随分ストレスをお溜めになっているのでは?」

 ブワッ

 ユラの目から涙が溢れた。
 そう、その通りだ。
 ユラは今非常にストレスが溜まっている。
 ジャスミンティーがホストクラブで飲むロマネ・コンティより美味しく感じる。

 ロマネ・コンティとは、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ社が単独所有するフランスのブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏、コート=ドール県・ヴォーヌ=ロマネ村に在る、約1.8ヘクタールのアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレにおけるグラン・クリュ(特級格付け)のピノ・ノワール種のブドウ畑。
 または、その葡萄園から生産するブドウから造ったブルゴーニュワインである。
 神話時代のワインの平均年産は、約6,000本程度と極めて稀少性が高く、世界一高値で取引されるフランスワインである。
 またその価格と稀少性の高さから、「飲むよりも語られる事の方が多いワイン」として、しばしば言及される。
 ロマネ・コンティは、どんなに安くても「1本100万円」は下らず、良作年の物は「1本200万円」、状態などによっては3億円以上になることもあるのだ。

 それをホストクラブで飲んだことのあるユラ…一体神話時代は何をしていたのやら。
 ただ男には困っていたが金に困ることは無かったらしい。

「この桃饅頭も美味しぃ」

 さめざめと泣きながらユラが点心も堪能する。
 本当に美味しい。
 これでアムカが男だったら最高だった。
 司書とは思えないガタイの良さと強面だが整った顔のアムカ。
 面食いのユラのストライクゾーンだ。
 2人きりで飲茶を楽しむ。
 本来なら最高のシチュエーションである。

 相手がTS化していなければ…。

 今目の前に居るのは金髪の巻き毛に爆乳のお姉様だ。
 神話時代の超有名セレブ姉妹のお姉様の方に似ている感じだ。

 お姉様は良いぞ!
 特にブチャ〇ティのコスプレが良い!!
 良くぞあの爆乳を潰せたものだ。
 荒〇先生の描くキャラが3次元に出て来たようなコスプレの数々。
 本当、心が潤いました。
 ありがとうお姉様。
 妹のミ〇さんもプロデュースを有難う。
 次回作期待しています。

 そしてそのアムカだが…何故か手に赤い縄を持っている………。

「アムカ君…その縄なーに?」

「恥ずかしいながら1度、男性も縛ってみたいと思っていたんですよ」

「なっーーーーーんで私の周りは変態しか居ないのよぉぉぉぉぉぉぉぉっぉっ!!!」

 ユラはテーブルをちゃぶ台返しをすると書庫から逃げ出した。
 使用された食べ物は後でちゃんとスタッフ(アムカの飼い犬)が片付けました。ワフワフモフモフ
しおりを挟む
感想 748

あなたにおすすめの小説

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?

蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」 ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。 リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。 「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」 結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。 愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。 これからは自分の幸せのために生きると決意した。 そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。 「迎えに来たよ、リディス」 交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。 裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。 ※完結まで書いた短編集消化のための投稿。 小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?

長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。 王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、 「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」 あることないこと言われて、我慢の限界! 絶対にあなたなんかに王子様は渡さない! これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー! *旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。 *小説家になろうでも掲載しています。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら

影茸
恋愛
 公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。  あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。  けれど、断罪したもの達は知らない。  彼女は偽物であれ、無力ではなく。  ──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。 (書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です) (少しだけタイトル変えました)

婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない

nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?

処理中です...