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4章 涙の別れと笑顔の再会
怯え〜ロン・アルテント〜
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腕をひかれる、ただそれだけの行為なのに、恐怖が募る。だんだん苦しくなる。
「あ、あの………」
声をかけても、振り向いてくれない。止まらない。
それほどまでに、怒らせてしまった自分が悪いのは分かってる。でも、この雰囲気はだめだ。耐えられる自信がない。
クリーク王子の部屋に入ると、強い力で壁に押し付けられた。
何?なんで?こんな王子、見たことない。出会って1年も経ってないけど、僕が今まで見ていた王子とは、明らかに違う。
怖い
そんな感情が身体中を駆け巡る。王子の目を見ると………
「あ………」
だめだ、この目は。僕の知っている、最悪な目だ。
「あ、ああ…………」
いつも僕に向けてくれる目じゃない。
これは、獲物を狙う者の目だ。
僕は知っている。この目をした人は、止まれないことに。僕の敵だということに。
あの大臣たちもこんな目をしてた。でも、あの時はランとレンがいた。だから耐えられた。
今は1人。助けを呼ぶ手段はある。でも、2人もそれぞれ王子に連れていかれてしまった。今は怒られているはずだ。
呼べない。僕一人で、この人に立ち向かうの………?
「……………?」
クリーク王子が何か言っている。でも、雑音にしか聞こえない。
無理、無理だ……………こんな、こんなの、耐えられない。僕一人じゃ、対処出来ない………!
「うぅ………あぁ……………あ………」
言葉を紡げない。嗚咽しか出ない。
頬になにか違和感がある。触れてみると、自分とは別の手に触れた。
そっと顔を上げると、王子が僕の頬に触れていた。
「ひっ………!」
思わず振り払った。
不敬だと思われてもいい。今は、自分の身を守らなくては。
でも、もうだめだ。王子の触れた部分からだんだんと恐怖が募る。
そして、僕の耐えられる数値を超えた。
もう……無理………
僕は諦めて、目を瞑った。
「あ、あの………」
声をかけても、振り向いてくれない。止まらない。
それほどまでに、怒らせてしまった自分が悪いのは分かってる。でも、この雰囲気はだめだ。耐えられる自信がない。
クリーク王子の部屋に入ると、強い力で壁に押し付けられた。
何?なんで?こんな王子、見たことない。出会って1年も経ってないけど、僕が今まで見ていた王子とは、明らかに違う。
怖い
そんな感情が身体中を駆け巡る。王子の目を見ると………
「あ………」
だめだ、この目は。僕の知っている、最悪な目だ。
「あ、ああ…………」
いつも僕に向けてくれる目じゃない。
これは、獲物を狙う者の目だ。
僕は知っている。この目をした人は、止まれないことに。僕の敵だということに。
あの大臣たちもこんな目をしてた。でも、あの時はランとレンがいた。だから耐えられた。
今は1人。助けを呼ぶ手段はある。でも、2人もそれぞれ王子に連れていかれてしまった。今は怒られているはずだ。
呼べない。僕一人で、この人に立ち向かうの………?
「……………?」
クリーク王子が何か言っている。でも、雑音にしか聞こえない。
無理、無理だ……………こんな、こんなの、耐えられない。僕一人じゃ、対処出来ない………!
「うぅ………あぁ……………あ………」
言葉を紡げない。嗚咽しか出ない。
頬になにか違和感がある。触れてみると、自分とは別の手に触れた。
そっと顔を上げると、王子が僕の頬に触れていた。
「ひっ………!」
思わず振り払った。
不敬だと思われてもいい。今は、自分の身を守らなくては。
でも、もうだめだ。王子の触れた部分からだんだんと恐怖が募る。
そして、僕の耐えられる数値を超えた。
もう……無理………
僕は諦めて、目を瞑った。
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