平凡な三つ子は平凡に暮らす...はずだった

月兎

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4章 涙の別れと笑顔の再会

伝えたい〜クリーク・エリオント〜

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「ちょ、おい!」

 レンが何か言っているけど……ごめんね。今離すわけにはいかない。俺の部屋に行って………あれ?
 別に連れ出さなくてもよかったのでは?
 ぐるぐる考えているうちに、部屋の前に着いた。ドアを開けて速やかに中へ入り、すぐドアを閉める。

「あの、ごめんね……」

「いや、別にいいけど………」

「そうじゃなくて……いや、そうなんだけど………」

「?」

 うう、申し訳ない。

「別に、連れ出さなくてもよかったなって……」

「はぁ!?」

 そうだよね。怒るよね。
 そう思ってレンを見ると、涙目になってプルプルと震えてる。

「ど、どうし………」

「お、俺………怒られるんじゃ、ないかって……怒られても、仕方ないって………すっげー怒られるんじゃ、ないかって…………もう、なんなんだよ……!」

 そう言ってレンは、涙をポロポロ零しながら俺の胸にタックルした。

「怒る……?俺が?………なんで?」

「だって……俺が、話しかけても、なんも答えて、くれないし…………」

「あれは……考え事、してて………」

「俺の方、見ようとも、しないし………」

「早く部屋に行かないとって、思って………」

 するとレンが顔を上げた。
 上目遣い、かわいい!

「もう、ほんと………もう……っ!」

 レンの瞳からまた涙が溢れる。
 その綺麗な涙を拭い、ぎゅっと抱きしめる。
 もう、離れないように。
 もう、離さないように。










「んで、これからどうすんの?」

 レンが泣き止んだ後、尋ねてきた。

「え?………あ、そうだ……」

 僕は事前にタナークから借りた……というか、押し付けられた物を手に取る。

「?なんだ、それ」

「えっと………」

 言って、いいのかな?
 うわぁ………すごい見てる。言えって、目で言ってる!

「あの、その………お、おしおき、していい?」

「………は?」

 あー!そうですよねそうですよね!分かってましたその反応!

「それ、俺に聞く?」

「だって、嫌がる事、したくない……」

「じゃあなんでおしおきなんて思いついたんだ?」

「これは、俺じゃなくて、タ、タナークが………」

「タナーク王子?」

「おしおきとか、しておいた方がいいって………」

 ほら!レンが意味わかんないって顔してる!そうだよね!俺もわかんない!

「いいよ」

「うんうん、そうだ………え?」

「だから、おしおき……してもいい」

 まさか承諾されるとは思わなかった。
 笑って流す未来しか見てなかった俺は、すごく困った。
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