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その後

チビ魔王と一緒

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 黒髪の子供がスヤスヤと眠っています。
 おかしいですね。
 私は昨日魔王と一緒に就寝したはずなんですが…。
 それにしても可愛い子供です。
 3歳ぐらいでしょうか?

 お手手もほっぺもプクプクです。

 思わず指でツンツンしちゃいます。
 あ、子供の睫毛が揺れた。
 閉じられていた瞼が開きます。
 そして現れたのは月の様な優しい金色の瞳。
 間違いなく魔王の遺伝子を継いでいる顔立ちと色彩の子供でした。

「お姉ちゃんだーれ?」

 コテリ、と小首を傾げる様も可愛いですが。
 で・す・が!!
 取り合えず1回叫ばしてください。

「魔王の浮気者ぉーーーーーーーーーーっ!!!」

 窓を開けて大声で叫びました。
 辺りの鳥が飛び去りました。
 犬がワンワン喚いております。
 猫が叫んでおります。

 だが今の私には知った事じゃないのです!!

 私との寝室に隠し子を置いて行くなんて、それ何て言うプレイですか!?
 高度過ぎます!!
 て言うか魔王に隠し子居たんですね。
 居ないとは言わせません。
 だって子の子供魔王そっくりですもん。
 顔の造りも色合いも魔王のミニチュア版です。

 ダダダダダダダダダッ!!!

 足音が迫ってきます。
 それもそうでしょう。
 王妃が窓から大声を上げる。
 とんでもない出来事です。

「失礼します!どうなされましたか王妃様!?」

 扉が開きます。
 ちなみにこの寝室は結界が張ってあります。
 魔王と私の許可がないと入れない作りです。

 あ、ミヤハルさんとエントビースドさんは例外ですが。

 そして今私は誰かに助けを求めたかったので兵士の皆さんが入って来れた訳です。

「魔王が隠し子を置いて姿をくらましました」

 うぅぅぅぅぅぅ、腹が立ちます!
 嫌がらせにも程があります!!

 あ、兵士さんたちが固まっています。

「王妃さんどーしたのー?」

 あ、オウマさんです。
 オウマさんは私にとってお兄ちゃんの様な存在です。
 この間も魔王が子供の頃の話をこっそり聞きに行っていました。
 だから魔王にも内緒の秘密を共有してる間柄なんです。

「あれ、シックスリ―じゃん」

「あ、オウマにいちゃん?おっきくなってない?それでココどこ?」

 キョトリ、と魔王(仮)が周りを見渡します。

「う~ん取り合えずミヤハル様案件だろーね!」

 今日も又愉快犯が動き出したようです。
 取り合えず魔王の隠し子では無かったようなので良かったです。

 それにしてもチビ魔王可愛いですね。
 食べちゃいたい位可愛いというのはこう言うのを言うんでしょうね。
 ジッ、と見たらチビ魔王がオウマさんの法衣の裾をギュ、と握りました。
 不安にさせちゃいましたかね?
 小っちゃくても魔王は魔王、嫌われたくないです。

 にこーっと笑顔を浮かべて見ます。

「お姉ちゃんだーれ?」

「私はリコリスです。よろしくですシックスリ―君」

「うん、よろしくねリコ姉ちゃん」

 鼻血噴くかと思うくらい可愛かったです。
 うぅ、私の理性の糸が切れない前に魔王を元に戻さないと!
 帰れない扉が開きそうです!!

 ひょい、とオウマさんが魔王(仮)を肩車しました。
 チビ魔王はキャッキャッと喜んでいます。
 うっ、理性の糸が!!!

 こうしてエントビーストさんの所に居るであろうミヤハルさんの元に、私たちは乗り込む事になったのでした。
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