AIが最強すぎて異世界生活が楽勝です。

ジュウ ヤマト

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プロローグ

日常から非日常へ

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ジリリリリーン……ジリリリリーン……ジリリリリーン……アナログな電話の音がけたたましく鳴り響く。

「う~~ん……ふぁ~~……起きたよ」

 独り言の様につぶやき、伸びをすると、目覚まし音が消える。正面の壁に映し出されている時計で時間を確認し、ベッドから起き上がる。

「クリア……うっ…眩しいな……」

 真っ黒だった掃き出し窓はしだいに透明になり、朝日が窓から差し込んで薄暗かった部屋も、ゆっくりと日の光で照らされていく。

「さてと、用意するか」

 そう言って気持ちを切り替え、洗面所へ向かい顔を洗って歯を磨く。


 特に何もない若い男の一人暮らしの部屋だが、散らかってはおらず比較的 綺麗に片付いている。だがそれは西暦2055年現在では当たり前の事である。

 そう、ほぼ全てが自動で、音声によりコントロール出来る。

 食べた食器もキッチンの所定の場所に置けば、自動で食洗機に入り乾かされたのち食器棚へ収納されるし、洗濯物も洗濯機に入れて置けば、全て自動で洗濯と乾燥をし、畳まれた後クローゼットに収納される。そう、朝だからといって時間に追われる事は無い。

 のんびりとしながらも、アルバイトに向かう為、服を着替え髪を軽く整えて
鞄を持ち、家を出る。

 都会という程ではないが、極端な田舎でもないため、幹線道路では交通量も多くなる。

 主人公(伊勢 隼人)は電動バイクに乗り、いつもの幹線道路を颯爽と走りながら、ふと顔を横に向ける。

 朝日が、新緑の山々を照らし、透き通った真っ青な空と共に、なんとも言えないくらいの綺麗な景色が、心に染み込んでくる。

「今日も頑張るぞ!」

 心の底から、ヤル気がみなぎってくる……と、前を向き直したその時!

 一瞬の出来事だった。

 !! ガッシャーン!!

 旧型のトラックが右の視界に入って来たと思った瞬間、隼人の電動バイクにぶつかり、隼人の身体が宙に舞う。

それとほぼ同時に、電動バイクに搭載されている小型化された高電圧のバッテリーが凄まじい放電を起こして

爆発炎上、空間に裂け目を作り、隼人を飲み込んだ……

「…………られたぞ!!」
「はやく! きゅう…………でくれ!」

 喧騒に包まれながら、意識は闇の底へ誘われて行く…………。


ーーーーーーーーーー



 とある場所……辺りは薄暗く蝋燭の火が岩肌をユラユラと照らしている。

 正面には祭壇があり、蛇が巻き付いたような槍のオブジェクトが祭壇の上に横たわっている。

「準備はできたのか?」

「フフフ……お任せを。あの町を恐怖と血の海に沈めて見せますわ……フフフフ……」

 背の曲がった老人がシワがれた声で、部屋の入り口に立っている人物に話し掛ける。

 また、話し掛けられた方の人物は、この薄暗い部屋の中でフードを目深に被り、そのゴツゴツした岩肌にもたれながら答える。

 外見では、男なのか女なのか判らない。だが、声を聞く限りでは女の様である。

「良いではないか…………手始めにあの町に住む者共の魂をこの手に……では、行け!」

「…………」

フードの人物は無言で暗闇の中へ消えて行く。


ーーーー


 町ではあちらこちらから火の手があがり、モンスターが住人を殺戮し、食らっている。

 そして、モンスターに混ざり軽装の鎧を着て、剣を持った人間も住人を殺戮する。まさに阿鼻叫喚……町は地獄の様相を見せる。

「ハハハハッ……良いわ! もっと……もっと叫び声を聞かせてちょうだい! フフフフ……あ~~たまらないわ! この血の匂い……叫び声……逃げ惑うゴミ共の顔……フフフ……ハハハハーッ」

 血の涙を流し、大笑いしながら女が左手に持つ水晶を掲げると、そこに何かが集まり取り込まれていく。

 暫くして水晶に取り込む物が無くなったのを確認してから、女は新たなる目的地を考える。

「さて、次はあそこにしようかしら。ファルハン王国の町「エルマ」………あそこなら、ここよりも人口が多いはず。もっと素敵な叫び声が聞けるわね。きっと……フフ」

 女は飛行魔術で空に浮かぶと、西へと姿を消した。
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