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第1章
19話
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「断罪の時間、は~じま~るで~♫」
何と言うか凄く気の抜ける声です。
でもミヤハルさんらしいと言えばらしいのですが。
「まずはこの悪臭何とかせななぁ。エント頼むで~」
宙に浮いているミヤハルさんとエントビースドさんが見えました。
こんな時でもミヤハルさんの腰に腕を巻き付けているエントビースドさんの姿を見て魔族の番至上主義本能の強さを思い知らされます。
魔王もアレくらい私にメロメロになってくれるでしょうか?
今から”断罪”が始まるのにそんな事考えてしまいました。
私はすっかり頭の中お花畑のようです。
うぅ、少し恋愛ボケしている自分が恥ずかしいです。
【風よ】
ゴウッ!
物凄い質量の風が吹きすさびました。
ガラガラと果ての塔までも崩壊します。
石の塊に押しつぶされた教主が「グエッ」とヒキガエルのような声をあげました。
脂肪がクッションになったようです。
贅肉でも役に立つんですね。
1つ勉強になりました。
私もあの位肥えた方が戦闘に役立つのでは…?
「リコリス、我はお前が太っても愛は冷めぬが出来れば今のままでいて欲しいぞ」
「あ、じゃぁ止めときます」
何時の間にか魔王に抱えられたまま私たちも塔の外、宙に浮かんで成り行きを見ていました。
風が去ると後には爽やかな草原の香りが立ち込めます。
鎌や包丁を持っていた民衆の手からそれらが地に落ちて行きます。
どういった魔法構成なのでしょう?
「あれはただの強風だ。構成も何も仕込んでいない」
あれがただの強風?
魔法構成が無い!?
だとしたら物凄い魔力です。
あれに魔法構成を詰め込んだらどんな規模の魔法になるのでしょうか?
思わずゴクリと唾を飲み込みます。
「兄上は魔国一の魔法の使い手だからな」
あ、何か魔王が嬉しそうです。
お兄さんの事好きなんですね。
思わずほっこりしてしまいました。
じゃ、なくて!
「何故ただの風を?」
「姉上が言っていたであろう。悪臭を何とかせねば、とな」
「悪臭?」
私にはそんなものは感じられなかったのですが…。
「姉上の嗅覚はケロべロスをも上回るからな」
ミヤハルさんは何と言うか色々凄いです。
「恐らく香でも焚いていたのであろうな。でなければあれ程思考能力を落とし暴徒を産みだせるほどの能力がアノ教主や聖女にある訳が無い」
成程です。
あれ程纏わりついていた呪いがすっかり消えています。
香の能力が消えたから民衆の悪意が消えたのですね。
「何をしている!魔女を殺せ!でなければ聖女の力は戻らないぞ!お前達は魔物に食い殺されたいのか!!」
何時も穏やかなはずの教主の様子に民衆はたじろいでいます。
肉の塊が醜く顔を歪め全身を赤黒く染め、唾を吐き出しながら高慢な態度で命令をしてくる。
その姿は民衆の知る教主の姿とかけ離れていたのでしょう。
「皆さん!早くあの魔女を殺して下さい!でなければ私の呪いがとれないです!!」
ディルバさんが涙ながらに訴えています。
「今、聖女様が殺せと言ったか?」
「そんな訳ないだろう?聖なる神に認められた方だぞ?」
ザワザワと騒めきが広がる。
「聖女?ソコのアバズレが?民衆の皆さんその女が聖女に見えるんなら網膜神経から腐ってんで~。その女は誰にでも足開く股と頭が緩い女やで~」
「な、何を言うの!聖女である私を侮辱する気ですか!?」
「侮辱も何もホンマの事やからなぁ。まぁ見て貰えれば皆納得もしてくれるやろ♪」
「見て貰う?」
【過去視】
エントビースドさんの力ある言葉が発せられました
その瞬間、皆の脳内にディルバさんが何人もの男と姦淫を犯している映像が流れます。
その中には教主と交わる姿までありました。
「う、嘘よ!魔族の汚らわしい術に騙されないで!」
「じゃぁ関係を持ったのは俺だけなのですね聖女ディルバ様!」
1人の神官がディルバさんの肩を揺すります。
「何を言っている!聖女様は俺としか交わってないはずだ!」
「嘘を吐くな!聖女様は確かに穢れなき乙女であらせた!私が運命の相手だとおっしゃっていたんだぞ!」
神官たちがディルバさんに詰め寄ります。
誰もが自分がディルバさんの相手だとおっしゃっています。
これはどう言う事でしょうか?
ディルバさんのお相手はコンジュ様ではなかったのですか?
「お面白い魔法やなぁ。膜を何回再生させたんや~。そんだけ姦淫犯しといてまともな結界張れる訳あらへんやろ?ただでさえアンタの結界は薄っすいモンやったのにな~。その膜と同じくらいに」
「嘘よ!私は最高の聖女よ!皆が私を歴代最高の聖女だと言っているのだから!そんな魔族の嘘に皆騙されないで!」
「んじゃ、その結界はってみい。どないなもんかウチが確かめたるさかい」
「後悔するのね!【聖なる結界よ、神の使徒たる我を守りたまえ】」
ディルバさん周囲に結界が張り巡らされます。
見る者が見ればソレがそれだけお粗末な結界か分かるでしょう。
しかし民衆や神官たちにはソレがどれ程の強度なのかは知る由もありません。
ただ結界が張ってるのだけは認識出来るのです。
「ほい、アタッークッ!」
「グェッ!」
地に降りたったミヤハルさんが、何処から出したか分からないスライムをディルバさんに投げつけ(?)ました。
スライムは簡単にディルバさんの聖結界を通り抜けその顔にぶち当てられました。
上げた声は教主の石に押しつぶされた時の蛙の呻き声そっくりでした。
「スライムが聖女様の結界をすり抜けた?」
「では我々は誰に護られてきたのだ!?」
香を焚いていない場では民衆は正常な判断が出来るようです。
「エント、2段階目たのむわ」
【リンク】
【センサー】
何の魔法でしょう?
聞いたことがない魔法です。
魔法構成も全く理解出来ませんでした。
「今ここにおるモン全ての感覚を共有させたで。それと簡単な嘘探知魔法をかけた。これで誰が嘘つきで誰が本当の事言ってるのか分かるわ♫」
ミヤハルさん楽しそうですね。
「さて、聖女の結界は自分たちを守ってないことは分かって貰えたやんな?で、誰が皆を護っとったて?今まで塔に幽閉されてたリコリスちゃんや。だからリコリスちゃんがおらんようなってから魔物の襲撃が増えた筈やで?」
『真』『真』『真』
「あの”夕暮れの令嬢”が…?」
「確かにあの魔族の言う事は的を得てる」
「騙されないで下さい!あの魔女が民を護っていたなんてあり得るはずがありません!あの女はコンジュ様と私の仲を妬み、私に呪いをかけた魔女なんです!私は神に誓って姦淫の罪など犯してはいません!!」
『嘘』『嘘』『嘘』
「嘘だろう、聖女様が我々を騙していたなんて…」
「私は騙してなんていません!全ては魔族の罠です!」
『嘘』『嘘』『嘘』
「私はずっと皆様を護り続けました!姦淫なども犯していません!騙されないで下さい!」
『嘘』『嘘』『嘘』
「思ったよりもしつこいなアンタ。さっき証明して見せたやろ?アンタの結界では魔物から人は護れんて。全てはクレーンカ一族が《武神》として結界の外で戦い続けた歴史があるからこそ帝国は護られ続けた。その中でもリコリスちゃんは物心ついた頃から《武神》として寝る間も食事の間も惜しんで自分の時間を戦いに費やした。聖女の存在なんて神殿にとって都合の良えもんでしかないお飾りやったちゅうことや」
『真』『真』『真』
「そんなはずない!私の結界が弱くなったのはその魔女のせいよ!私がお飾りな訳なんてない!私は聖女に選ばれてから清く正しく、常に民の事を考えて生きて来たのだから!」
『嘘』『嘘』『嘘』
「聖女様、それ以上はもう無理ですよ。犯した罪をお認めになって下さい…」
『真』『真』『真』
1人の神官が哀れんだ眼差しでディルバさんを見つめ小さな声で言いました。
それは小さな声ですがシン、とした場に波紋を広げるよう響きわたりました。
「嘘よ!嘘よ!私は完璧な存在なの!私は歴代で最高の聖女なの!こんな事あり得るはずがないのよぉっ!!」
『真』『真』『真』
その言葉が『真』である事は感覚が共鳴している、此処に居る全員に伝わりました。
彼女が本気で自分が特別な存在であると自分を信じていたことが。
本当の彼女が聖女として無能であったことが。
「ああ、コレ全国放送やから」
無情な言葉がミヤハルさんから発せられました。
「う、うわぁぁぁあっ!この魔族がぁぁぁぁぁっ!!!」
ディルバさんがミヤハルさんに掴み掛ろうとします。
そんな事をエントビースドさんが許すはずもありません。
【風】でディルバさんを吹き飛ばします。
その”風”でミヤハルさんの羽織っていたフード付きの外套がはらり、と取れ宙を舞いました。
「気安く触んなアバズレブスが」
それまでパニックに陥っていた誰もがミヤハルさんに釘付けになりました。
雲の合間から差し込んだ太陽の光がミヤハルさんに降り注ぎます。
それはまるで宗教画のようでした。
性別を感じさせない絶世の美貌に美しい曲線を描く肢体。
その美しさに誰もが目を奪われました。
美しさは時には武力にも勝る武器になるのだと初めて知りました。
ミヤハルさんはその姿を現しただけで暴動を抑え込みました。
ただ1人、自分の外見にこれ以上ないプライドを持っていたディルバさんだけがミヤハルさんの美しさにひれ伏しはしないと、憎しみを籠めた瞳で睨みつけていました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
連続投稿すみません。
書けるうちに書いておこうと思いまして(;´Д`)
鉄は熱いうちに打てと言いますし。
今書かないと文章滅茶苦茶になりそうだったんで←出来た文章が滅茶苦茶になっている事には目を瞑ります(;^ω^)
次からバンリウ帝国の成り立ちや《武神》の事が説明されます。
バンリウ帝国全国放送で(;´∀`)
ミヤハルが出張りますが話の展開上仕方ないので、リコリスの出番が減りますが嫌わないでやって下さいm(__)m
何と言うか凄く気の抜ける声です。
でもミヤハルさんらしいと言えばらしいのですが。
「まずはこの悪臭何とかせななぁ。エント頼むで~」
宙に浮いているミヤハルさんとエントビースドさんが見えました。
こんな時でもミヤハルさんの腰に腕を巻き付けているエントビースドさんの姿を見て魔族の番至上主義本能の強さを思い知らされます。
魔王もアレくらい私にメロメロになってくれるでしょうか?
今から”断罪”が始まるのにそんな事考えてしまいました。
私はすっかり頭の中お花畑のようです。
うぅ、少し恋愛ボケしている自分が恥ずかしいです。
【風よ】
ゴウッ!
物凄い質量の風が吹きすさびました。
ガラガラと果ての塔までも崩壊します。
石の塊に押しつぶされた教主が「グエッ」とヒキガエルのような声をあげました。
脂肪がクッションになったようです。
贅肉でも役に立つんですね。
1つ勉強になりました。
私もあの位肥えた方が戦闘に役立つのでは…?
「リコリス、我はお前が太っても愛は冷めぬが出来れば今のままでいて欲しいぞ」
「あ、じゃぁ止めときます」
何時の間にか魔王に抱えられたまま私たちも塔の外、宙に浮かんで成り行きを見ていました。
風が去ると後には爽やかな草原の香りが立ち込めます。
鎌や包丁を持っていた民衆の手からそれらが地に落ちて行きます。
どういった魔法構成なのでしょう?
「あれはただの強風だ。構成も何も仕込んでいない」
あれがただの強風?
魔法構成が無い!?
だとしたら物凄い魔力です。
あれに魔法構成を詰め込んだらどんな規模の魔法になるのでしょうか?
思わずゴクリと唾を飲み込みます。
「兄上は魔国一の魔法の使い手だからな」
あ、何か魔王が嬉しそうです。
お兄さんの事好きなんですね。
思わずほっこりしてしまいました。
じゃ、なくて!
「何故ただの風を?」
「姉上が言っていたであろう。悪臭を何とかせねば、とな」
「悪臭?」
私にはそんなものは感じられなかったのですが…。
「姉上の嗅覚はケロべロスをも上回るからな」
ミヤハルさんは何と言うか色々凄いです。
「恐らく香でも焚いていたのであろうな。でなければあれ程思考能力を落とし暴徒を産みだせるほどの能力がアノ教主や聖女にある訳が無い」
成程です。
あれ程纏わりついていた呪いがすっかり消えています。
香の能力が消えたから民衆の悪意が消えたのですね。
「何をしている!魔女を殺せ!でなければ聖女の力は戻らないぞ!お前達は魔物に食い殺されたいのか!!」
何時も穏やかなはずの教主の様子に民衆はたじろいでいます。
肉の塊が醜く顔を歪め全身を赤黒く染め、唾を吐き出しながら高慢な態度で命令をしてくる。
その姿は民衆の知る教主の姿とかけ離れていたのでしょう。
「皆さん!早くあの魔女を殺して下さい!でなければ私の呪いがとれないです!!」
ディルバさんが涙ながらに訴えています。
「今、聖女様が殺せと言ったか?」
「そんな訳ないだろう?聖なる神に認められた方だぞ?」
ザワザワと騒めきが広がる。
「聖女?ソコのアバズレが?民衆の皆さんその女が聖女に見えるんなら網膜神経から腐ってんで~。その女は誰にでも足開く股と頭が緩い女やで~」
「な、何を言うの!聖女である私を侮辱する気ですか!?」
「侮辱も何もホンマの事やからなぁ。まぁ見て貰えれば皆納得もしてくれるやろ♪」
「見て貰う?」
【過去視】
エントビースドさんの力ある言葉が発せられました
その瞬間、皆の脳内にディルバさんが何人もの男と姦淫を犯している映像が流れます。
その中には教主と交わる姿までありました。
「う、嘘よ!魔族の汚らわしい術に騙されないで!」
「じゃぁ関係を持ったのは俺だけなのですね聖女ディルバ様!」
1人の神官がディルバさんの肩を揺すります。
「何を言っている!聖女様は俺としか交わってないはずだ!」
「嘘を吐くな!聖女様は確かに穢れなき乙女であらせた!私が運命の相手だとおっしゃっていたんだぞ!」
神官たちがディルバさんに詰め寄ります。
誰もが自分がディルバさんの相手だとおっしゃっています。
これはどう言う事でしょうか?
ディルバさんのお相手はコンジュ様ではなかったのですか?
「お面白い魔法やなぁ。膜を何回再生させたんや~。そんだけ姦淫犯しといてまともな結界張れる訳あらへんやろ?ただでさえアンタの結界は薄っすいモンやったのにな~。その膜と同じくらいに」
「嘘よ!私は最高の聖女よ!皆が私を歴代最高の聖女だと言っているのだから!そんな魔族の嘘に皆騙されないで!」
「んじゃ、その結界はってみい。どないなもんかウチが確かめたるさかい」
「後悔するのね!【聖なる結界よ、神の使徒たる我を守りたまえ】」
ディルバさん周囲に結界が張り巡らされます。
見る者が見ればソレがそれだけお粗末な結界か分かるでしょう。
しかし民衆や神官たちにはソレがどれ程の強度なのかは知る由もありません。
ただ結界が張ってるのだけは認識出来るのです。
「ほい、アタッークッ!」
「グェッ!」
地に降りたったミヤハルさんが、何処から出したか分からないスライムをディルバさんに投げつけ(?)ました。
スライムは簡単にディルバさんの聖結界を通り抜けその顔にぶち当てられました。
上げた声は教主の石に押しつぶされた時の蛙の呻き声そっくりでした。
「スライムが聖女様の結界をすり抜けた?」
「では我々は誰に護られてきたのだ!?」
香を焚いていない場では民衆は正常な判断が出来るようです。
「エント、2段階目たのむわ」
【リンク】
【センサー】
何の魔法でしょう?
聞いたことがない魔法です。
魔法構成も全く理解出来ませんでした。
「今ここにおるモン全ての感覚を共有させたで。それと簡単な嘘探知魔法をかけた。これで誰が嘘つきで誰が本当の事言ってるのか分かるわ♫」
ミヤハルさん楽しそうですね。
「さて、聖女の結界は自分たちを守ってないことは分かって貰えたやんな?で、誰が皆を護っとったて?今まで塔に幽閉されてたリコリスちゃんや。だからリコリスちゃんがおらんようなってから魔物の襲撃が増えた筈やで?」
『真』『真』『真』
「あの”夕暮れの令嬢”が…?」
「確かにあの魔族の言う事は的を得てる」
「騙されないで下さい!あの魔女が民を護っていたなんてあり得るはずがありません!あの女はコンジュ様と私の仲を妬み、私に呪いをかけた魔女なんです!私は神に誓って姦淫の罪など犯してはいません!!」
『嘘』『嘘』『嘘』
「嘘だろう、聖女様が我々を騙していたなんて…」
「私は騙してなんていません!全ては魔族の罠です!」
『嘘』『嘘』『嘘』
「私はずっと皆様を護り続けました!姦淫なども犯していません!騙されないで下さい!」
『嘘』『嘘』『嘘』
「思ったよりもしつこいなアンタ。さっき証明して見せたやろ?アンタの結界では魔物から人は護れんて。全てはクレーンカ一族が《武神》として結界の外で戦い続けた歴史があるからこそ帝国は護られ続けた。その中でもリコリスちゃんは物心ついた頃から《武神》として寝る間も食事の間も惜しんで自分の時間を戦いに費やした。聖女の存在なんて神殿にとって都合の良えもんでしかないお飾りやったちゅうことや」
『真』『真』『真』
「そんなはずない!私の結界が弱くなったのはその魔女のせいよ!私がお飾りな訳なんてない!私は聖女に選ばれてから清く正しく、常に民の事を考えて生きて来たのだから!」
『嘘』『嘘』『嘘』
「聖女様、それ以上はもう無理ですよ。犯した罪をお認めになって下さい…」
『真』『真』『真』
1人の神官が哀れんだ眼差しでディルバさんを見つめ小さな声で言いました。
それは小さな声ですがシン、とした場に波紋を広げるよう響きわたりました。
「嘘よ!嘘よ!私は完璧な存在なの!私は歴代で最高の聖女なの!こんな事あり得るはずがないのよぉっ!!」
『真』『真』『真』
その言葉が『真』である事は感覚が共鳴している、此処に居る全員に伝わりました。
彼女が本気で自分が特別な存在であると自分を信じていたことが。
本当の彼女が聖女として無能であったことが。
「ああ、コレ全国放送やから」
無情な言葉がミヤハルさんから発せられました。
「う、うわぁぁぁあっ!この魔族がぁぁぁぁぁっ!!!」
ディルバさんがミヤハルさんに掴み掛ろうとします。
そんな事をエントビースドさんが許すはずもありません。
【風】でディルバさんを吹き飛ばします。
その”風”でミヤハルさんの羽織っていたフード付きの外套がはらり、と取れ宙を舞いました。
「気安く触んなアバズレブスが」
それまでパニックに陥っていた誰もがミヤハルさんに釘付けになりました。
雲の合間から差し込んだ太陽の光がミヤハルさんに降り注ぎます。
それはまるで宗教画のようでした。
性別を感じさせない絶世の美貌に美しい曲線を描く肢体。
その美しさに誰もが目を奪われました。
美しさは時には武力にも勝る武器になるのだと初めて知りました。
ミヤハルさんはその姿を現しただけで暴動を抑え込みました。
ただ1人、自分の外見にこれ以上ないプライドを持っていたディルバさんだけがミヤハルさんの美しさにひれ伏しはしないと、憎しみを籠めた瞳で睨みつけていました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
連続投稿すみません。
書けるうちに書いておこうと思いまして(;´Д`)
鉄は熱いうちに打てと言いますし。
今書かないと文章滅茶苦茶になりそうだったんで←出来た文章が滅茶苦茶になっている事には目を瞑ります(;^ω^)
次からバンリウ帝国の成り立ちや《武神》の事が説明されます。
バンリウ帝国全国放送で(;´∀`)
ミヤハルが出張りますが話の展開上仕方ないので、リコリスの出番が減りますが嫌わないでやって下さいm(__)m
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