皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?

高井繭来

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その後

【10話】

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〇貴方は死にました。
 道を歩いていると分岐点があり、それぞれの道には扉があります。
 1つは天国へ行く扉。
 1つは地獄へ行く扉。
 それぞれの扉の前に門番が居ます。
 天国から来た門番は質問すると本当のことを話します。
 地獄から来た門番は質問すると必ず嘘を話します。
 どちらの扉が天国へ通じるのか、地獄へ通じるのかわかりません。
 貴方は天国へ行きたいですが、質問は《どちらかの門番に1つだけ》しか出来ません。
 貴方は天国へ行くため何と質問しますか?
 なお、貴方はどちらが天国の番人でどちらが地獄の番人かは知ることはできません。


「あ~それウチ知っとるわ。何億年たってもクイズって内容似てくるんやな~」

「私も答えは分かるぞ」

「大体想像つくが、…ゴニョゴニョゴニョ(オウマに耳打ち)で合っているか?」

「はい、魔王様正解!」

「私分からないです…説得できないんでしょうか?」

「王妃さんダメダメ、質問1つのみ」

「では我が一緒にリコリスを天国へ連れて行こう」

「いや、これそう言う問題じゃないから魔王様……」

 午後のお茶の時間、珍しくミヤハルとエントビースドだけでなくオウマやメイド達も加えての賑やかなお茶会だった。

「私なら天国でも地獄でも生き抜く自信があるから大丈夫です☘」

「駄目だよエーデル。ちゃんと天国へ行くのがミッションなんだから☆」

「いや、ミッションて訳でも無いんだけどね…」

 思わずオウマが突っ込む。

「片方を殺して、もう片方を力づくで天国へ誘導するよう仕向けます♬」

「可愛いく言ってもコレそう言う問題じゃないからねビーズちゃん」

「気持ち良い事してあげて自分から言いたくなるよう仕向けちゃう♡」

「そう言う刺激的な回答は詳しく内容を聞きたいけど王妃さん居ないとこでしよーねシーナちゃん」

 まともな回答が魔王以外全く出ない。
 大丈夫だろうか魔国のメイド達…。

「門番言うても勝てる気しか起こらんなぁ」

「鞭とか持ってて凄い強い設定で!」

「鞭?縄は持ってないのかしら♡」

「うん、シーナちゃんちょっと黙っとこーか?」

「でも全員戦闘力高いから地獄言われても怖いイメージが無いんよなぁ」

「確かにミヤハル様の言う通りです☘」

「え、きっとニンジンとかピーマンとか無理矢理食べさせられたりするんじゃ無いんですか?」

「リコリスちゃんの地獄像が想像以上に可愛かった…魔王が萌え死にしとる」

「え、え、?魔王どうしました?何故首筋に額ぐりぐりしてるですか!?」

「あ~うん、好きにさせてあげて王妃さん」

 うんうん、と皆が頷くのでリコリスはソレで良いのかと納得した。

「じゃぁ蛇とかがいっぱい出てくるとか~」

「蛇…ニュルニュル…触手………はぁ、良いわぁ♡」

「うん、シーナちゃんはちょっと黙ってよーね!王妃さんの教育に悪いから!」

「私蛇好きですよ?懐いて来てくれますし」

「あぁリコリスちゃんは蛇神の加護あるからな」

「そうなんですか?」

「自分の母方の祀っていた神さんの属性知らんかったんかいな…」

「じゃぁ、虫が、特にでっか~いGがうじゃうじゃいる所、とか?」

 ズザザザザザザ!

 ミヤハルが物凄いスピードで後ずさりした。
 器用に椅子に座ったまま。

「あ、ミヤハル姐さんG嫌いでしたねそう言えば」

「オウマ、後でお仕置きや…想像させただけでも罪は重いでぇ、エントに考えつくまでの拷問やって貰うで…」

「オウマ、しばらくは寝る事も出来ないと思え……」

「いやぁ!何するつもり?俺一応お前たち兄弟の教育係よ?恩赦かけてやろうとか思わない訳!?」

「ハルを苦しめた罪は何よりも重い……」

「ちょ、タンマ!その無表情やめて!マジ怖いから!!」

「さてと、どんな拷問がお好みだオウマ?」

「兄上、オウマは魔国の即戦力の1つなんですから後で復元出来る程度にして下さいよ」

「了解した」

「兄弟揃って教育係不幸者――――――っ!!!」

 オウマが飛行魔法で空に飛び立つ。

「逃がさん」

 ソレを追ってエントビースドが飛び立った。

「どっちが勝つと思いますか☘」

「え~魔国最強の騎士だからオウマ様ー♪」

「そりゃ魔国1の魔術の使い手のエントさまでしょ♡」

「ではトトカルチョ始めますか☆」

 こうしてメイド達による魔国1の剣技の使い手と、魔国1の魔術の使い手による追いかけっこのトトカルチョが始まった。
 半日続いた追いかけっこは白熱し、大層大勢を楽しませた。
 何が原因で娯楽が始まるか分からないのも魔国の良い所である。

「で、結局どっちになんて聞けば良いんでしょうか……」

 リコリスだけは最後までクイズの答えに悩んでいたという。


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