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第2章
37話
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あ~体が痛いです。
手に感覚もだんだん無くなってきました。
指先から冷えていくのが分かります。
腕がちぎれても足がちぎれても再生は出来ましたけどね。
骨が折れてもすぐにくっつきます。
皮膚が敗れても瞬間に元に戻ります。
視力を失っても。
耳をそぎ落とされても。
喉を掻き切られても。
私の体は【強化】の魔術で回復します。
【強化】は治癒能力も上げますから。
でも失われた血は元に戻りません。
血が流れ過ぎましたね。
《武神》時代の増血剤の丸薬が懐かしくなるほど血が無くなりました。
悔しいです。
私も戦闘にはそれなりに自信があったんですけどね。
相手の方が格段に実力が上でした。
さすがに魔王候補であっただけあります。
魔力も、体術でも相手の方が上でした。
でもシーナ達は皆逃げ切れましたよね。
それくらいの時間は稼いだつもりです。
出来れば自分で倒したい相手でしたが。
どうかすれば助けが間に合えばと思って今したが。
残念ながら間に合いそうではありません。
「はぁ~、しぶとい女だったぜ。だが上玉だ。このまま式迄目一杯可愛がってやるよ。魔王が待ってるチャペルで犯してやったらどんな顔するだろうなぁ?」
男が私の腕に手枷を嵌めました。
スッ、と魔力の流れが体の中で止まったのが分かります。
魔力封じの手枷だったみたいですね。
ただでさえ苦手な魔術迄使えなくなるじゃないですか…。
本当、抜け目のない男で嫌になります。
でもこんな男に凌辱されるくらいなら……。
「グゥッ!」
喉から潰されたカエルのような声が出ます。
こんな男のモノになるつもりはありません。
死体とでも精々戯れて下さいな。
魔力が完全に止まる前に、自分の心臓を握りつぶしてやりますよ。
「あ~別に死んでも良いぜ?勘違いしいるみたいだが俺の本職は戦闘職じゃなくて死霊使いだ。死体になったら正式に婚姻盗んでやるよ」
ニッコリと男が笑った。
その笑みは野性的な男が初めて浮かべた純粋な笑顔だった。
死んだらこの男のモノになる?
駄目だ駄目だ駄目だ…。
私の全ては魔王のモノです。
死体だってやる訳にいかないです!
バキ
パキ
ボキ
拳と拳を合わせて手首と指の間接を外します。
スルリ、と手枷から手が抜けました。
【紅蛇】
ドンッ!
伸し掛かって来ていた男の胸に手を当て、ゼロの距離から打ち込んだ。
「グゥゥゥウゥゥッ!!」
ズザザ…
男の体が3メートルほど後ろに吹っ飛びました。
「観念したんじゃ無かったのか?」
「いえ、明後日結婚式なのに死んでる場合じゃないと思いまして」
すみません魔王。
一瞬貴方の事を裏切りました。
心が貴方のモノなら体位くれてやっても良いなと思いました。
私の体は髪の先から爪先、血の一滴に至るまで貴方のモノだというのに。
バキ…
外れていた関節を元に戻します。
魔王、私に力を貸してください。
貴方の元に帰るための力を……。
ブワリッ
耳が熱いです。
イヤーカフが熱を持っています。
水晶の向日葵から黄色い魔力が溢れます。
あぁ魔王の魔力が私を包みます。
月色の魔力が私の夕日の色の魔力と混じります。
そして私の体は黄と赤が混ざった朝日の色に包まれました。
手に感覚もだんだん無くなってきました。
指先から冷えていくのが分かります。
腕がちぎれても足がちぎれても再生は出来ましたけどね。
骨が折れてもすぐにくっつきます。
皮膚が敗れても瞬間に元に戻ります。
視力を失っても。
耳をそぎ落とされても。
喉を掻き切られても。
私の体は【強化】の魔術で回復します。
【強化】は治癒能力も上げますから。
でも失われた血は元に戻りません。
血が流れ過ぎましたね。
《武神》時代の増血剤の丸薬が懐かしくなるほど血が無くなりました。
悔しいです。
私も戦闘にはそれなりに自信があったんですけどね。
相手の方が格段に実力が上でした。
さすがに魔王候補であっただけあります。
魔力も、体術でも相手の方が上でした。
でもシーナ達は皆逃げ切れましたよね。
それくらいの時間は稼いだつもりです。
出来れば自分で倒したい相手でしたが。
どうかすれば助けが間に合えばと思って今したが。
残念ながら間に合いそうではありません。
「はぁ~、しぶとい女だったぜ。だが上玉だ。このまま式迄目一杯可愛がってやるよ。魔王が待ってるチャペルで犯してやったらどんな顔するだろうなぁ?」
男が私の腕に手枷を嵌めました。
スッ、と魔力の流れが体の中で止まったのが分かります。
魔力封じの手枷だったみたいですね。
ただでさえ苦手な魔術迄使えなくなるじゃないですか…。
本当、抜け目のない男で嫌になります。
でもこんな男に凌辱されるくらいなら……。
「グゥッ!」
喉から潰されたカエルのような声が出ます。
こんな男のモノになるつもりはありません。
死体とでも精々戯れて下さいな。
魔力が完全に止まる前に、自分の心臓を握りつぶしてやりますよ。
「あ~別に死んでも良いぜ?勘違いしいるみたいだが俺の本職は戦闘職じゃなくて死霊使いだ。死体になったら正式に婚姻盗んでやるよ」
ニッコリと男が笑った。
その笑みは野性的な男が初めて浮かべた純粋な笑顔だった。
死んだらこの男のモノになる?
駄目だ駄目だ駄目だ…。
私の全ては魔王のモノです。
死体だってやる訳にいかないです!
バキ
パキ
ボキ
拳と拳を合わせて手首と指の間接を外します。
スルリ、と手枷から手が抜けました。
【紅蛇】
ドンッ!
伸し掛かって来ていた男の胸に手を当て、ゼロの距離から打ち込んだ。
「グゥゥゥウゥゥッ!!」
ズザザ…
男の体が3メートルほど後ろに吹っ飛びました。
「観念したんじゃ無かったのか?」
「いえ、明後日結婚式なのに死んでる場合じゃないと思いまして」
すみません魔王。
一瞬貴方の事を裏切りました。
心が貴方のモノなら体位くれてやっても良いなと思いました。
私の体は髪の先から爪先、血の一滴に至るまで貴方のモノだというのに。
バキ…
外れていた関節を元に戻します。
魔王、私に力を貸してください。
貴方の元に帰るための力を……。
ブワリッ
耳が熱いです。
イヤーカフが熱を持っています。
水晶の向日葵から黄色い魔力が溢れます。
あぁ魔王の魔力が私を包みます。
月色の魔力が私の夕日の色の魔力と混じります。
そして私の体は黄と赤が混ざった朝日の色に包まれました。
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