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第1章

13話

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 今日も朝食の後は読書の時間です。
 私は社交の場に出た事が無いから貴族の令嬢の様に巧みな話術を持っておりません。
 戦い→寝る→勉強→戦いを繰り返していたので町娘のような日常であった楽しい出来事などを面白おかしく喋れる能力もありません。
 私はコミュ障なんですよ。

 でも【高位魔族の男を飽きさせない会話術・初版】を読んで今お話しの勉強をしています。
 誰か分かりませんが何時も勉強になる本を有難う御座います。
 高位魔族に効くなら魔王にだって少しは効果があるでしょう。
 どうせなら私と過ごしてる時間、魔王にも出来るだけ楽しく居て欲しいのです。
 
 私は魔王と居れるだけでとても楽しいです。
 あまり会話は無いかも知れませんが美味しいお菓子を食べながら、優しい魔王の笑顔を見れるだけでとても楽しいです。
 会話も私が1人はしゃいでいる居る感が否めません。

 美味しい・嬉しい・大好き・幸せ、くらいしか私の会話の語彙力は無い様な気がします。
 18歳でそれって淑女として終わっていませんか?
 魔王は私に”飽きない”と言ってくれましたが、その言葉に甘える事は出来ません。

 人は日々進化するものです。
 ただでさえ私は寿命が長いのですから、長い月日魔王に飽きられない存在になる必要があります。

 私が出来る会話何て、政治と外交と財政と戦術と魔法理論と原子学と考古学くらいですから。
 普通の女の子はこんな会話はいたしませんよね?

 お洒落なスイーツの話は私にはできません。
 だって魔王に食べさせてもらうまで甘味の1つも食べた事が無かったのですから。

 流行りのドレスの話も出来ません。
 何時でも動きやすいシンプルなワンピースか戦闘用の魔法衣ぐらいしか着た事がありません。
 ドレスなんて生まれてこの方袖を通したこともありませんよ。
 お洒落なドレスの方が可愛いですよね。
 可愛げなくて魔王に申し訳ない今日この頃です。
 
 美しい装飾品の話題も出せません。
 私にとって価値のある装飾品は魔導具ですから。
 いかに戦闘の時に役に立つかしか考えた事ありません。
 なので淑女が好むアクセサリーなんてどれが良いのかも分かりません。

 体を美しく保つ術も知りません。
 何せ湯に浸かる経験をしたのもここ最近が初めてですから。
 果ての塔には基礎化粧品と言う物もありません。
 世の淑女たちは化粧水を塗って美容液を塗って乳液を塗ってパックをするそうです。
 それどういう儀式なのでしょうか?
 お風呂上りはその儀式をしないとお肌がボロボロになるそうです。
 もとから戦闘に明け暮れていたのでお肌の状態なんて気にしたことも無かったです。
 でも果ての塔にはそれらが無いのでこれは手に入れるのは無理ですね。
 儀式は諦めましょう。

 あと、淑女も町娘もダイエットに夢中だそうです。
 腰を細く見せるためコルセットでギュウギュウに締め付けているそうです。
 私は鍛えられた体をしているので余分な脂肪が無く細く見せるものは使ったことがありません。
 むしろ腰ではなくソコだけ何故か無駄に脂肪がつく胸を押さえつける晒を巻く方が大変でした。
 胸が揺れると戦闘の邪魔になって仕方ありませんから。
 肺を圧迫しない程度に胸を潰すのは意外と技術が要るのですよ。
 まるっきり世間の淑女とは私は正反対過ぎます。

 この間読んだ本【男を虜にする魅惑のボディの作り方】にも書いてありました。
 男は柔らかい女の体が好みだと。
 私は胸以外筋肉で硬いです。
 お昼寝のハグの時、魔王は私の事を抱き心地悪いと思っているに違いありません。
 でもどうすれば脂肪がつくのでしょう?
 どうせなら魔王に抱き心地が良い抱き枕と思って欲しいですから。

 なので最近は鍛錬を積みながらも筋肉で体が硬くならない様に、お風呂で”やわらかくなれー”と念じながら湯船で体を揉み解しています。
 成果は…今の処出ていない気がします……。

 あぁ私は何てつまらない女なのでしょうか!!

 これでは何時か魔王に愛想つかされてしまいます!

 体の方は時間をかけるしかありません。
 でも話術なら勉強したらすぐにでも活かせます。

 【高位魔族の男を飽きさせない会話術・初版】に目を通します。

 ”兎に角男を褒めろ”と書いてあります。
 私何時も魔王を褒めている気がします。
 だって魔王は本当に綺麗で強くて優しくて凄い人物ですから!

 ”男の自尊心を擽れ”?
 魔王はそんなことしなくても何時も自信満々だと思います。
 魔王がたじろいている所なんて想像出来ません。
 今更私がおべっかを使ったところで国で散々崇め立てられているでしょうから、今更私が言葉にしても魔王の心には響かないでしょう。
 それどころか下手に褒めちぎればワザとらしくて魔王の不況を買いそうです。

 詰みました。
 私に出来る事はありません。
 枕に顔を埋めます。
 はぁ~、と大きな溜息が出ました。

 魔王は私を幸せにする天才ですが、私だって魔王を幸せにしたいのですけど…。
 魔王、何したら喜んでくれるでしょうか?

 取り合えず今の私ができるのは【高位魔族の男を飽きさせない会話術・初版】を読み切る事ですね。
 待っていてください魔王。
 私、一緒に居て楽しい女になってみせますから!

 ベッドに寝転びならが私は本のページを進めていきました。


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 最近タイトルに偽りありな気がします。
 リコリス口説かれている事に全然気が付いていないですよね(;^ω^)
 完全に攻略はされていってるのですが。
 魔王様ご苦労様です。
 タイトルに偽りありですがジ〇ロに通達は勘弁して下さい(;´∀`)
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