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その後

【番外】オウマside9

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 はぁ~フカフカのベッド気持ち良かった~!
 寝て起きても体がギシギシしないの。
 これ初体験。
 しかも上布団もフッカフカでぬっくぬく。
 俺この家に奴隷として買われて良かったぁ。
 力仕事バリバリこなすよ!
 家事だって汚れ仕事だってちゃんと完璧にするからさ。
 この家にずっと置いてて欲しいな、て朝1で思ったんだ。
 そんなセンチメンタルな気分になるなんて繊細だったんだね子供の俺。

 で、コンコンコンてドアがノックされた。
 普通奴隷の部屋ノックする?
 まぁ応えるよ。

「はい、起きてます」

「おはようございます。朝食の仕事が出来てますよ」

「はい、すぐ行きます!」

 実は気になってたんだよね、美味しそうな匂い。
 ドアが開けられて香りが強くなった。
 お腹がぐぅ~、と鳴る。
 昨日あんなに食べたのにもう空腹になってたんだよね。
 子供の成長期凄いね!

「おはようオウマ」

「おはようございますミヤハル様!」

「元気えーな、子供は元気が1番や」

 昨日はちゃんと自己紹介もしたから名前で呼んで貰えたよ。
 ニコニコ笑うミヤハル様、子供の俺から見ても綺麗なんだよな~。
 まぁ俺は自分の身分ての分かってるから付き合いたい、とか思わないよ?
 俺がもう少し大人で身分高かったら告白してるかもしれないけど。
 俺所詮は奴隷だし。
 ご主人様が美形で優しいだけで充分幸せです!

「先に顔を洗おておいで」

「はい」

 洗面台は昨日お風呂に入ったからちゃんと場所把握してるよ。
 大きすぎない家で反対に助かったかな?
 タオルの場所も教えて貰ってるし、洗濯物を入れる籠がどれかも覚えている。
 要するに家の中での行動は好きにしても良いって事みたいだね。

 冷たい水が気持ちイイ。
 水が清潔だからだろうね。
 泥臭くないし生温くない。
 水もお湯も綺麗な物ならこんなに心地良いんだね。

 顔を洗って、ダイニングに戻る。

 あ、美形兄弟も席に着いている。
 食べるのは待っててくれたみたい。
 優しいね皆。
 ミヤハル様の主義なのかな?
 皆でご飯を食べるって言うの。

 白いフカフカのパン。
 魚介の香りがする白いクリームスープ(この時はクラムチャウダーなんてしらなかったんだよね)。
 肉厚のベーコン。
 ふわふわのスクランブルエッグ。
 コーンがたっぷり入った色とりどりの野菜のサラダ。
 マグカップに注がれているミルク。

 うわ~涎出ちゃうよ。
 出ちゃっても良いよね?
 お話の中でしか聞いた事の無い理想的な朝ごはんが目の前にある。

 ぐぅ~

 また俺のお腹が鳴った。

「早ぉ席着きや。さ、食べよか」

 皆で手を合わせて”いただきます”だよ!
 爺ちゃんが死んでから2度目の”いただきます”だ。
 何か凄くほっこりする。

 そしてご飯!
 そりゃ美味しかったよ!
 まだ料理長さんと顔合わせてないけど、あったらお礼言わなくちゃね。
 美味しいご飯作る人に悪い人はいない!
 これ俺の持論ね。

「オウマ、自分にはこれからこのちび2人の面倒見て欲しいんやけどええかな?」

「それが俺の仕事ですか?」

「そ、それがオウマの仕事や」

 正直オークションで買われた俺が、同じオークションで買われた子供の世話をするのが仕事って珍しいパターンじゃないだろうか?
 でもミヤハル様揶揄っている訳じゃないみたいだったし。
 取り合えず俺は首を縦に振ったよ。

「それと別に」

「別に?」

 あ、心臓ドキドキしてきた。
 こっちが本命の仕事?

「体を鍛えて貰うで」

「はい?」

「今の魔国はちょ~っとばかし荒れとってな、近く魔王が崩御する。せやから新しい魔王を立てる事になる。自分らにはその穴埋めをして貰うつもりや」

「は、いぃぃぃぃぃぃっ!?」

 何言ってんの?
 何言ってんのこの人!?
 奴隷が魔王の座の穴埋め?
 出来る訳無いじゃない!!

「この国の魔王を決めるのは選挙制や。崩御にはあと10数年はかかる。自分らを今から鍛えれば十分間に合うわ。あ、剣術は執事のケンキが、魔術はメイドのイグジーが教える予定や。ある程度力付いたらウチが手合わせしたる。精々死なんように頑張りや」

 あ、この人本気だ。
 ニコニコ笑ってるみたいで目が笑ってない。
 この時初めて俺はとんでもない所に来ちゃったかもしれないと思ったんだよね。

 はい、今日はここまで。
 兄の甘酸っぱい恋心まではまだまだ先が長そうだな…。
 ま、皆かる~い気持ちで付き合ってね♡
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