嗤うゴシックロリータ

うさぎ猫

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  Ⅵ

 パ、パ、パ、パ、パ、
 薄暗い室内に衝撃をもたらす閃光と硝煙。先ほどから戦闘配置を意味するアラームがけたたましく騒いでいた。
「頭さげてッ!」
 摩耶が蛍太の膝を蹴りあげ床に伏せさせる。蛍太は頭を床にぶつけたが悲鳴ひとつあげる事を許されなかった。
 先生らは若葉がマシンガンであらかた始末した、はずだった。校長は……「いないッ!」摩耶と若葉が目を凝らす。
「そこッ!」
 摩耶のチーフスペシャルが火を吹くが、倒れたのは生き残りの先生だった。
「部屋を出よう!」
 摩耶が声をかけたとき、館内アラームに呼び寄せられた先生らが部屋の出入り口へ殺到した。摩耶はチーフの残弾がないことを確認するとそれを捨てる。蛍太の視線を気にせずスカートをあげると、カモシカのような脚に張り付くレッグホルスターから小柄な自動拳銃を抜いた。ベレッタPX4のサブコンパクトだ。
「摩耶ちゃん、ウチにそれ頂戴」
「だめ」
 摩耶が手にした拳銃は一般的なブローニング方式で機械作動の信頼性は折り紙付きだ。銃弾は愛用してきたチーフと同じ9ミリパラだが、装弾数は13発と多い。
 ベレッタ特有の軽いボディに加えて、グリップを摩耶の手に合うようにオーダーメイドしてある。だから「わたし専用」と、その丸みを帯びた洒落たデザインに目を輝かせる若葉に意地悪く言い放った。
「どのお兄ちゃんにお強請りしたんどすか」
「ミケ先生に注文してたのよ。お強請りじゃないわ」
「摩耶ちゃんだけずるい。ミケ先生と一緒にお風呂へ入ったんですな」
「人聞き悪いわね、そんなことしてないわよ」
 ふたりの口論は通路まで響いた。
「おい、こっちにいるぞ」
 声をあげた先生の頭を初弾が撃ち抜いた。
「キジも鳴かずば撃たれまい」
 若葉も摩耶に絡むのを諦めてuziサブマシンガンを構えた。部屋に突入しようとする先生らを肉片へと変えていく。隙をついて摩耶が蛍太の腕を引っ張り血塗れの部屋を出た。
「まだ人間でいたかったら走れ!」
 同い年の女の子から急かされ、蛍太は必死に駆けた。後ろを若葉が追いかけてきた。弾幕を張りながら、辺り一帯を破壊していった。
「若葉、あんた無駄弾多すぎよ」
「サブマシンガンの正しい使い方ですやん。これで、いいんどす。それに少しは弾を減らさんと重くて仕方ないわ。摩耶ちゃん、ベレッタと交換して欲しいわあ」
「だめ」

      †††    †††    †††

 何台もの車が施設にやって来た。黒塗りのベンツや大型の白いワゴン、軽トラまであった。そのうちの一台、ミニクーパーから窮屈そうに──そもそも、どうやって乗っていたのか疑問になるほどの巨体で──ワイシャツ姿の大男が降りて来た。
 降り立つや男はエコノミー症候群を気にしているのかラジオ体操を始める。オールバックで丸いロイド眼鏡のサングラスをした、身長は2メートル近くあろうかという巨漢だ。それが施設前でドスドスと跳んだり跳ねたりした。ゲートの中年警備員は堪りかねて声をかけた。
 大男は入り口ゲートでサングラスを外すと、年上だろうその警備員に何やら呟く。警備員は頭を振り、肩から提げた自動小銃をチラつかせながら何かを言い返した。
 大男は一瞬困ったような表情を浮かべたが、ポンッと手を打つとワイシャツの胸ポケットから手帳サイズの身分証明書を取り出した。警備員はまんまるな目でそれを凝視するや、それまでの横柄な態度を一変させて、直立不動で敬礼した。
「そんな儀礼はいいから開けてくれる?」
 警備員は慌ててゲートを開いた。

      †††    †††    †††

 校長室のドアを蹴破ると、やはり目標はそこにいた。堂々、まるで今から書類整理の仕事でも始めるかのような雰囲気で座っていた。摩耶も若葉も校長の落ち着き払った態度に、むしろ危機感を募らせた。いや、明らかにこの部屋にいる存在に神経を張り巡らせた。
「どうしたね、入ってきたまえ」
 校長が和やかに声をかけた。相談に訪れた児童を迎えるように中腰で立ち上がった。
「いる、ね」
「おります、なあ」
 蛍太を入り口付近に残して、ふたりは一歩ずつ近づいた。摩耶はベレッタの、若葉はuzi の銃口を校長の額に向けていたが、そんなこと気にもしないという風に手を差し伸べた。
「さあ、来なさい。ふたりは、わたしの自慢の教え子だ」
 摩耶が一歩差し出したとき、若葉が叫んだ!
「摩耶ちゃん!」
「はいよッ!」
 ベレッタの銃口は闇に向けて火を吹いた。しかし間髪入れず、闇からの銃弾が摩耶のツインテールを揺らす。若葉が連射で銃弾をばらまく。闇に潜んだものが移動した……後ろッ!
 銃弾の応酬。暗い室内を閃光が耳をつんざく銃声とともに飛び交う。敵は一人じゃない。周囲全てから銃弾が放たれていた。ふたりはスズメバチの巣に潜り込んだミツバチと同じ状況だった。
 黒衣のフリルを散らし、相手の喉元目掛けて蹴り上げるが、若葉の三つ編みが空中を踊っただけでブーツの切っ先は届かなかった。それでも真鍮の薬莢は床に落ちると川を作った。それで相手が滑り転んだ。
「チェックメイト!」
 摩耶の銃口がヒットした……はずだったが、そこに姿はなかった。驚く暇なく後ろから銃弾が飛んできた。摩耶が薬莢の水たまりに転びそうになる。躰を捻る。若葉とは違う黒いドレスが視線を横切る。狙いを定めたが動きが速い。明らかに先生たちではない。この子たちは……
 若葉が壁のスイッチを入れた。部屋に明かりが灯った。水槽の部屋とは違い執務室らしい明るい照明だった。
「あんたら、」
 悠然と椅子に座ったままの校長を取り囲むように、そこには黒衣の少女たちが黙したまま立ち並んでいた。離れた壁伝いに整列している者が十数名、摩耶たちの後ろにも数名いた。
「姉に逆らうなんて、お仕置きが必要ね」
 摩耶の言葉に30名はいると思われる妹たちは動じない。全員が手にリボルバーのM36チーフスペシャルを構えていた。
 武器は摩耶と若葉のほうが強力だが、この人数、しかも先生たちのようなヒトではないのだ。自分たちと同じ遺伝子操作によって創造されたペンギン。彼女らは「すぐにでも姉を撃ち殺してレベルアップしたい」と望んでいるようだった。殺意の瞳を隠すことなくジッと睨んでいる。
「姉妹喧嘩は教育上推薦されている。遠慮なく続けたまえ」
 校長は高笑いした。
「わああ、やめてッ!」
 蛍太が声をあげた。ドアにしがみついていた少年は妹のひとりに捕まった。首に腕をまわして拳銃を突きつけられていた。
「その子を傷つけたら許さないよッ!」
 摩耶の絶叫にニンマリ笑う妹のその姿は、摩耶が他人に対して小馬鹿にするときにやる、あの笑い方そっくりだった。
「お姉ちゃんに良く似てイジワルな顔してますなあ」
  uzi の銃口を下げて若葉が呟く。
「あんたの妹でもあるわよ」
 ベレッタを下ろして摩耶が言い返す。
「どうしたね、続けたまえ。この妹たちはキミたちふたりの完成遺伝子を組み込んである。まさに完璧なコピーだ。彼女らを全員倒したとき、キミたちは更に強くなる」
「ばかばかしい」
 摩耶は頬を高揚させ眉間にシワを寄せると、ベレッタを床に捨ててしまった。試合放棄の姿勢に若葉は呆れた表情で問いただした。
「あんたらしゅうないなあ、妹に殺されますえ」
「殺したきゃ殺せばいいじゃん。だけど蛍太は離して」
「摩耶ちゃん、本気であの坊やにラブですのん?」
「そんなんじゃないわ。言ったでしょ、ばかばかしくなったのよ」
「それじゃあ、ウチはウチのやり方で、」
 蛍太をつかまえる妹に若葉は銃口を向けた。
「その坊や、離しなはれ。撃ちますよ」
 ガンファイトポーズに、すべての妹が若葉へ銃口を向けた。だが、それを鼻で笑う。
「なめたらあきません。まず、人質を取るなんて卑怯者の妹を折檻してから、校長はん、次はあなたの額に穴があきます。わかってるやろ」
 視線だけを校長へ飛ばして口角をあげた。それは氷のように冷めた笑みだった。

「はいはい、そこまで」

 部屋に大男が入ってきた。ミケ先生だった。
「観池、おまえ何をしている」
 校長が呆れたように声をあげた。
「ちょっと近くまで来たものですから。校長のご機嫌伺いでもしようと思いましてね」
 腰に手を充て見下ろすような態度は如何にも偉そうだった。ゴスロリに守られながら椅子に座る校長は、そんなデブを忌々しそうに見上げた。
「馬鹿なことをいうな、この事態はおまえが招いたのだぞ」
「わたしが? またまた、御冗談を」
「とにかく出ていけ。おまえの相手をしている暇はない」
「はあ、でも、それがそうはいかないんですよね」
「なに?」
 校長は机に両手をついて立ち上がり、ミケ先生を睨みつけた。部下に小馬鹿にされて怒らない上司はいないだろう。校長もまた、ミケ先生へ怒鳴りつけようとする寸前だった。
「校長……いや、ドクター山田。おまえをクビにする」
 ミケ先生の口から意外な、想像すらしなかった言葉が出た。校長として施設を管理してきたドクター山田はしばし押し黙って言葉の意味を考えた。
「……観池、貴様何を言っているのだ」
「おや、わからなかったかい。おまえをクビにすると言った」
 ミケ先生がサングラスを外した。猛禽の瞳は、どこか涼やかな目をしていた。視線をゴスロリらへ向けた。黒衣の少女たちに動揺が走った。彼女らは表情を緩めると、拳銃を下ろした。
「な、なんだ?」
 ドクター山田を守っていたゴスロリがミケ先生へ向かい、自身のスカートの両端をつまむと膝を折った。貴族が王に忠誠を誓うように30名が一斉に頭をさげたのだ。
 摩耶と若葉はふたり顔を見合わせ、そうして一瞬微笑み合ってから妹たちと同じようにミケ先生に一礼した。突然解放された蛍太とドクター山田だけが呆然としていた。
 ミケ先生は楽しそうに口を開いた。
「わからないか。ペンギンは唯一特定のひとりに対して絶対的な忠誠を誓う」
 ドクター山田は目の前のことが信じられなかった。だからミケ先生の言葉も耳に入らない。
「おまえたち、何をしている。そこのデブを殺せ。校長命令だ」
「だから、校長命令よりもぼくの命令のほうが上なんだってば」
 事態を飲み込もうとしない校長にミケ先生は呆れたように言い放った。
「観池一郎は仮の姿だよ。このぼくの本名は……」
 頭を下げていたゴスロリが一斉に立ち上がると、銃口を校長へと向けた。摩耶と若葉も同様に、ミケ先生の大きな腹の傍らに立つと「形勢逆転ね」と口にした。
「……土御門晴顯。ヴァルハラの戦士たるペンギンの長にしてオーディンの盟友。世界政府の最重要顧問。そしてドクター山田、キミの上司だよ」
 校長は信じられないという表情で頭を振る。笑っていた。気が狂ったように、部屋に響き渡る声で笑った。
「こんな茶番があるか、ええ、そうだろう。観池一郎、おまえが土御門晴顯だなんて、バカバカしい」
「ドクター山田、キミが信じないのは勝手だ。けれど資金の使い込み、承認されていない実験の数々と私的な政治介入について責任は取ってもらう」
「馬鹿を言うな。わたしのやり方は全てスチュアート卿の意思に沿ったものだ」
「あの爺さんもクビにした。今はロンドンで空き缶集めをしているよ」
 校長は後退り、ゴスロリのひとりにぶつかった。銃口が背中に当たった。
「キサマア!」
 そのゴスロリを張り倒そうとして、逆に回し蹴りを食らう。施設の校長だったドクター山田は床に突っ伏した。
「……このやろう……このやろう……おれをだれだと……このやろう」
 まるで念仏のようにドクター山田はブツブツ呟き始めた。摩耶は「壊れちゃったかな」といつものように鼻で笑ったが、若葉はuziを構え直した。そして摩耶に「来るよッ!」と叫んだ。
 ドクター山田の手足がにょろにょろと蛇のように伸びた。最初に一番近くの妹が足を取られた。触手のように伸びた手足は妹の躰に食い込んだ。
「けぇぇえぇッ!」
 意味不明な奇声をあげたドクター山田の目は白目だけになって、口は耳まで真っ赤に裂けていた。
 だが、そこまでだった。
 ゴスロリたちがドクター山田、だったモノに発砲した。弾丸にはウイルスが仕込んである。バケモノにとって致命傷だった。躰が眩しく光輝くと、スッと闇に溶けるように消えた。触手に絡まっていた妹がドサッと床に落ちたが、そこには既に何も無かった。
「あいつも感染してたんだ」
「しかも発病するんは、どういうヒトやと言うてましたかね」
「うん、感染しても凶悪犯罪を犯す危険人物しか発病しない。つまり、彼には素質があったんだね」
 土御門晴顯はサングラスをかけると、観池一郎に戻った。摩耶と若葉はその大きな腹に寄りかかりながらバケモノが消えた一帯をしばし眺めていた。
「あのぉ」
 少年の声で場の緊張が溶けた。摩耶がいまだ怯えている蛍太の腕を取り「おまたせえ」と声をかけた。何が「おまたせ」なのか少年にはわからなかったが、とりあえず笑顔でいることにした。
「それで、この子らはどうしますの」
 若葉が妹の一人をつかまえてフリルの上から胸を揉んでいた。妹はさほど嫌がる素振りもみせず、されるがままになっていた。
「若葉ってレズっ気あったんだ」
「あらあ、可愛い子が好きなだけどす」
 ミケ先生は腕を組んで考えるふりをしていたが、摩耶から「本当は何も考えてないんでしょう」と言い当てられて素直に認めた。
「他の施設へ移すことも出来るが完成体だからねえ、引き取り先が見つかればいいのだけど」
「しばらく先生のところで面倒見てあげなよ」
 摩耶の提案に、ミケ先生は再び腕を組んで「30名も居たのでは躰がもたない」と呟き、若葉からお尻を蹴られた。
「そうだ、引き取り先で思い出した」
 ミケ先生は摩耶と若葉にゲート前で待っている夫婦の名を語った。ふたりは驚いて顔を見合わせたが、慌てたように部屋を出ていった。

      †††    †††    †††

 施設ゲート前。例の中年警備員は命令を忠実に守る犬のように停車する車列を守っていた。摩耶と若葉に続いて蛍太の腕をひくミケ先生に敬礼し、職務に対する生真面目さをアピールした。ミケ先生はそんな『おっさん』に気づかず、既に親子のふれあいを楽しんでいるふたりを見つめた。
「どうだね。親子の愛とは美しいものだと思わないか」
 蛍太に呟いた。だが蛍太はうつむき、泣きそうな目をしていた。ミケ先生は不思議そうにそれを見ていたが、「おお、そうか」と気づいたらしく蛍太に優しく説明した。
「少し遅れているが、まもなく来るだろう。なにせ外国だからね、ちょっとくらいの遅刻は許してあげたまえ」
「え?」
「キミのご両親のことだよ……あ、ほら来たようだ」
 一台の高級車が接近してきた。蛍太は目を輝かせたが、すぐに俯いてしまった。
「どうしたんだ。キミのご両親だよ。ぼくはキミの担任だからね、ちゃんと連絡しておいた」
「ぼくは、いらない子なんです」
 蛍太が泣き出しそうに言った。
「何の話かな。いらない子? ならば、どうして迎えにきたのだ」
「それは世間体が……」
「何を言っているのかね。ぼくが国際電話をかけた先で、キミのご両親はそんな話をしていなかったぞ。ほら、外国から我が子の身を案じてこうしてやって来たではないか」
「蛍太ッ!」
 母親は車から飛び降りるや、絶叫するように駆け寄ってきた。こんな母親の顔を見たのは初めてだと、蛍太はミケ先生を見上げた。
「うん、少し話を大げさに盛った」
 母親のあとを、父親も血相を変えて走ってきた。蛍太が驚いているうちに母親は力強く抱きしめた。父親はミケ先生に一礼すると、蛍太に「よく頑張ったな」と頭を撫でた。父の声は涙ぐんでいた。

      †††    †††    †††

「樫原蛍太くんは、ご両親とカナダで暮らすことになった。皆さんにご紹介します」
 ミケ先生が黒板の前で語った。蛍太は「お世話になりました」と頭を下げた。クラスメイトはそれなりに笑顔で送り出してくれた。ただし、ひとりだけ、ツインテールのゴスロリ少女だけがむくれていた。

 空港。
 両親の手に引かれながら蛍太はコンコースを降りていった。摩耶と若葉、そしてミケ先生は旅客ビル屋上の展望台から飛び立つ飛行機を眺めた。
「行っちゃったあ」
 摩耶の言葉に若葉が絡んだ。
「そんなにラブなら、一緒についていけば良かったやないの」
「何を言ってんのよ、この子は」
「あら、違いますの」
「別に愛とか、そんなのわかんないもん」
「まあ、愛がわからないなんて。今宵、教えてさしあげましょうか」
「お姉さま」
 突然の声に振り向く摩耶。そこにゴスロリ妹がいた。黒髪を若葉と同じように三つ編みにしていた。若葉ほど長くはないが、きちんと時間をかけて結われていた。
「ねえ、本当に妹にしちゃったの?」
「残念ながら一人だけやけどね。小沢春菜ですわ。ウチの可愛い妹どすえ」
「春菜いいます。よろしゅうにお願いしまっせ」
「……なんか、訛りが微妙に違う気がする」

 旅客機が飛び交うターミナルから離れ「どうかね、食事でもしないか」と誘うミケ先生についていくゴスロリ軍団を、ジロリと睨む殺気があった。
 空港の花畑。そこに口が裂け、目がつり上がった三匹のバケモノがいた。全員、セーラー服を来ていた。
「やばいじゃあん」
「えー、マジぃ、マジぃ」
「バイブスじゃん、プンプン丸じゃあん」
 3人のゴスロリは顔を見合わせ、そしてミケ先生を見上げた。
「うん、バケモノ退治はキミたちにしか出来ないからねえ。このまま放っておいてはマズいだろう」
 摩耶と若葉はため息ひとつ。それを春菜も真似た。3人はスカートから拳銃を取り出すと、互いに微笑んだ。
「じゃあ、やりますか」
「そうやね。仕方ないよってに」
「浪速の心意気見せたろかあ」

 賑やかな夜は、まもなくやってくる。



 Fin
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